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河本ダム

堤高60m
HG/FIP 1964年 岡山県営

2011.4.16見学


千屋ダムの後は、同じく県営ダムの河本ダムに向かいます。
国道180から県道に右折、川沿いの道を進むと、河本ダムは唐突に姿を現します。

T字の川の合流点にあるので、車を走らせながら不意に真横を見ると、いきなりダムの真正面が現れるのです。
この感じ、高根第一ダムによく似ています。高根第一の場合、うっかりしているといきなり後ろを取られるので、もっと驚きます。

いずれにせよ、脇見運転にならない様に要注意。



真正面からの河本ダム。
2門のクレストゲートは完全に堤体に埋まっていて、クレストはとてもスッキリしています。

川原まで降りてゆっくり眺めた後は、ダムサイトに向かいます。



右岸の道を登ってダムサイトに来ました。

下流面の勾配が異様に切り立っています。
そう、河本ダムは国内でわずが13基という、中空重力式で造られた希少なダムなのです。



クレストの高欄の高さから、一気に急勾配が始まっているのも、シャープな印象を強調しています。



天端は車道になっています。
朝の河本ダム、散策してみましょう。



お水たっぷりの貯水池。
ダム目的は発電、工業用水に加え、洪水調節も行っています。

左岸には取水設備と一体に管理所があります。



天端から下流を観ます。
さっき登ってきた右岸の道沿いには沢山の桜が植えられ、見頃を迎えていました。



写真を撮っていると、天端の掃除におじさんが来ました。
特にごみが落ちている感じでもないので、毎朝の日課となっているのでしょうか?。

「おはようございます」
先に声を掛けて下さったのはおじさんでした。

「桜を撮りに来たの?」 
「いえいえ、ダムを撮らせてもらっています」
「何処からです?」
「岐阜から来ました、先ほど千屋ダムを観て来ました、この後は新成羽川に行こうと思っています」

目的が桜じゃなくてダムだと聞いて少し残念そうな感じ・・・。
とても桜を大切にされているんだと思いました。

「お掃除ご苦労さまです、ダムの職員さんですか?」

「いやいや、わしはただの泊のおっさんや」

そう言って管理所に戻って行かれました。



再びアングルを替えて下流面を見学。

クレストゲートから下の大きくカーブした越流部は、平面的な非越流面と全く違った表情です。
真っ直ぐに伸びたスクエアな減勢池、副ダムの所だけ導流壁が外側に開いています。

って、眺めていたら・・・。



じょぼじょぼじょぼ・・・。

唐突に放流(???)開始。

さっきのおじさんからのファンサービス???

ちなみに、本当の放流管はその上にバルブがあります。



質素ながら堅牢そうなゲート室。
外壁の一部は縞鋼板で造られています。

天地に低く造られたゲート室は壁面に開度を示すゲージがありました。



左岸の管理所辺りから。

水位が高いですね、頼もしいです。
7月1日から9月30日までの洪水期は利水容量を下げて洪水調節容量を確保しているようです。



中空重力式の河本ダム。

それを意識すると、なんとなく足音が響くような気がします。
(本当はそんな事は無いと思います。ダムに酔ってるだけです 笑)



無精ひげのように、鉄筋が露出していました。
天端の路面はビルのように鉄筋コンクリートなのかと思います。

中空重力式のダムは、外観上は中空だとは解りません。
HGの証を発見か??



再びダムの右岸へ。

フーチングにある階段。
途中で立入禁止になりますが、少しだけ降りる事が出来ます。

びしーっと真っ平な下流面。
この中身は中空なのですよ。



風にあおられて、桜の花びらが舞っています。

風が弱まると、花びらはダムの表面に舞い降りて、急勾配をコロコロと転がり、コンクリートの継ぎ目に溜まっていました。



岡山県営の中空重力式 河本ダム。
シャープな風貌とは裏腹に、どこかのんびりとして優しいキャラクターのダムでした。



河本ダム
★★★★

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千屋ダム

堤高97.5m
G/FNWIP 1998年 岡山県営

2011.4.16見学


全国47都道府県で最もダムが多いのは?
答えは190基を誇る北海道ですが、面積の広大さを鑑みると、2位(169基)の岡山県が実質的には日本一のダム王国だとも思えます。(大半がアースですが)

今までこのブログでは500基以上のダムをレポートして来ましたが、その内、岡山県はわずか5基。
これじゃああんまりだ、と、言う事で、4月のとある土曜日に岡山へ向かいました。
いつものように日帰りですが、今日は周れるだけ巡ってみようと思います。
最初に訪れたのは中国道新見ICから10キロ程の所にある、県営の千屋ダムです。

堤高は100mの大台にわずかに届かない97.5m。
でも、集落の外れにそびえ立つ巨大ダムは、実際の数値以上の迫力があります。



左岸の道を登ってダムサイトへ。

1998年竣工と比較的新しい千屋ダム。
南東に向いている事が良いのかコンクリートにもまだ若々しさが感じられます。



両脇を自由越流式の洪水吐で固め、クレストセンターにはローラーゲート4門、さらに2門のオリフィスを配備。

ごちゃつきそうな部分は、シャープな導流壁の造形でスッキリ魅せています。



左岸には管理所。
駐車場から近い一部分は展示施設となっています。

小さな建物に見えますが、奥行きがあって実はかなり大きな建物です。



お洒落でしょ。
こじゃれたレストランみたいな感じ。

この辺りから只者でない感がヒシヒシと・・・。



展示内容はダムの目的や設備の紹介など、一般的なものなのですが見せ方が凄い。

ダムの模型が電動で真っ二つに割れ、片方がズズズと地下に埋没して放流設備の断面を見せてくれます。

うわー、秘密基地だっ!

カッコ良すぎて、社会見学に来た小学男子には、逆にダムの事は頭に入らないかも
ギミックが力作すぎる悲劇。



左岸には駐車場の他に石碑など。
このモダンな建物は巡視艇の格納庫です。



自由越流式の非常用洪水吐は、左岸側4門、右岸側7門の計11門。

何故こんなに沢山ずらっと並べるかと言うと、沢山あった方が越流部分の長さを沢山確保できるからです。
必要な放流量を確保したいのなら、大きな開口部の洪水吐をドカンと開ければよいとも思えますが、越流部の長さを長くすればするほど、同じ放流量でも越流部分の水の厚みを薄くできる。

つまり、洪水吐の開口部の天地を薄くする事が可能となり、それは最終的にはダムの堤高を低く抑え、省コンクリート、省コストに繋がると言う訳なのです。

うーん、なるほど。



千屋ダムの目的は洪水調節の他に、河川維持、水道、工業用水それに発電と多岐にわたります。

洪水吐の中から下流の集落が見えました。
なんとなく、象徴的な風景。



天端を歩きます。
90年代に竣工したダムらしい、装飾的な天端です。



クレスト中心にそびえ立つゲートピアです。

クレストゲート4門、オリフィス2門、それに堤体下部にあるコンジット用のコースターゲート。合計7門のゲートが行儀よく効率的に1列に並んでいます。



千屋ダムの名所となっているのは、2箇所にある赤い屋根付き展望スペース。
ダム設備としての役目はなく、純粋な展望台です。
他にもクレスト中心部に屋根なし展望テラスが用意されています。

壁には清流を泳ぐ渓流魚のレリーフ。
魚や水鳥などのモチーフでダムを飾るデザインは、今までどちらかと言えば否定的だったのですが、千屋ダムのレリーフは出来も良く、なかなか良いなと思わせます。(原画を展示施設で見る事も出来ます)

動植物のモチーフはダムのハード的な面では関係がありませんが、防災や河川維持を目的とするダムとして、実はとっても強い繋がりがあります。

「ダムは環境破壊じゃないよ」
「環境を守る為に、ダムを作ったんだよ」

と、言う事を訪れた方々にイメージして頂けるよう、こういった装飾は有効かもしれません。

渓流を泳ぐ魚のモチーフを通じて、コンクリートダムと、環境と、人とを結びつける事が出来るのかも。
今回、千屋ダムを訪れて、ダムの装飾に対する考えを改めました。



天端から下流を見ます。
減勢池に突き出しているのはコンジットゲートの建屋です。



歩いて右岸まで来ました。
端正な出で立ちの千屋ダムです。



赤いトンガリ屋根の展望台、中心にある展望テラス、手前の四角い建物はエレベータ棟です。
この3箇所の台座部分だけ、型押しコンクリートで石積風に仕立ててあります。
また、さらによく見ると、これらの建物の外壁には水平方向にラインが刻まれ、他の部分とは違った印象になっています。

その背後にあるゲートピアは、必要な大きさを確保した上で、壁を極力薄く、下部を絞るなどの形状で重い印象にならないような配慮が伺えます。



クレストに施されたこれらのデザインの意図は、ダムを下から見上げた時に解りました。

沢山の放流設備が並び、一見すると物々しい雰囲気になりそうなクレスト部ですが、自然と視線が赤いトンガリ屋根に集まって、背後の大きなゲートピアの存在を和らげています。

千屋ダムは集落の端にあり、沢山の家々から見える場所に建設されています。
災害から守る為の大切な施設ですが、すぐ下に住んでおられる方々にとって毎日その姿を見るのは、玄関先に常に非常持出袋を置いているような、軽い緊張感を持たれるかもしれません。

千屋ダムの特徴的なクレストのデザインは、非常用洪水吐の存在を軽減し、優しい表情にする為の配慮ではないかと感じました。
(※ あくまであつだむ宣言!の個人的な推測です。オフィシャルなものではありません)



優しいコンクリートダム。

千屋ダム
★★★★

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社口ダム

堤高16.2m
G/P 1954年 中国電力

2010.1.9見学

アーミーナイフ。



社口ダムは、湯原ダムの下流にある中国電力の発電用ダムです。

左岸側に3門のラジアルゲート、右岸には自然越流の余水吐があります。
左岸の端にあるのは排砂ゲート、さらにその横から河川維持放流がされていました。

川幅いっぱいに各設備を並べたスタイルは、小型のダムですが独特の機能的な品格が漂っています。

自然越流部分のそっけないほどのシンプルさや、ピア上部が狭いクサビ形のゲートピアがよりクールさを演出しています。



小柄でありながら、全ての機能が揃う。
そんなアーミーナイフを思わせる社口ダムでした。

社口ダム
★★

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湯原ダム

堤高73.5m
G/FP 1954年 岡山県営

2010.1.9見学

湯けむりの向こうに。


岡山県 湯原ダムの広大なダム湖は中国地方で最大規模を誇っています。

まずは、ダムサイトからいつもの様に天端を歩く。
大きなゲートピアが目を引く。両脇には螺旋階段。



丸山ダム形のスタンダードな重力式コンクリートの湯原ダム。
クレストには6門のローラーゲートが並びます。

天端からゲートピアを見上げると、巻揚げプーリーが何時もと違う見慣れない方向を向いていました。良く知らないだけで、巻揚機もさまざまなタイプがある様です。



左岸にある管理棟。
敷地が狭いのか、ダム湖にせり出して建てられています。景色は良さそうですが底冷えしそうですね。



天端から下流を眺めると、下流の河川の一画に、湯気が昇っている事に気が付きました。

あ、お風呂だ。



そうか、たしかダムを見ながら浸かれる露天風呂って読んだ事があるぞ。
訪れた現地で驚く事を期待して、予習はあまりしないので、時々こんなボケのようなサプライズがあります。後で下に行ってみましょう。

湯原ダムのクレストで気になったのは、この「襟元」の形状。
これって藤原ダムに良く似ていますね。
藤原ダムに訪れた時は、鋼板でカバーしてると思ったのですけど、表面にコンクリートの保護剤を塗布して塗装で仕上げていたのかも。本当の所はどうなのかなあ。



湯原ダムの下は、沢山の温泉旅館が立ち並ぶ活気ある温泉街が広がっていて、狭い路地には他県ナンバーの温泉客が溢れていました。

街が狭いので、日帰り客は川の中に作られた駐車場を利用する様になっています。
湯原ダムが出来て、激しく氾濫する事が無くなったんでしょう。対岸の旅館も川面近くまで施設があります。
温泉街特有のリラックスした空気も漂い、川面とほとんど高さの変わらない駐車場からは、街全体が無防備に油断してる様に思えましたが、それがこの湯原温泉の雰囲気なのでしょう。



こうして見るとダムの巨大さが良く解りますね。
写真右下の東屋が露天風呂です。天端から見て男湯だけかと思えば、実は混浴露店風呂でした。
ここから先はカメラ自体の持ち込みも厳しい様です。

温泉好きのダム愛好家に是非お勧めの湯原ダムでした。

湯原ダム
★★★

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恩原ダム

堤高24m
B/P 1928年 中国電力

2010.1.9見学

ダムマニアの道。


本当は今回予定していなかった恩原ダム。冬季は雪に埋もれ、見学困難という話を読み聞きしていたからだ。
でも、現地で苫田ダムからそれほど遠くない事が解ると、直ぐにウズウズして来た。
・・・よし、行こう。

国道179号津山街道を北上。苫田ダムの辺りでは気温は低いものの雪は無かったが、路肩に積雪があると思った途端、どんどん雪の量が増え、恩原ダムの付近では1m近い積雪量となった。

幸い、国道の除雪は完璧で何の問題もなくダムサイトに到着。
ところが、困った事に国道からダム本体まで、除雪どころか職員の方が訪れた形跡もなく、雪は積もり放題。



念の為に冬用の長靴は持ってきたのだが、深い雪に無理に突入してジーパンを濡らす訳にも行かず、少しずつ雪を踏みつけながら道を付ける事になった。

少しづつ、少しづつ雪を踏む。力を入れすぎると、ずぼっ!と穴が開いてしまうので自分の体重を支えられるぎりぎりの堅さになるように。



地道な作業の結果。10数分かかり無事ダムマニアの道が開通。
天端に近い辺りは日当たりの関係かアスファルトが露出していた。



右岸には余水吐。
ゲートの支柱はあれど、ゲートは有らず。
下流面が垂直なバットレスなので、ここから溢れた水は山の斜面に彫られた水路を流れ下る。



ゲートの支柱になりげなくプレートを発見、登録有形文化財の証。
近くで見たいのだけど、雪が・・・・。

恩原ダムの竣工は1928年、現存するバットレスでは笹流ダムに次ぐ2番目に古いダムである。



ついに、バットレスダムの天端に到達。
天端は普段から開放され自由に往来できるようだが、ここも雪に埋もれている。
足跡ひとつ無いので写真では雪の深さは解り辛いが、コンクリートの高欄上の積雪を参考されたし。

歩ける天端は必ず歩く。
ダム巡りを始めてから自分に課したルールであり、去年1年間で合計60kmほどダムの天端を歩いて来たが、今回、初めてそのルールを守る事が出来なかった。無念。



天端からの恩原湖。
一面凍結した湖は、さらにその上を雪が覆う。遠くの岸まで完全な平面。

恩原ダムは、丸沼ダムに続いてバットレスダムで2番目にダム湖が広い。
湖の右岸にはスキー場があり、ここまでゲレンデに流れるBGMが聞えてきた。



さて、国内現存数6基と言う大変希少なバットレスダムである。
是非とも下流面からその姿を拝みたいのだったが・・・・。

普段は、ダムの下へ行けるらしいのだが、今回は積雪により、その道さえ見出す事が出来なかった。
国道からも、道路脇の林に阻まれ、これが限界。



ぐるりと恩原湖を周回してみた。除雪が良好なのはスキー場までで、そこからは圧雪の路面となった。

バットレスダム特有の遮水板のスロープも一面の雪で覆われる。
湖の周囲は穏やかな山林が広がり、雪に覆われる冬だけでなく、四季を通して美しい自然を見せてくれるだろう。

次回は三滝バットレスを見た後に足を伸ばし再訪する事としよう。
雪の無い季節に。



恩原ダム

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苫田ダム

堤高74m
G/FNAWIP 2004年 国土交通省

2010.01.09見学

パーフェクト。



苫田鞍部ダムを観た後は、もちろん本命の苫田ダムへやって来ました。
1月初旬の冷え込んだ朝、穏やかな湖面。

天端はそのまま車で通行出来ます。
夜間はゲートが閉められ通行出来ない様なので、とても早い時間に訪れる時は注意が必要です。

取水設備などの建物が低く抑えられ、とてもスッキリとした天端。街路灯の柱のような物もありません。
凍ったアスファルトは半端なく滑るので、サマータイヤの方は要注意です。
まずは、車を停める為、そのままパーキングがある右岸まで進みます。



駐車場に車を停め、目前のラビリンス式洪水吐を観て驚く前に、度肝を抜かれたのが管理棟のデザイン。
展示施設も併設された管理棟は超が付くモダン建築。建物だけでなく、駐車場からのアプローチや、展望テラスなど、空間が総合的にデザインされています。当然バリアフリー。
手前側の半地下にある展示室へは、モダンすぎて入口が判らず、開かないガラス窓の前で自動ドアが開くのを待ってしまいました。(恥



安藤忠雄風のモダン管理棟の凄い所はデザインだけではない。ノアの箱舟のような建物を支える柱には、最新の免振技術が使われています。
ダムの頭脳として完璧な地震対策です。



すっかり管理棟ばかり観ていましたが、ここで改めてダム本体を眺めます。
丁度、朝日が堤体に射してきました。
2004年竣工のまだまだ新しいコンクリートが朝日に輝きます。



天端を散策します。
取水設備の屋根がテラスになっていて、そこから眺めるラビリンス式洪水吐。
ジグザクの越流部分は前後に深く。天端通路はダム軸から下流側へオフセットした位置にあります。
その為、下流面よりこちらのダム湖側の方がコンクリートの複雑な造形をしっかりと鑑賞できます。



鋭角なラビリンスの先端。
あらゆる土木建築の中で、こんな造形を魅せるコンクリートはこの苫田ダムだけでしょう。
越流部分を乗り越えた水は、垂直の壁を落ちる感じになるので、流麗と言うよりも、豪快な放流になるのではと思います。



クレストの洪水吐と共に、苫田ダムで特徴的なのが堤体中央に置かれた引張式ラジアルゲート。
圧縮よりも引張に強い鋼材の特性を活かす構造なのだそうです。
堤体保護にステンレスが貼られていますね。



この2門ある引張式ラジアルゲートの間には、ガラス張りの一室があり、堤体内エレベータを使って中に入る事が出来ます。
外観からはゲートの機械室かなと思えば、一般見学用に仕立てられた展望室なのでした。
結露取りのハンディワイパーまで用意される細やかな配慮に感激です。

FNAWIP 治水・利水に多くの目的を持つダムですから、是非多くの人に足を運んで見学して頂きたいです。



ダム湖側の予備ゲート群。
苫田ダムは、引張式ラジアルの他に、2門のコンジットも装備しています。
毎秒20㎥までの放流は利水放流設備から、それを上回り毎秒100㎥までは引張式ラジアルの水位維持放流ゲートが加わり、さらにそれ以上となれば、一番下のコンジットが開けられるようです。



天端から望む奥津湖。
ダムにより建設された代替道路も、極力自然の山の斜面を残した、環境に配慮したものに見えます。



照明が高欄に埋め込まれ、管理棟に負けないモダンな天端。
このくらいシンプルにまとめないと、複雑な形状の洪水吐なので煩雑な印象になってしまうんでしょうね。

ビルトインした照明の下には開口部があり、天端の足元を照らすと同時に、夜間、下流から堤体を見上げた時のアクセントとなる仕組みです。デザイン上手過ぎです。



最後にダムの下へ降りてみました。
車でかなり迂回する必要がありますが、芝生の広場があり、正面に架かる橋からダムを眺める事が出来ます。
副ダムから溢れる利水放流が美しいです、天然石を配置した下流も良いですね。

堤体を眺めると、ラビリンスにばかり目を奪われますが、よく見ると中心付近の4門は通常の自然越流式の洪水吐となっています。




従来のダムのイメージ覆す、スタイリッシュなデザイン。
それを裏打ちする最新鋭の技術。そして見学者への配慮。
どこにもスキを見せない完璧なダムなのでした。

苫田ダム
★★★★★


おまけ。
パーキングのトイレもこのお洒落さ。
これがダムなのですか?そう、これもダムなのですよ。

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苫田鞍部ダム
堤高28.5m
R/  2004年  国土交通省

2010.01.09見学

2010年、最初のダム見学は岡山の苫田ダムから始める事に。
苫田ダムへの道すがら、まずは鞍部ダムが現れたので見学する事にしました。

今年のダム初めの記念に、特別に僕も影でブログ初出演。
と、言うか初めて使う広角レンズで、影が入ってる事に気付かなかっただけかも。



ロックフィルの苫田鞍部ダム。河原の石のような天然の丸石で化粧されています。
他より大きな石を並べて描いているチェック模様は、苫田ダムのラビリンス式洪水吐をモチーフとしているんだそうです。

冬晴れの朝、気温は低いけど、澄んだ空が気持ち良いです。



堤体下のリップラップと少し離れた所に地下への入口があります。
鞍部ダムには放流や利水の設備はありませんから、堤体の監査廊への入口でしょうか。



右岸の車道から堤頂部まで登ってきました。ダムサイトには駐車場も完備。
堤頂部分は未舗装ですが、車両通行禁止ですし、対岸の左岸で行止りなので、なんら問題ありません。未舗装と言ってもすごく平坦なので、砂の下にはコンクリートで舗装がしてあるかもしれません。

霜柱をザクザク言わせながら堤頂部を歩きます。

下流側とダム湖側で高欄のタイプが違いますが、それには理由があって、このロックフィルダムは、コンクリート遮水壁を持つタイプなのです。



フラットなコンクリートの斜面。
近年のロックフィルの中では、遮水壁を持つのは珍しいかもしれません。

湖面は遮水壁から遥か手前、地山の下に見えます。
この苫田鞍部ダムだけを見たら、もの凄く水位が低く見えますが、これで通常の様です。

苫田鞍部が満水の時は、きっと苫田ダムではラビリンスから放流してるような状態ではないかと思います。
苫田鞍部ダムにしたら、200年に一度という見せ場なのに、ギャラリーはみんな苫田ダムのラビリンスに釘付けなんでしょうね。そう思うと、鞍部ダムはちょっと可哀想なキャラクターです。



堤頂部から下流側。ダム下には公園が広がっています。
遊具などの設備は、まだまだこれからなのかもしれませんが、グランドもあり野外イベントなどにも利用できそうです。
先ほどの地下への入口も見えます。



堤頂部を左岸まで行くと、実際工事に使用したものでしょう、スリップフォームという建設機械が展示されていました。

スリップフォームは、元々道路の舗装用に考案されたものだそうで、機械に設置された鋼製型にコンクリートを投入しながら機械を前進させ、締固めをしながら断続的に平坦なコンクリート面を作ってゆく方法です。
道路以外では、飛行場の滑走路、水路や分離帯の防護壁などにも使用される工法なのだそうです。



苫田鞍部ダム
★★
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