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二川ダム

堤高67.4m
G/FP(FNP?) 1966年 和歌山県営

2011.3.26見学


本日のダム巡り、3基目も和歌山県営の多目的ダムである二川ダムです。
右岸に用意されたパーキングより。

手前の大きな取水塔は発電用の取水設備、発電は関西電力によって行われています
ダム本体にも取水設備がありますが、こちらは河川維持用で最近になって設置されたものではないかと思います。
(ダム便覧によると、平成10年に既設ダム堤体に穴を開け設置とあります)

ダム便覧ではダム目的はFPとなっていますが、現在はFNPとなるのかも。



あぶない!

ここまで切実なイラストも珍しいです。
勿論、ダムサイトはぐるっと柵や手摺に囲まれていますからこんな危険な事は起こりません。



天端を歩きます。
クレストの中央で軽くクランクした天端通路。
装飾的な要素もなく、シンプルで実直な雰囲気です。



クレストの非常用洪水吐は、2門のラジアルゲートが間隔を開けて2門。
右岸寄りのゲートの上から下流を覗きます。

河川維持のバルブから減勢池に向けて放流中。



クレストの左岸端は軽くカーブが付いていました。
左岸を登ると展望台があるみたいですが、道が多少バイオレンスだったのでここまでとしました。



再び右岸に戻ってきました。
ダム中央部、クレストから下流にかけて非常に複雑な表情をしています。



二川ダムのゲート配置です。
このダムで特徴的なのは、クレストの非常用洪水吐の他に、すぐ下にある2門のオリフィスにもラジアルゲートが採用されている事です。

クレストゲート(非常用洪水吐)
W11.9m×H10.885m  57.1t ×2門

オリフィスゲート(常用洪水吐)
W8.6m×H8.0m  67.3t ×2門

オリフィスの方が一回りサイズは小さいのに扉体重量は重いのですね。
水圧に耐えるべく構造が違ったりするのでしょうか?。(また疑問が増えました)



これら4門のゲートによって、二川ダムの複雑でメカニカルな表情が出来上がっていると言う訳です。



オリフィスが構造上奥行きのあるラジアルゲートなので、そこから下流にかけての丸くボリュームのある下流面も鑑賞のポイントと言えそうです。



ダム真下への道は現在は行く事が出来ないみたいですが、下流にダムがよく見える橋が架かっているのもうれしいポイントです。

和歌山の県営ダムって、なかなかどうして男前揃いですね。
ちょっとだけ遠いけど、その価値は有りとみました。是非。



二川ダム
★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム和歌山県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
広川ダム

堤高53.5m
G/FN 1974年 和歌山県営

2011.3.26見学


椿山ダムの後は、同じ和歌山県営の広川ダムにやって来ました。
洪水調節と河川維持を目的としたコンクリートダムです。



クレストに2門のラジアルゲート。
ややクラシックなスタイルの取水設備も見えます。



右岸の道路脇に管理所があります。
新旧二棟の管理所は、渡り廊下で結ばれていて、ダムの天端はその下を潜った先から真っ直ぐ伸びています。



天端の端に、車両通行止めの看板と、厳重なバリケード。
バリゲードは人が通れるように置いてあったので、徒歩で入る分には問題なさそうです。
ダムを渡った左岸が行き止まりで、車がUターンできるスペースも無く、不意に車が進入しないよう規制しているみたいです。



低く構えたラジアルゲートから下流を見ます。
右にカーブした下流の河川、減勢池も大きく右に曲がっています。



ダム下の左岸を見ると大きなバルブに目が止まりました。

あ、これ見たことあるぞ。

一目でピンと来ました。

伝説のダムマニア、灰さんのDVD 「放流 ザ・ダム」で、豪快な放流を魅せていたバルブではないかと思います。



天端の散策の後は、いつもの様にダムの真下に向かいます。

車で集落を抜けてダム直下を目指します。
途中で「この先行き止まり」の注意看板。きっとUターンする場所があるだろうと気にせず進んだのですが、ダム手前で本当に行き止まりとなっていました。

デミオ号できりぎり切り返して戻る事が出来ましたが、4mを超える車は無理かもしれません。
そんな具合で停めておく路肩も無いので、手前の民家のある辺りに駐車して徒歩で向かうのが良いと思います(歩いて2~300mほどです)



結局、遠くに車を置いて歩いて戻ってきました。
行き止まりから歩道橋を渡ると、ダム直下は公園になっていました。

周囲の木々は桜のようです。
開花はまだ先のようで蕾の状態でしたが、早くも提灯なんかが用意されていたと思います。

見上げる広川ダム。
胸板の厚い堂々とした佇まいです。



公園の端には祠がありました。
「水山明神」
水の神様でしょうか?。



先ほど天端から見ていたホロージェットバルブです。

バルブの置かれた下流左岸は、ゲートで封鎖され近くで見る事は出来ません。
右岸の公園から、フェンス越しで観ます(しかも身長が足らずよく見えない・・)

常用洪水吐として使われるこのバルブは、大迫力の直径2mです。
広川ダムは、他に利水用に500mのホロージェットも持っています。



ダム下の小さな公園ですが、桜の咲く頃には地元の方々が花見に訪れて、愛されているダムなのではないかと感じます。

広川ダムは趣のある良いダムでした。

広川ダム
★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム和歌山県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
椿山ダム

堤高56.5m
G/FNP 1988年 和歌山県営

2011.3.26見学

和歌山のマタドール。


3月も終わりになって、ようやく本年度最初ののダム(新規物件)見学です。
やって来たのは和歌山県の椿山ダムです。

実は他の地方のダムを予定していたのですが、10時間ほど前、ダム便覧で偶然見たこのダムの写真に一目ぼれしてしまい、急遽予定を変更したのでした。

地図では近いけど、実際に行ってみると意外と遠い和歌山県。
関東のマニアにとって、最後に残ってしまう土地柄と言うのも頷けます。
(僕にとっては千葉県かな)

下流左岸に工場があり、その付近から正面を狙います。



椿山ダムの何処に一目ぼれしたかと言うと、この特徴的な凹凸した厳つい下流面。
クレストゲートを支える扶壁が導流壁のように下まで伸び、互い違いに配置したコンジットゲートのデフレクターを兼ねています。

それに、なんと言ってもこの真っ赤に塗装されたクレストゲート!。

真紅のゲートが闘牛士が持つ赤い布なら、椿山ダムはマタドール。
そして、高速飛ばしてやって来た僕は、牛って事になるのかな?。



ダムサイト左岸に来ました。
管理所近くから見た椿山ダムの正面。
なかなか端正な姿です。



パーキングは両岸に用意され、天端は車道となっています。
左岸から天端を歩きます。

椿山ダムは洪水調節や発電等を目的とした多目的ダムです。



クレストを彩る6門のラジアルゲート。
情熱的な燃えるような赤色。ラテン系ですね。

「カッコイイとはこういう事さ」

このゲートを見れば、ポルコ・ロッソも渋い声でそう言うはずです。



クレストゲートの銘板です。
動力源はモーターの他にエンジンも持っているみたいです。

ハイブリットか??
(いやいや、エンジンはバックアップですよね)



お隣の奈良南部のダム湖を思わせる、蛇のように長く蛇行したダム湖。

湖畔には日本一やまびこがよく響く「ヤッホーポイント」があり、やまびこ大会などのイベントもあるみたいです。



堂々とした堤体の下は、これまた大きな減勢池が広がっています。

地図で椿山ダムを見ると、やたらと四角い池のように描かれています。
最初、椿山ダムの湖は水槽のように四角い形なのかと思っていましたが、現地に来てみて、それはこの減勢池であった事が分かりました。
椿山ダムは、何故かどの地図を見てもダム湖に水が無く、この減勢池だけが描かれているのです。

大きな減勢池に合わせて、副ダムも二段式です。



右岸に来ました。
かあっ~こいいんだなぁ。



ラテン系の真っ赤なゲート、複雑な下流面。
実に男前の椿山ダムなのでした。



椿山ダム
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム和歌山県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
帝釈川ダム

堤高62.4m
G/P 2006年(再開発) 中国電力

2010.11.7見学


以前からずっと訪問してみたかったダムに、帝釈川ダムがあります。
堤高62.4mに対して堤頂長はわずか39.5m、日本一縦長のダムと言われています。

この日、温井ダムを堪能した後、中国道の東城ICから寄り道してみました。
景勝地帝釈峡にある帝釈川ダムは観光用の遊覧船も出ていますが、ダムサイトを訪れる場合は全く違う場所からのアプローチとなります。
左岸のダム本体の近くから向かうのですが、集落の隅っこの農道の先にあるのでカーナビによっては道が表示されないかもしれません。
なので事前に詳しい地図などでチェックされる事をお勧めします。

農村集落の外れ、ダムサイトに向かう道はチェーンが張られ、ここから先は徒歩となります。



ダムまでの道は、帝釈峡の散策歩道として解放されています。

地元の方の手でダムまでの地図のコピーが用意されていました。
複数枚用意され、持ち帰れる配慮がありがたいです。(晩秋とあり、ストックは無くなっていましたが)

「新帝釈川ダム」と書かれていますね。
帝釈川ダムは今世紀に入って大規模な再開発が行われています。



邪魔にならない場所に車を置き、ダムに向かいます。

渓谷の下にあるダムなので、ここから山道を下って行きます。
アスファルトの車道とは別に、真っ直ぐ下にショートカットする階段がありました。

木々の間にダム湖の水面がちらっと見えますが、ずーっと下の方です。



階段を下りると、再び車道に出ました。
濡れた落ち葉で滑らないようにそろそろと降りて行きます。

昨日の二級ダム登山(?)で足腰そこらじゅうが軋んでいます。
帰りは無事戻れるかな?。



森が開け、ダムの周辺設備が見えました。

写真の手前がダム湖上流。
ダム本体は正面の岩盤の向こうにあります。

岩盤の中腹に水平に屋根付きの巡視路が見えます・・・。



そう、なんと、帝釈川ダムまではこの巡視路の中を歩いて向かうのです!!

岩盤を水平に細長く削った棚に、鉄骨の屋根。
屋根は雨露をしのぐ目的もありますが、上からの落石から歩行者や脇のボックス内の配線を守る為だと思われます。

かつてないワクワク感にゴキゲンです。
岩盤に沿ってカーブしているので、先が見えない所もたまらん感じ。



周辺の岩は魚卵状石灰岩というものだそうです。
歩道の中に説明看板があり、見本のように石片がちょこんと乗っていました。



岩盤にそって100mほど進むと、巡視路は終着点に到達しました。
そう、ついに帝釈川ダムに到着です。



うわっ、なんかスゴっ。
今迄訪問したどのダムとも明らかに違う事が一目瞭然。

谷にを塞ぐと言うよりも「詰まっている」と言うか、「挟み込んである」雰囲気。
堤体は鋭い鋭角のV字型をしていますから、文字どうり渓谷に打ち込まれたクサビのイメージなのです。



嬉しい事に天端も解放され散策が出来るようになっていました。

40mに満たない短い天端です。
あえてじっくりと、じらしながら進みます。



この帝釈川ダムの歴史は古く、なんと1924年まで遡ります。
当初の堤高は56.4m、同年に木曽川に大井ダム(53.4m)が完成していますが、こちらの方が数メートル高く、堤高日本一のダムとして産まれました。

また、メイソンリー中毒として欠かせないのが帝釈川ダムは石積ダムであった事です。国内のメイソンリーダムで唯一堤高50mを超えるダム、それが帝釈川ダムなのです。
大井ダムが新しい工法と積極的な機械化で50mの壁を超えたのに対して、既存の工法でそれを上回っていたのが面白いと感じました。
とても急峻な立地です、まさに人の手によって造られた50m級の石積ダムだったのではと思います。

その後、完成間もない1931年に5.7mの嵩上工事を経て、さらに2002年から4年をかけた再開発で表面の石積は斫り落とされ、上からコンクリートを増設し近代的な現在の姿になりました。

天端の目につく場所に、再開発の工事を記念したプレートが飾られていました。



天端から下を見下ろします。

下流の水面が遠い!
導流壁の穴から河川維持の放流中。
直下の減勢池は、滝壺のようになっています。

しかし、驚くのはこれから。
このまま視線を上げて行くと・・・。



目の前に現れたのは、まさに断崖絶壁という切り立った一枚板の岩盤でした。

岩盤までの距離も近く広角レンズに交換しても画角に収まりません。
このブログ始まって以来初の縦写真です。



天端の高さから直下の水面までおよそ60m・・・。
そして、そこからぐぐっと空を突き破るほどの垂直の壁がそそり立っています。



これはダムサイトの地形図です。
堤体直下左岸の等高線に注目。こんなに密集した等高線は見た事ありません!。
ダム直下から等高線を数えると、岩盤の高さはおよそ150mもある事が解りました。

もの凄い地形です。よくこんな場所を見つけて、さらにダムを建設したと思います。しかも大正時代の事です!。



この急峻な立地の為、現在でも陸路では巡視路を徒歩でしかダムに行く事は出来ないと思います。
もし大きな物資を搬入する時は船やヘリコプターで運び込む事になるのかなと思います。

また、再開発の時は仮設の道路を造り工事が行われました。(現場が帝釈峡の国定公園内の為、新たに道を付ける事が難しかったそうです)



現在の堤体はクレストに非常用洪水吐として2門のラジアルゲートが備わっています。

再開発は大正時代の竣工から80年を経て老朽化が進んでいた事や、既存の洪水吐の放流能力が少なく出水期には水位を下げて運用する必要があり、35mもの未利用の落差があるなど、水資源をより有効に活用する為に実施されました。

また、この時同時に発電所の再開発も行われています。



天端を渡って対岸に来ました。

階段を数段上がると、その先には狭い素掘りのトンネルが真っ黒な口を開けていました。
中はどうなっているのか?何処まで続いているのか?入口からは全く想像する事もできません。入るには相当勇気が要ります。(って、事でUターン)

再開発以前は堤体の上に歩道橋があったはずです。
巡視路からこの素掘りトンネルまで真直ぐ水平に橋が架けられていたと思います。



どでどでどでどでどどど・・・。
渓谷にディーゼルエンジンの音を轟かせて遊覧船がやって来ました。

再開発により洪水吐の処理能力が上がった事で、年間を通して満水の水位での運用が可能となりました。

最も観光客の多い紅葉の時期に、岸際の裸地を見せる事が無くなったのは、景観の保全、しいては観光資源としての価値を飛躍的に上げる効果があったと想像します。

まさにいい事づくめの再開発です。



「おおお。」
お客さんの視線が一斉に例の岩盤に注がれ、パチパチとフラッシュが光りました。

「あんな所に人がいるよ・・・」
僕と目が合った人がそう言ってる気がしました。

遊覧船は岩盤を見せるように向きを整え、ゆっくりとターンすると、でろでろでろでろ・・・と、再びエンジン音と波紋を残し上流に戻って行きました。



現在の非常用洪水吐はクレストゲートですが、それ以前はどうなっていたんだろう?。

現地ではダムとは別に左岸に大きな2門のローラーゲートがあり、トンネル式の洪水吐がある事は解っていたのですが、明らかに大正時代よりもずっと新しく、少なくとも1960年代以降のものだと感じていました。(神奈川の城山ダムのピアと同じテイストを感じたので同じ年代ではないかと)

帰宅後に調べてみると、やはりこのローラーゲートは1966年に造られた洪水吐ゲートだと言う事が分かりました。
このローラーゲートは720㎥/sの能力があり現在も現役です。クレストに新設されたラジアルゲートの890㎥/sと合わせ、現在は1610㎥/sの洪水処理能力を持っています。

さらにそれ以前はと言うと、下流への放流はたぶん同じこのトンネルなのですが、岸の岩盤にそって水路が掘られ、111門もの木製の小さなゲートが並べられていたと言う事です。

巡視路下の水面近くに棚になっている所がその竣工当初の放流設備の名残だそうです。



大正時代に築かれた50m超級ダム。
国内石積ダムの最高峰。
日本一縦長の堤体。
高い貯水効率。
中国電力所有の最古参ダム。
幽玄で美しいダム湖。

この帝釈川ダムにまつわるエピソードはいくつでもあります。
しかも、現地までの行程はちょっとした冒険が味わえて、家族で訪れるのも良いかと思います。(遊覧船よりもきっと楽しいはず)



普通のダムでは飽き足らなくなった愛好家に、是非ともお奨めしたい逸品でした。

帝釈川ダム
★★★★★

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温井ダム

堤高156m
A/FNWP 2001年 国交省

2010.11.7見学

ファイナルアンサー。


堤高156m、堤頂長382m、堤体積81万㎥。
温井ダムは国交省直轄の大型のアーチダムです。

上流にある王泊ダムから向かったのでダム正面からファーストコンタクト。
ダムサイトの上流にある公園から、グラマーなアーチが見えました。



もう少し近づいて、ダム本体右岸のパーキングから眺めます。

温井ダムは洪水調節や水道等を目的とする多目的ダムとして、2001年に完成しました。
この年は、同じく堤高156mの宮ケ瀬ダムと浦山ダムも竣工しています。
僕がダムに憑りつかれるのはその後何年も後の事なので、当時の事は知る由もありませんが、2001年は日本ダム史におけるビンテージイヤーであった事は間違いないですね。



直轄ダムである温井ダムは展望スペースが豊富に用意され、さまざまなアングルから存分に堤体を鑑賞する事ができます。
真っ白な下流面はドーム型アーチの証。

最初そのスケールに圧倒されますが、落ち着いてよく見ると上部に飛び出しの無い非常にすっきりとしたデザインに気か付きます。
通常天端に見られるエレベータシャフトや、洪水吐ゲートの建物などの突起物が一切無く、アーチの伸びやかさを強調しています。



天端は幅広く、車道になっています。
平日は車で往来が出来ますが、土日は一般車両通行禁止で歩行者天国(ダムマニア天国?)となっています。

この日も沢山の家族連れや、デート中のカップルが訪れていました。



天端で面白いのがダム中央のクレストゲート部分です。
ゲートの巻揚機は低くクレスト部分に埋め込まれ、温室のように透明のパネルになっています。



ゲートの扉体はどこにあるかと言うと、アーチの上流面にぺたーっと貼り付いていました。
コースターゲートみたいですが、紛れもなくクレストの非常用洪水吐ゲートです。

形式はローラーゲートですが、面白いのが開閉動作が通常のローラーゲートと真逆で、ゲートが下方にスライドし、上を越流させて放流する構造になってる事です。
現在はフルオープン状態ですが、有事にはゲートが上昇しサーチャージまで洪水を貯め込みます。

機械的に負荷が少ないのか、通常は下に降りて全開になっているのかなと想像。

なにはともあれ、この構造によってすっきりしたクレストの美しいデザインが出来上がったと言う事かと思います。



156mの天端を散策する家族連れ。

わいわいと親子で会話して散策中、そのわずか1m横は150mの断崖です。
このギャップが凄いですよね。

河川をまたぐ土木建築ではダムの他に、橋があります。
日本で最も高い橋は、僕の地元にある東海北陸自動車道の高架橋(鷲見橋)で、高さは118mだそうです。
もちろん118mと言う高さはとんでもなく高いのだけど、日本一高い黒部ダムと比べると3分の2でしかありません。
しかもダムの場合、路面から谷底まで全部コンクリートが詰まっている訳で、つくづくダムってとてつもなく巨大な建造物だと思う訳です。

この親子も、もしもここが橋だったらすごくおっかないのではと思います。
谷底までしっかりと中身が詰まっているダムだから、心理的に安心できるのかなと思うのです。



手を伸ばし山勘撮影。
大きな減勢池が見えます。鏡のような水面。



左岸にある管理棟のエレベータで3Fのフロアに行くと、ダム展示施設です。

試験湛水での記念放流の写真が飾ってありました。
すごいです!。



リアルに作られた模型をにやつきながら見学します。

FNWPと働き者の温井ダム、役割の中心はやはり洪水調節でしょうか。
赤いラインは最高水位を示していますが、本当に天端ぎりぎりまで貯め込む事が分かりますね。頼もしいかぎりです。

左岸にあるのは選択取水設備です。
アーチダムなのでダム本体ではなくダムサイトに造られています。
この立派な取水設備は多段式と多重ゲートを組合せていて、この温井ダムで初めて採用された構造となっています。



展示施設のある管理棟とは別棟の屋上は展望台になっていました。
いろな場所から眺める事ができます。

芝生とカラー舗装、天端のアスファルトと白い堤体。
ダム本体だけでなく、周辺のダムサイトも美しくデザインされています。

王泊ダムでは見頃だった紅葉ですが、それよりも少し標高は低い為が周辺の見頃はあと1週間かな?と、言った印象でした。



芝生の上で、対岸から歩いて来たファミリーが休憩中。
手摺の近くに車イスのおばあちゃんも。



そうなんです。

温井ダムは見学用の通路(監査廊)にも車イス用の昇降機完備で、完全バリアフリーのダムなのです!(さすが新鋭の直轄ダム)



温井ダムの内部。
ダムの内部は一般に開放されていて、自由に散策できます。
高速エレベータで下に降りた後は、明るい監査廊を進みます。



これは途中にある展示物。
何の展示かと思えば、ダムサイトの基礎岩盤に触れるという展示でした。

アーチダムは岩盤が命!

温井ダムは当初は重量式コンクリートダムで計画されていたそうですが、岩盤が非常に良好な事が解りアーチ式で建設される事になりました。
宮ヶ瀬、浦山と並んだ重力式の温井ダムも観てみたかった気もしますね。

がっちりした花崗岩は、何かご利益がありそうなので沢山なでなでして先に進みます。



通路を抜けるとダム下流広場です。

翼を広げる温井アーチ。
大きいだけでなく、左右対称の美しい姿をしています。



副ダムも立派ですね。



「こんにちは、ようこそ温井ダムへ、ぼくの名前は利水次郎です」

と、しゃべりませんが、そう言ってる気がします。
次郎だがら次男に間違いなのですが、じゃあ長男はと言うと・・・。



兄の治水太郎はあんな所に居ました。
名前は太郎と次郎だけど苗字は異なります。少し複雑な家庭で育った二人です。

両脇はツイン波動砲こと、2条のホロージェットバルブです。
ホロージェットもこれだけ大口径だと迫力がありますね。
2条で最大60t/sの放流能力があります。

中位標高放流設備のこのバルブは主に洪水調節に使用されます。



下流広場は上下2段になっていて、もう少しお近づきになる事が出来ます。
至り尽くせりの温井ダム、どこまでもフレンドリーです。


でかい。

そして意外なほど重厚。
アーチダムと聞くと繊細なイメージがありますが、温井ダムのアーチは重厚で分厚い壁の印象です。
事実、堤体積は81万㎥もあり、重力式ダムだと長島(86万㎥)大山(80万㎥)に匹敵します。

また、形状はドーム形なのですが、156mという高さに比べ、クレストのオーバーハングはかなり控えめです。
以前新潟で見た奥三面ダムにとてもそっくりだと感じました。(奥三面は下からは見れないので、あくまで想像ですが)
奥三面ダムも堤高116mを誇る大型のアーチダムで、面白い事に温井と同じ2001年の完成です。
同時期に設計・建設された二つのアーチの設計は、どこか共通するものがありそうです。



ダムの一番下には4門のコンジットゲートを配備。

温井ダムは、コンジットゲートを装備するダムで国内最大級の堤体です。
コンジットゲートの水深は106mもあり、もちろん日本一深い所にあるコンジットゲートとなっています。



整然と各設備が配置されている事もあり、スケール感が湧きませんがこの部分だけでもなかりの広さがあります。
放流能力は1100t/s、25mプールをわずか1秒で満水にします(!!!)

ダムの下から、コンジットを目線の高さで鑑賞できるのもなんだが不思議です。

キャットウォークは樹脂パネルで覆われていますね。(行ってみたい!)



うひょー。
すっげーフーチング。

温井ダムはスケール感が完全に麻痺します。



真下から見上げるアーチ。ここまで観れるアーチダムは貴重です。
これより1mほど低い奈川渡ダムでも出来ますが、奈川渡とはだいぶ印象は違います。

ちなみにクレストの非常用洪水吐は、5門で最大2000t/sの放流能力があります。



美形で、たくましくて、フレンドリー。

あんまりいい奴なので、意地悪で悪者っぽくモノクロで撮影したら、妙にカッコよく撮れてしまいました。できる奴は何やってもキマっちゃう訳ですね。くやしい〜。



配慮の行き届いた美しいデザイン。
バランスの取れた重厚で堂々としたシルエット。
豊富な展望スペースや誰もが見学できるバリアフリー。
洪水をカットする重武装。

西日本を代表する大型アーチと呼ばれる事の多い温井ダムは、西日本のみならず、間違いなく現在の日本を代表する大型コンクリートダムの一つである事は間違いないと感じました。



アーチダムのファイナルアンサー。

温井ダム
★★★★★






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日吉防災ダム

堤高21m
E/F 1976年 岐阜県営

2010.11.13見学


農村集落の狭い道を通って日吉防災ダムにやって来ました。



天端の両脇にススキがわっさーと生えています。



なので天端から下流がほとんど見えません。



茂り放題の雑草の間から貯水池を伺います。
比較的なだらかな岸に囲まれた静かな湖面が見えました。



対岸の左岸には洪水吐。



天地に薄く、コンパクトな感じの越流部。



すってーん!!。

なんだかとにかく危ないって事は伝わっています。



天端を歩いていると、路面に何か書かれている事に気が付きました。
だいぶ消えかかっていますが。

「災」ですね。
って事は・・・。



天端いっぱいに掛かれた「日吉防災ダム」の文字。ここからは一目で読む事は出来ません。

と、なると何のための文字なのか・・。
推測ですが、災害発生時に防災ヘリが、上空から状況の把握をしたり、写真等に記録する時に役立つのかと思います。



日吉防災ダム
★★

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松野ダム

堤高26.7m
E/FA 1961年 水資源機構・岐阜県

2010.11.13見学


松野ダムは、前沢ダムの南に2キロほど離れた位置にあります。
通常、国道21号の鬼岩温泉の辺りから山道を登り向かいますが、この日は災害の為通行できません。
大きく迂回してダム湖の上流から向かいます。



里山をぐるっと迂回して松野ダムに到着しました。

堤高の割に大きな堤体。
立地の都合で真正面から見る事はできません。


ダム目的は洪水調節と灌漑用水です。
水資源機構と岐阜県が共同で管理運用をしています。

立派な洪水吐です。



吐の上に架かる橋からの洪水吐。
中心の突起の間には転倒ゲートが備わっています。

あんな所に人が大勢・・・。
大学の自転車サークルの集団が休憩中の様でした。



長い洪水吐のスロープ。
先端はジャンプ台になっています。



天端から貯水池。
山の上の静かな貯水池です。
右岸に立派な取水設備や管理棟などの建物があります。

このダム湖には以前に一度、釣りに来た事もあるのですが、その時は岸にズラッとヘラ師が並び、スワンボートが浮かんで、とても賑わっていた記憶があります。



その代わりと言う訳ではありませんが、今日は自転車サークルの若者が湖面近くで遊んでいます。

釣りの人もチラホラ。
とても自由な感じのダム湖。



対岸はこんな表情をしています。
天然の造形とは思えない不思議な岩。しかも、一つ一つがとても巨大。



松野ダムから下流は鬼岩公園という景勝地となっています。
湖畔の不思議な巨石群は、鬼岩公園のほんのプロローグに過ぎません。

今回は公園へは行きませんでしたが、またいつか家族と行ってみようと思います。



天端を渡って、右岸から見る下流面です。

洪水吐のスロープは堤体の端っこに斜めに伸びています。
その事もあって、傾斜が通常よりも緩い様に思います。



のどかでとても自由な感じの松野ダムでした。

★★★

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前沢ダム

堤高38m
E/A 1980年 岐阜県営

2010.11.13見学


国道21から脇道に入って前沢ダムを目指します。

この前沢ダムも10年ほど前に3回くらいバス釣りに来た事があります。
3回来て釣った魚は1匹だけ(涙)。
でも、山の上の静かな湖畔は緑豊かで、入り組んだ複雑な地形の湖には綺麗な水が輝き、魚が釣れなくてもリフレッシュできる場所でした。

今回、10年ぶりですが道に迷う事なく到着しました。



アースダムの堤体右岸から。
天端は立ち入り禁止みたいなので、ゲートの手前から撮影。

近くの空き地に大型ダンプがやって来ました。
改修工事が行われているようです。



貯水池を見ようとカメラを向けましたが、一向に水辺のような景色が見えません。
乾いた裸地があるだけです。

おやっ?。



天端に入れないので他の場所に移動します。

前沢ダムは小さな集落を入った所にあり、公民館の角を曲がって、坂道を上ると到着します。

下の写真の道を真っ直ぐ右に進むと最初に行ったダム右岸。
途中でターンして写真左上へ坂を登ると湖周の道路です。



左方向の坂を登って見通しの効く場所に来ました。

あ、やっぱり水がありません。
改修工事の為、全ての水を抜いているみたいです。



荒涼とした湖底の情景は日本の風景じゃない雰囲気。
別の国と言うよりも、他の惑星のイメージさえあります。

見ようによっては、魚目線の風景かも。
非日常的な光景に、いろいろと妄想が湧いてきます。

あと、ジムニーで暴れたら楽しそう。(そんな事しちゃダメですよ)



驚いた事がもうひとつ。

この場所が、実は綺麗に整形リップラップが敷かれた副堤体だった事に初めて気が付きました。
以前、何回か来た場所だったので、ちょっとびっくりしました。



前沢ダム
★★

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真名田防災溜池

堤高17m
E/FA 1953年 岐阜県営

2010.11.13見学


本日のアースダム巡り、次は可児郡御嵩町の真名田防災溜池に向かいます。

ダムの下流正面から来ましたが、堤体付近に駐車スペースがなくそのまま流れ込みのある上流まで来ました。池の上流は親水公園となっています。

公園の駐車場に車を停めます。
一周すると1kmくらいの溜池なので、のんびりと歩いて散策する事にしました。



駐車場から時計まわりに歩きます。

親水公園は比較的最近になって整備されたのでしょうか?
苗木から少しだけ成長した感じの可愛い木々が並んでいます。



池の向こうに堤体が見えます。
真名田防災溜池は、堤高17mのアースダムです。



てくてくと湖畔の歩道を進むと、背後から鴨艦隊がやって来てしばらく併走。
対岸にはお散歩中のお年寄りや、ウォーキングの人も見えます。
溜池の右岸は閑静な住宅地です。



ほどなく堤体左岸に到着。
自然越流式の洪水吐です。



吐の上から下流を観ます。
ちっちゃいブロックが可愛い。プチ三瀬谷。



近くに記念碑が建立してありました。オールドタイプです。

「本溜池は往年灌漑用水を目的として築堤され〜
〜亜炭の落盤による旱害を防ぎ併せて可児川の増水氾濫による災害防止の目的を以って〜」

この中に、「亜炭」という言葉が出て来て、ちょっと驚きました。
この溜池のある御嵩町はかつては亜炭の一大産出地で、現在は全て閉山となっていますが網の目のよにはりめぐらされた坑道は、埋め戻される事なくほとんどそのままとなっているそうです。
坑道は一説には町の面積の6割にも及ぶと言います。現在も度々町のあちこちで陥没が発生し、つい先月も陥没により住宅が傾くなどのニュースを聞いたばかりでした。

亜炭の坑道と旱害(干害)との関連は詳しく記されておらずよく解らないのですが、地盤沈下や、地下の坑道に水が浸透してしまい水田に水が溜められないなどの事態が発生ていたのかもしれません。



石碑によると、築堤工事には延べ17704人が動員されましたが、主に地元住民の力によって建設が進めらたそうです。

堤体の脇にはお不動様の祠がありました。
この真名田防災溜池は、地元悲願の溜池だったのかもしれませんね。



真名田防災溜池
★★

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上飯田調整池

堤高16.1m
E/AW 1975年 水資源機構

2010.11.13見学


上飯田調整池は、飛騨川最下流の川辺ダムの近くにある水資源機構のアースダムです。

堤体は16.1m。
水資源機構と言えば、奈良俣、下久保、味噌川、徳山、早明浦・・・など、日本を代表する大型ダムのイメージがありますが、実はこんなに可愛いアースダムも持っていたんですね。
水資源機構と並び巨大ダムを所有する電源開発で言うと、奥里ダムのポジションかな?。



上飯田調整池は、さっき訪問した蜂屋調整池とは兄弟のようなダムみたいです。
同じ白川取水口から水が来ていますから双子ダムと言ってよいかと思います。



天端へ登る道は、物理的なバリケードはありませんが車両侵入禁止の様です。
路肩に車を停めて歩いて登ります。(大きなダムではないので、徒歩でも楽勝♪)



天端レベルまで歩いてきました。
堤体の左岸脇に取水設備と、洪水吐。どちらも可愛いサイズです。



天端は徒歩でなら散策できるみたいですね。
近所の方々の良い散歩コースになっているかもしれません。



静かな湖面に周囲の林が映っています。
小さめの調整池は一目で全容が観れる程度です。


池の向こうに見えるのはインレットかと思います。



天端から下流を観ます。
集落の山裾にある可愛い水資源機構のアースダムでした。



上飯田調整池
★★



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