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舟川ダム
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2013.07.30 Tuesday 12:17
堤高49.8m
G/FNS 2012年 富山県営
2013.5.25見学
5月の終わり、初めて円筒分水を観に行きました。
意外かもしれませんが、今までダムにしか興味の対象がなく、訪問先に円筒分水があってもずっとスルーしていたのです。
富山県 片貝川の円筒分水です。
円筒分水観賞の第一人者である、おざすきぃ氏によれば、日本一美しい円筒分水であるそうです。
こ、これはたしかに素晴らしい!
しかし、いきなりしょっぱなからこれを観てしまって大丈夫なのか、俺。
そんな事を思いつつ、気が付けば1時間以上、ざわざわと流れ落ちる水を眺めたり、中心から湧き上がる水に心奪われている自分がいました。
円筒分水を堪能してやって来たのは、昨年完成したばかりの舟川ダムです。
豊かな緑あふれる山の中、真新しい真っ白な堤体が輝いています。
どうですかこの白さ!
洗濯洗剤のCMのオファーが来てもおかしくない、まさに眩い白さです。
水平に刻まれるラインが直線基調の造形を際立たせ、白いコンクリートと相まって清々しい表情を感じさせます。
リズム感のあるフーチングも、フーチングファンにはたまりません!。
車道のある左岸にパーキング、ダム碑などなど。
一番奥の四角い建物が管理所です。
堤体の端っこにも四角いブロック。
監査廊の入口でしょうか?ちょっと面白い形です。
小振りな貯水池。
防災ダムとして洪水を調節するほか、富山らしく消流雪に水が使われます。
左岸のダムの為の新しい道路は、山林を削るのではなく、盛り立ててダム湖ぎりぎりに道が造られています。
この方が地山を削る事なく出来るので環境負荷が少ないのです。
盛り立ての土も、建設残土が使われたのかもしれません。
開放されている天端から下流側。
蛇行した川に合わせて、減勢工も軽く曲っています。
普通なら、下流の河川に手を入れ、ストレートに減勢工を伸ばしたい所ですが、ここも少しでも自然の地形を変えないように苦心した印象を受けました。
全体として、元々の地形への負荷を最小限に抑えて建設されたダムのように感じます。
そしてこの真っ白な堤体。
年季の入った黒々としたダムも良いですが、触ってみると手が白くなる程の新品も、なかなか魅力あるものです。
舟川ダム?いつ行くの!
今でしょ!!
舟川ダム
★★★ -
大河原発電所取水堰
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2013.07.26 Friday 12:18
堤高14.9m
G/P 1919年 関西電力
2012.12.7見学
昨年末、水力ドットコムで有名な「日本で最も多くの水力発電所を見た男」ことHisaさんが著書を出版されました。
その名も「水力ドットコム」と言う本の中で紹介されている物件がこの日のターゲットです。
まずその目的地までの道標となるのが御存じ高山ダム。
名張川の守護神としてあまりにも有名な重力式アーチダムです。
名張川はこの高山ダムの直下で木津川と合流します。
そして、その合流点にあるのが、大正8年(1919年)に建設され、今もなお関西電力の手で電気を産みだしているのが大河原発電所取水堰です。
目的の取水堰は高山ダムのすぐ近くです。
以前、高山ダムに来た時は、その存在すら知らずスルーしていました。
今日は天ヶ瀬ダムを経由して宇治方面から来てるので、下流から向かって高山ダムの手前およそ1キロといった地点です。
見えた!
真っ白な越流が眩く輝いています(そして写真に撮り辛い)。
大正時代に建設された取水堰堤は当然ながら石張造りです。
堤高は奥ゆかしく14.9m。
あと10センチでダム便覧にも載って、よく知られる事になっていたと思います。
実は、Hisaさんの出版以前から存在は薄々気が付いていましたが、石張ダムの調査範囲をローダムにまで広げると、この先とんでもない泥沼にはまる気がして、今日まで訪問を敬遠していました。
ところが、Hisaさんの「水力ドットコム」の写真でその姿を拝見して、これを見なくして石張ダムは語れないぞ!!という思いが強くなったのでした。
初見の取水堰、イメージ通りのとても立派で堂々とした姿です。
なんか妙に感動。
対岸に口を空ける暗渠。
位置的に排砂設備かな?と、思います。
一歩一歩、歩く事で徐々に見える角度が変わっていく事を楽しみながら、すぐ傍まで来ました。
これが大河原発電所取水堰の全容です。
堤体表面、とても綺麗なカーブです。
堤体の深部に向かって孤を描くような塊感があります。
全体としてシンプルなシルエットと言う事もあり、その塊感が質の高さを感じさせ、品格さえも漂わせています。
高さが15mに満たない取水堰堤ですが、名堤と呼んで全く差し支えありません!!。
うーむ。
思わす独り唸り。(顔は多分ニヤニヤしてたと思う)
手前の左岸には魚道と思われる設備があります。
一番前の平坦なスロープの用途ははっきりとは解りませんが、水位を調節する放流路かな?と思います。
(越流部は木板をはめる構造なので、木板の保守作業の時に通常より水位を下げる必要があるのかな?と、)
貯水池対岸には、これまた石張の年季を感じる設備。
発電所への取水口だそうです。
右岸には堤体のすぐ近くにもゲート設備とおぼしき構造物。
堤体の穴の近くなので排砂ゲート?とも思えますが、現役なのか遺構なのかも不明(見た目は完全に遺構です)
写真手前は越流部なのですが、本来整然と並んでいるはずの木板がことごとく破壊され、支柱に漂流物がモサモサと絡む、少し可愛そうな状況でした。
たぶん、夏にこのエリアを襲った記録的豪雨によるものじゃないかと思います。
ところが、板が流され残った支柱に夕暮れの低い日差しが当たって、貯水池側に櫛状の影を落としていました。
流芥のモサモサはちょっとアレですが、これはこれでなんだが綺麗・・・。
ゴミがゴミに見えないよう、思い切ってモサモサは白く飛ばしてみました。
なんだろ、ふわふわした不思議な感じ。
どうでしたか?大河原発電所取水堰。
高山ダムを訪問した際には、是非立ち寄ってみる事をお勧めします。
僕は越流部分の木板が治って、本来の姿になった頃を見計らって、また再訪したいなと思っています。
大河原発電所取水堰
★★★★ -
門入ダム
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2013.07.23 Tuesday 12:13
堤高47.3m
G/FNW 1998年 香川県営
2012.11.24見学
香川県 門入ダム。
これが今回の遠征の終点です。
堤高47.3mの重力式コンクリートダムは、1998年竣工と比較的新しい、県営の多目的ダムです。
外観で一目で解る特色は、四万川ダムや三春ダムなどにも採用されている石積風の装飾型枠が使われている事です。
(上の2基は有名だけど、香川にもあるんだよ〜)
パターンは四万川と似ていますが、良く見ると少し違うようです。
直接見比べた訳ではありませんが、四万川よりも少し平坦で、筋の彫りが浅い印象です。
なんて事を感じながら眺めていたら、フーチングを人が上がって来るのが見えました。フーチングの階段が開放されています。
左岸駐車場に車を停めて、天端散策開始。
天端は車両通行禁止ですが、駐車場は右岸やダム直下にもあり、いろいろと開放されているダムのようです。
天端通路はこんな感じ。
ブロックで舗装されてるだけでも、随分と雰囲気が良くなりますね。
公園の散歩道って感じ。
周囲の山並みが異様に低い貯水池。
讃岐平野の山裾にあり、アースダムを思わせる立地です。
実際この門入ダムは、元々あった土堰堤の貯水池を再開発して造られたようです。
天端から下流方向。
ダムの真下から始まる讃岐平野。
直下は公園になっています。
減勢工。
越流部には石張風の装飾はありあせん。
なんだか妙にデザインに拘りをみせる門入ダムです。
これは多分ゲート設備です。
でもって、これはエレベータだと思う。
周囲に見晴らしスペース付き。
管理所だってこの通りの変わったデザイン。
逆に繋船設備がいたって普通で、なんだが可愛い・・。
化粧型枠から始まり、変わったデザインの多い門入ダムですが、極めつけはこれでしょうか?。
両岸のフーチング上にカラータイルで絵が描かれています。
地元中学生のデザインによるもので、町の特色やイメージをモチーフとしているそうです。
今までありそうで無かったアイデアです。
天端から凄く目に付きますし、見学者の視線を考慮した良い工夫だと思います。
しかも、門入ではここも開放されている(左岸だけだったかもしれない)から楽しいですよね〜。
両岸の着岩部は地山を深く掘り込んだ感じになっています。
下流が広く開けている事もあり、フーチング上のイラストとも相まって、独特のぽわわ〜んとした、なんとも平和な空気感です。
管理所のある右岸にはいろんなモニュメントが並ぶ芝生スペース。
いろんな不思議いっぱい、ぽわわ〜んダム。
モニュメントに交じって、ダムの出来る以前にあった池の石碑。
秋の行楽シーズンって事もあるのか、香川のダムには必ずお客さんの姿がありました。
香川県人、実はダム好き?。
クレストの洪水吐です。
非常用4門の間に高さ違いでオリフィスが2門。
ライトアップ用と思われる照明が点々と並んでいます。
平野の広い範囲から見えるダムなので、ランドマークとしての役割もあるんですね。
(個人的には、堤体からの染みが結構多いのが少し気になる・・・)
クレスト部分の化粧型枠のディテール。
三春ダムのレポで少し触れましたが、越流にさし障りのないギリギリの範囲まで隈なく施工されています。
いい仕事してますなー。
実は香川にもあった、こんな開放感あふれるコンクリートダム。
全国的にはいまひとつ有名なダムではありませんが、なかなか良いダムじゃないかと思います。
門入ダム
★★★★ -
大川ダム
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2013.07.19 Friday 12:15
堤高36m
G/FN 1963年 香川県営
2012.11.24見学
五名ダムから北へ数キロ、大川ダムも県営の洪水調節メインのコンクリートダムです。
五名ダムからそれほど遠くありませんが途中で分水嶺を越え、川筋の方向は真逆となっています。
綺麗で立派なダム管理所。
ダム自体は半世紀前に造られた物なので、立て替えたのだと思います。
右岸から。
天端入口に2本のチェーン。
さっきの五名と似たチェーンだけど、天端立入禁止だと思います。
(人が跨げないようにチェーン2本・・・)
ダムが北向きって事も関係あるのか、昨日の雨で湿った堤体には苔もびっしり。
クレストのゲートは、ローラーゲート1門です。
とりあえず、こんな感じでしょうか・・・。
香川県のコンクリートダムはこんな感じの堤体が多いような気がします。
大川ダム
★★ -
五名ダム
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2013.07.16 Tuesday 12:34
堤高27.5m
G/FN 1961年 香川県営
2012.11.24見学
さてさて、北は青森から南は鹿児島まで、全国津々浦々のダムを見て周って、好き勝手にだらだら書いてるこのブログですが、日帰り圏内(?)にありながらレポが少なく手薄な県がありました、それが香川県です。
豊稔池と満濃池を落として、香川はもう行きつくした感を勝手に感じてましたが、改めて地図を見るとコンクリートダムも思いのほか沢山潜んでいます。
香川はアースばかりだろうとノーマークだった自分を反省して、見坂池の後はそのまま山を越えて香川県に入りました。
晩秋の香川。
真っ赤な紅葉が美しいダムサイト。
と、言うか、紅葉じゃま(笑。
紅葉の隙間から。
五名ダムは県営の防災と河川維持を目的としたコンクリートダムです。
天端は車両進入禁止。(元々軽自動車でギリギリの狭い天端です)
入口にチェーンがありますが、一般の人もうろうろしてますし、ゲート設備など立入ってはダメな所は個別に立禁の看板がありますから、たぶん天端は入れるものと思います・・。
もっぱら他の人は紅葉が目当てのようです。
地元の方々かな?結構ひっきりなしに人が出入りしていました。
天端から下流を見てびっくり!
なんだか減勢工が面白い事になっています!。
3門あるクレストゲートからの水は軽いジャンプ台で前に飛ばされるみたいですが、副ダムを用いたウォータークッションではなくて、長ーーーい、水路状の減勢工で水を落ちるかせるようです。
振り返って、貯水池はこんな感じ
クレストゲートを上流から。
シンプルな造りにスライドゲート?ってふと思ったのですが、いやいやちゃんとローラーゲートでした。
国道のすぐ脇にあるダム管理所。
敷地が狭くて国道と貯水池の間のちょっとした隙間にある感じ。
一階の窓から不意に中を見てみたら・・・。
五名ダム情報掲示板と書かれたパネルがありまして・・・。
クレストゲート放流量の下。
「ホロージェットバルブ放流量」の文字が!
あ、
これ、クレストのジャンプ台の下にコンジットバルブを隠してるな!
思わぬところで減勢工の構造の意味が理解できました。
しかし、この長く伸びた放流路から、ほぼ水平に放たれるホロージェット。
すごく見てみたい!!。
なんとか、ホロージェットのバルブが見えないのか?周辺を探ったのですが難しいみたいです。
直下に養魚場と思われる施設があり、そこから見えないかと思ったのですが、番犬の吠える声もしてたので諦めました(案外犬苦手・・・)
ちなみに、冒頭で青森から鹿児島と記しましたが、しれっと千葉が未開だったりするこのブログです。
五名ダム
★★★ -
見坂池
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2013.07.12 Friday 12:47
堤高17m
G/FA 1946年 徳島県営
2012.11.24見学
愛媛からの帰り道、徳島道を土成ICで降りて寄り道する事にしました。
以前このブログで、知られていないけど実在する石張ダムの情報を求めた所、日本全国を股にかけるダム紳士・阿部塁さんから教えて頂いたダムがあるのです。
情報によると見坂池というその石張ダムは、宮川内ダムの下流数百メートルの位置にあるとの事。
(宮川内ダムも、その上流の石張ダム・御所池も既に訪問済み・・・なんとも効率悪い、と、言うかよく調べてから行かないとダメですね)
宮川内ダムの下流3、400mの所に見坂という地名があります。
谷が深い事もあり、車道からは直接ダムは見えません。
でも、道路脇に趣のある石碑が鎮座してあり、場所は直ぐに特定できました。
石碑の近くから谷に向かって道があります。
一見車道のようですが、直ぐに未舗装の歩道になってしまいます。
写真左が国道318、先のカーブを曲がるともう宮川内ダムが視野範囲の距離です。
ざくざく歩道を歩いて到着しました。
以前、阿部塁さんから送って頂いた写真のままです。(当然か?)
堤高17m、立派な石張ダムです。
その後、阿部塁さんの報告によりダム便覧で知られるようになりましたが、ダム目的は灌漑用水の他にF(洪水調節)も持っているそうです。
明らかに砂防堰堤を思わせる風貌ですが、洪水調節の具体的な事はよく解りません。
その風貌と共にこの見坂池を特徴付けているのが独特の石張です。
知間石とも異なる微妙な形、そのくせ表面は平滑に仕上げてあります。
そしてこってりと幅広な目地が面白い。
石張というか、「石貼り」と当て字を付けたくなる感じです。
その石張も天端付近の越流部に近い所では少し繊細な感じになります。
表面の石張は、完全に表面保護を目的にしているのだと思いました。
天端の上はどうなってるかと言うとこんな感じ。
越流部の上にはスリットを刻んだ支柱があり、木板を落とすようになっています。(現在は使われていないようだ)
木板を使うのは、出水で破壊されても簡単に修復できるからだと思いますが、ダム目的にあるらしい「F」と、なんだかイメージのつじつまが合わなくてモヤモヤ。
上流面は木々に阻まれ眺望が悪いのですが、下流と同じで石張となっている事が解ります。
堤体の傾斜は下流よりも少しだけ緩やかに見えます。
再び写真は下流側。
堤体の中心部分に放流口があります。
ところどころ目地が抜けている部分がありますが、特に機能上は問題ないようです。
(越流水の跳ねかえりがそうさせるのか、それともその時に練ったモルタルが悪かったのか?、目地の抜けが水平方向に広がっていますね)
岩盤直結な堤体着岸部。
苔がびっしりと覆っています。
直下の減勢部は広いプール状になっています。
水底はコンクリートで覆われ洗掘を防いでいます。
減勢池を形作る副ダム。
こちらも表面石張です。
関係の無い話ですが、僕の住んでる所は長良川上流の支流にあり、小学校に入った頃はまだ学校にプールが無くて、自宅近くの川の「堰堤下」とか呼ばれていたポイントでよく皆で泳いでました。
子供の頃は意識してなかったのですが、ようは「砂防堰堤直下の洗掘した窪み」が僕らの遊泳場だったみたいです。
川床の破壊されたコンクリートの裏によく魚が潜んでいて、その後、学校に新しくプールが出来ましたが、プールより川の方が断然面白くてよく通った気がします。
(泳いでいた川はもっと水量豊富で、水も澄んでますが)
この見坂池、完成は1946年と石張ダムとしては遅い時期の完成となっています。
これより完成が後なのは、戦争で工事が中断して完成が大幅に遅れた淡路島の成相池(1950年完成)くらいではないかと思い、少し調べたのですが広島の門田貯水池(栗原ダム)も1950年と遅い完成となっていました。
門田貯水池もこの見坂池と良く似た砂防チックな外観なので、時代的な共通点の他にも何か繋がりを感じるところです。
見坂池
★★★ -
銚子ダム
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2013.07.09 Tuesday 12:15
堤高47.2m
R/A 1977年 愛媛県営
2012.11.24見学
幸口ダムを調査した後、再び松山市に戻り国道33を南下、途中でとべ動物を左に見て(かばのいる動物園だ!)愛媛県営のロックフィル、銚子ダムに来ました。
雨はすっかり上がって晴れ間も覗いてきました。
雨上がりの空気の澄んだ気持ち良い日になりそうです。
天端脇にダムの説明看板。
銚子ダムは農業用水の確保を目的とした灌漑用ダムです。
愛媛の農産物と言えばみかんが思い浮かびますよね。
このダムの水は果樹栽培用に送水されています。
堤体断面図が凄い。
何が凄いかというと、基礎地盤に結構な傾斜が付いています。
ダムサイトまで急な峠道を登って来たのですが、随分険しい所に建設された事が伺えます。
すっきりとした天端。
道路用のガードレールを使っています。
立派なダムですが、華やかな印象はありません。質実剛健。
綺麗に整えられたリップラップ。
下流の谷が深い事もあって、堤高以上の迫力があります。
訪問したのは11月の暮れです。
水位はかなり低くなっていました。
法面は赤土ですが地形のシャープさが印象的です。
堤体右岸端にある非常用洪水吐です。
コンパクトな扇形の越流部。
そこからぐいーんと放水路が伸びています。
でもって放水路は左にカーブして・・・。
と、放水路はここから先が目玉なのに残念ながらスロープを眺望するポイントがありません。
南相木のように、地山の上をかち割る感じでカッコイイ洪水吐になってるはずなのですが・・・。
スロープの一番下と思われる所が辛うじて天端から見えました。
砂防堰堤のような減勢工。
実はダム便覧に載ってる写真がカッコよくて来てみたのですが、撮影ポイントへのルートが解りません。
堤体のリップラップ上に点検用の階段が付いているのですが、ガードレールを跨いで越えた先にある為、これは行っちゃいけない階段だと思い諦めました。
だからと言って、わざわざ愛媛まで来て簡単には諦めが付きません。
車で下流に戻って下から堤体に向かいます。
ところがこの銚子ダム、下流からダムへ行く車道がありません。
戦前のダムでもないのになんていう険しさ!本当に凄い谷に建設されたようです。
幸い、ダム下流の国道から堤体はわずか300m程しかありません。
なお且つ、国道からダムまでの間に滝があるようで、遊歩が付けてありました。
きっとこの歩道の先は銚子ダムの直下のハズ・・・。
(ここで、幸口ダムの帰りにクモの巣払い棒の竹竿を置いてきた事に気付く・・・最近こんなダム巡りばかりだ)
ところが歩道を登って数十メートル。
眼前に切り立った巨大な一枚岩に阻まれてしまった。
ちょろちょろ流れてるのが滝?
水量はともかく、とにかく凄い岩盤!
超広角レンズでも全容はまるで収まりません!。
でもって、肝心の歩道はここで終点でしたー。
堤体はすぐ近くのはずですが、この岩盤なので取り付く場所もございません。
下のトンネルが国道379岩谷バイパスのトンネルです。
その背後の岩盤が例の滝。
そしてその背後に!
繰り返すようですが、なんだか凄い所にあるダムです。
銚子ダム
★★★★ -
幸口ダム
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2013.07.05 Friday 21:33
堤高20.6m
G/W(機能停止)1926年
2012.11.24見学
今回のダム巡りの旅、夜の間にしまなみ海道を渡り、3日目は愛媛県に上陸。
松山道伊予ICから、伊予灘を右手にJR予讃線にそって延々走ること1時間、大洲市長浜港の手前、長浜町拓海の石油基地のすぐ裏手に到着。
目的のダムは予讃線下の暗渠を潜った先にあると聞く。
この穴か・・・。
暗渠を抜けると風景が一変。
藪の中に廃屋が見える。その昔は浄水施設に係る施設だったのだろうか。
昨夜からの雨は小降りになったものの、茂った雑草を冷たく濡らしている。
雨合羽、長靴、手袋、それにクモの巣払棒のフル装備で藪の中を進む。
この先にある「幸口ダム」は、大正時代に建設された、愛媛県で最初の水道水源地であるらしい。
そんな幸口ダムも、時は流れ現在は廃ダムとなってこの山の中でゆっくりと余生を送っているのだとか。
今はほとんど人が入る事が無いのだろう、今まで何度かこの様な道を歩いたが、なかなかの荒廃具合。
しかし、坂の勾配は大したことがなく、順調に足を進める事が出来る。
JRの暗渠から歩くこと10分。
そろそろ・・・。
そう思って藪の中に目を凝らす。
石張りの壁!あった!幸口ダムだ!!。
坂を登りきり無事ダムサイトに到着。
しかし、あまりにも木々が茂り視界が全く効かない。
透き通った緑色をした水面がちらちらと見えるも、肝心の堤体はほとんど見えない。
そしてこれが幸口ダムの天端。
2日前の谷山ダムを含め、今まで何基かの廃ダムを訪れたが、これほど荒廃が進んだ物件は記憶に無い・・・。
慎重に足元を確かめながら一歩一歩前進。
と、言うものの、廃ダムとなった現在の幸口ダムの天端には欄干が無い。
これがデフォルトなのか、廃ダムへの改良工事によって撤去されたのか。
岸から離れるにつれ、次第に足元に進出した雑草が切れ気味になり、コンクリートの地肌も見えてきた。
しかし、依然と下流面は爆発するように茂った木々で天端の境目が解らない。
反対の上流側はまだ視界が利くが、堤高20.6mの立派なハイダムである。
転落したら只では済まない。
天端の中程まで来た。
ここで天端は途切れ大きくえぐられた「水通し」に行きあたる。
推測であるが機能を廃止するに際して、砂防堰堤のように堤体の一部を切り取ったのだと思われる。
水通しの側面には元々の堤体の形状が残る、また、天端付近には竣工当初からと思われる石張りが見られ、元々の洪水吐の部分をカッターで深く切り取ったようだ。
天端付近に残る石張り、四角い石材の布積みである。
右岸寄りに取水設備、左岸よりに洪水吐、たぶん洪水吐上には元々管理橋も無かったものと思われる。
どことなく宇和島市の柿原第一水源地堰堤との類似性を感じる。
柿原第一水源地は、愛媛県下でほぼ同時期に建設された水道水源地で、水道の通水は何カ月の違いでこちらの幸口ダムが先のようだ。
足元にぽっかりと口を空けている取水設備。
穴は深く、堤体の一番下辺りまで続いていると思われるが、真っ暗で底は見えない。
手摺りの基部だったのだろうか、点々とボスのようなコンクリートの突起が縁に並ぶ。
穴の堤体側には梯子が備わるが、この幸口ダムの完成は今から87年前の1926年である、その間に改修が入っている可能性は多分にあり、現状が竣工時からの状態であるかなど、詳細は不明。
と、言うのも、この幸口ダム、下流面は石張りと言われているが上流の堤体表面には石張りが見られない。
普通に考えるとスタンダードな総石張りダムとして完成し、何十年か経た後、改修により上流面にコンクリートが打ち増しされたと考えるが、初めて型枠を用いて建設された、大井ダムの完成から2年後と言う微妙な竣工年代からすると、型枠を使いやすい上流面のみ型枠を用いたのではないか?そんな仮説も脳裏に浮かぶ。
もしそうだとすれば、ダム建設技術の過渡期を残す大変貴重な堤体と言えるだろう。
(ちなみに、手摺りの基部と思われる突起の断面に鉄筋が見られない・・・コンクリートを扱い慣れていない様な印象を受けた)
小さな貯水池。
グーグルの衛星写真では枯れているよいうにも見えていた。
廃ダムの貯水池は、枯れたり溜ったりを自然に繰り返しているのだと思われる。
振り返って下流方向を眺める。
山の間、すぐ近くに伊予灘が見えている、日没が美しいという伊予灘、ここから眺める夕日もさぞ素晴しい景色なのだろう。
この幸口ダムが水道専用のダムであった事は、ネット上の少ない資料からも確認出来るのだか、具体的な送水先についてはよく解っていない。
数キロ西の長浜港辺りか、もしくはダム直下の工業団地の水道水源であったのだろう。
再び天端を慎重に戻り右岸に帰還。
やはり気になるのはダムの顔と言うべき下流面の姿である。
少し下流側に戻って目を凝らす・・・。
谷積み・・???
石張りの目地は土砂や苔等が覆いはっきりと確認できないが、どうやら石材の積み方は谷積みであるようだ・・・。(天端付近は布積・・?)
もう少しなんとか見えないのか・・・出来る事なら真正面から石張りを見上げたい。
ほとんど道として体をなしていない道を進む。
そして、藪の中に埋もれるようにあった段差をひとつ降りてみる・・・。
段差を降りた途端、ぱーっと眼の前が明るく開ける。
お!
思わず短く声が漏れた。
真正面どころか、降り立った所はなんと減勢工の中なのであった。
堂々たるその姿。
まさに90年近い歳月の重みと言うべきか。
むせ返るような苔と土の匂い。
いつの間にか雨はすっかり上がっている。
切り取られた水通しから、四角い空が白くけだるい表情を除かせていた。
特徴的な幸口ダムの導流壁、いや、壁と言うよりも洪水吐の越流部は堤体表面から薄く段差が付けられた形をしている。
そもそも、まだこの時代のダムにはたいてい導流壁が無く、越流部と非越流部を区分けしている事自体とても珍しい。
この低い段差で効果があったのかは疑問もあるが、当時として新しい試みが行われたと感じる。
左岸側も右岸同様の段差、そして非越流部を飲み込むようにダム表面まで進出した樹木。
この幸口ダムを訪れるには、木々の葉が少ない晩秋から春先しかないだろう・・。
そう思い訪問する季節を調整して訪れてみたのだが、その読みは正しかったと感じる。
多分に木々が勢いを増す時期はさらに視界は制限され、訪問も困難だと思われる。
その姿、両岸から木々に覆われ、天然の岩盤に還ろうとしているかの様にも見える幸口ダム。
誕生からわずか110年程しかない日本のコンクリートダムの歴史の中で、産まれ、そして静かに消えていく・・・これもまたダムの一つの姿なのかもしれない。
ありがとう幸口ダム。
別れ際、無意識にそんな言葉が口からこぼれ落ちた。
幸口ダム
★★★★
尚、訪問時は服装、装備を整え、安全に充分配慮して見学下さい。 -
野間川ダム
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2013.07.02 Tuesday 12:19
堤高31.5m
G/FNW 2013年? 広島県営
2012.11.23見学
本日の最終目的地として、傾く太陽と競争してやって来たのは建設が最終段階を迎えつつあった広島県の多目的ダム、野間川ダムです。
「野間川ダム???聞いた事ないなあ〜。」
きっとそう感じる人も多いと思います。
では、これがあの「まろん湖」のダムですよ。
って、言ったら、きっと皆さん、ああーー!ってなると思います。
そう、あの、栗湖(まろん湖)の、野間川ダムです。
ともかく、例のキラキラダムネームで有名になった野間川ダム。
訪問したのは今からおよそ半年前の2012年11月です。
現在は工事は完了している様で、ダム便覧にも先々週、北陸のエクストリームダムハンターこと、ひろ@さんからフォトアーカイブに写真が投稿されていましたが、当時はまだ堤体の写真がネット上に無く、キラキラネームで一躍有名になった野間川ダムは、いったいどんな形をしてるのか???と思い、行ってみた、と言う訳です。
でもって、これがまろん湖の野間川ダム。
ゆるゆるなネーミングとは裏腹にすごくシャープな顔つきです。
その性か、堤高30m程の小柄ながら、数値よりも大きく逞しい印象です。
放流設備はクレスト辺りの他に、堤体下部にも備わる模様です。
ぽっかり空いた穴の中から工事の方が行き来するのが見えました。
2012年11月末の天端辺りです。
まだ着々と工事が進められており、立入禁止。
関係者の方と二言三言話をさせて頂いたのですが、まろん湖と聞いて、岐阜から駆けつけましたと言う僕に、驚き半分呆れ半分という表情をされていました(笑
カミングアウトすると、実は、ダム湖の名前が決まったというニュースを読んで、「ダムが完成した」と、勘違いして来ていた僕。(笑
季節がら、完成したまろん湖の湖畔では、栗きんとんとか、焼き栗とか、おいしそうな物があったり・・・と、ハンドルをよだれで濡らしながらやって来ていたのでした。
まろん湖こと、野間川ダム
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