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武周湖

堤高20.3m
E/P 1920 北陸電力

2010.8.22見学


福井県の武周湖はとても変わったダムです。

集落の奥を分け入った狭道を進む事数キロ、こんな奥地にあるのは決まってコンクリートダムなのですが、武周湖はアースダムとなっています。

しかも、山の崩落によって出来た天然湖を利用したダムであるとの事。
さらに、特徴的なのはダム目的で、アースダムに多い農業用でも、防災でもなく発電用のダムなのです。

ダムの下流方向からアプローチして車を走らせると、カーブの先で視界が開け、なにやらコンクリート製の色々な構造物が現れました。

ここが武周湖でしょうか?



ひとまず駐車スペースに車を入れます。
人家のない山奥にも関わらず、雑草は綺麗に刈られています。
ダム敷地との境界線の柵もしっかりとしていて、とても整備の行き届いたダムというのが第一印象でした。

柵の向うがアースダムの堤体です。



堤体の右端は、深く幅広くえぐられ、大きな余水吐となっていました。
コンクリート表面の風合いが渋いです。

その先に武周湖ダムの貯水池である武周ヶ池が広がっています。



ダム湖畔の道は、中部北陸自然歩道(越前自然歩道)となっています。
気持ちの良い木漏れ日の奥には、北陸電力の管理所のほか、トイレや休憩所などか整備されています。

しばらく山の方からチェーンソーの音が響いていましたが、それが止むと林業の方々が昼食に降りて来られました。



右岸からの武周湖ダム。

堤体が自然な形をしていますが、下半分は山の崩落で谷を堰き止めた部分だと思われます。
堤体の上には艇庫とインクラインが見えます。さらに向うにあるのは発電所への取水設備です。

歩道の木陰から見る堤体は、夏の日差しに輝いて見えました。
堤体の上には何本か木々が植えられ、ダムというよりも高原リゾートといった風景です。



ここから北西方向へ山を越えた水は、日本海に面した北陸電力蒲生水力発電所へ送られます。発電を終えた水は直接海に放流する珍しい発電所です。

変わった形の放流設備。
石積の塔の上に小屋があります。この上の小屋の高さがアースダムの天端レベルに近いと思います。
何故そうなっているかも含め、ちょっと謎めいて見えます。



静かで優しい表情の武周ヶ池を望む。

この場所にはかつて奥武周という戸数32軒、200名余の住む集落がありました。
天正18年(1590年)12月4日、突如谷の東側の天賀峰が崩落し一夜にして集落を押し潰し、人々を飲み込みました。

この大規模な崩落によって谷が堰き止められ武周ヶ池が出来ましたが、翌年には梅雨の雨に耐えられず堰が崩壊し下流に甚大な被害をもたらしています。

現在の武周ヶ池にそんな悲劇を思わせるものは何もありません。
あるのは日差しを湛える滑らかな湖面と、草の匂いのする風と、小鳥の声だけ。



管理所の裏山は何段かに造成され、公園化されていました。
ひょっとして、かつての住居跡かな?と、思います。



プチ散策を満喫、リゾート気分でウキウキしながら堤体の辺りに戻ってきました。



見事に断面形状を露にした余水吐の側面。
この三角部分が人工的に盛り上げたアースダム部分でしょうか。

余水吐の一部は、かつては水位を調節する構造物があったと思わせます。
いずれにせよ、現在の水位や余水吐の高さだと、ここまでアースダムを盛り立てる必要があったのか、ちょっと不思議な感じがします。

1920年に造られた古いダムなので、90年間に及ぶ歴史の中で紆余曲折があったのかもしれません。



最初に気になっていた堤体の下流に来ました。

副ダム・・・・?
ぐるりと3方をコンクリートで護岸された人工の池には、この池専用の洪水吐や、何処かへ送水する取水口らしきものまであります。

位置的には副ダムと呼ぶべきですが、どうしても違和感があるのがこの水の流れ込みが何処なのか全く不明である事です。



主堤体の大きな余水吐は、この副ダムに流入する事なく、迂回して下流へ放流される仕組みになっています。
見える範囲から池の周りを探してみると、一応右上流側に流れ込みらしき部分があるのですが、水は止まっていて流れこんでいる雰囲気ではありません。
取水設備があるので、人為的に水を調整する何かがあっても良さそうなのですが。

この場所から見る主堤体は、貯水池側と違って全面的に人の手が加わっているように見えます。
副ダムに浸る部分が示す通り、下流面は石貼りで保護されています。

基礎部分は天然の堰なので、この副ダムの水はアースダムが築かれる前からの浸透水のような水なのかもしれません。



副ダムの下流はとても複雑な表情をしています。
写真手前に写りこんでいるのが主堤体の余水吐の方流路です。

副ダムの洪水吐は地面に埋め込まれているような形。

低い雑草に囲まれたコンクリートの歩道や階段、所々に顔を出す岩の表情。
絵本の挿絵のような、ちょっと不思議な風情を感じます。



天然の堰止湖を利用した発電用のアースダム。

作られたのは日本が帝国主義を突き進んでいった時代です。
国力を上げる為に利用できるものはなんでも利用する。時代背景からはそんなイメージもありました。

でも、今日の武周湖ダムは、夏の日差しに緑は眩く輝き、湖面は静かに眠っているかのように穏やかな表情で、訪れる人を癒してくれます。

また来年の夏にも来たい。

再訪を約束して武周湖を後にしました。

武周湖
★★★★★

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滝波ダム

堤高30.3m
R/F 1986年 福井県

2010.8.22見学


福井県営の滝波ダムにやって来ました。
ダムの目的は洪水調節です。



左岸の洪水吐です。
貯水池相応のサイズといった感じ。



洪水吐の貯水池側には台地になっていて、水面まで距離があります。
青空が見えているのに、急に雨が降ってきました。



湖畔には点々とへら師。
公園などもあり、遊歩道の吊橋が見えます。



滝波ダムの断面図です、気づいた事が幾つか・・・。

まず、堤体の頂上ですが「ダムてんば」と書かれています。
「天端」という言葉は、元々は石積・石垣の用語だと思うので、メンソリーダム(及びその直系子孫である重力式コンクリートダム)に使われる言葉で、フィルダムの場合は「堤頂部」が正しいのでは?と思っていました。
フィルダムでも「天端」、今後は肝に銘じます。

あと、違和感に思ったのは、滝波ダムはダム便覧によるとロックフィルダムとなっていますが、この図面からするとアースフィルじゃないかと・・・。

堤体の貯水池側のリップラップも、図面では「上流斜面保護リップラップ」と、なっています。
さらに、犬走りのある下流面も「下流斜面保護種子吹付工」と記されています。



石碑にあった緒元です。

「中心しゃ水ゾーン型 フィルダム」

うーん、微妙・・・。



目で見て確かめようと、下流面の様子を伺おうにもこんな感じで全く様子が伺えません。

種子吹付工、効果ありすぎ!





減勢工の周辺などは、爆発的に植物が湧き上がっています。
まさに緑の大瀑布。

何よりもこの雑草の茂り具合が印象的な滝波ダムでした。



滝波ダム
★★



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小倉見ダム

堤高15.3m
E/A 1900年

2010.8.22見学


この日は福井県のダムを巡っていました。
福井県内の未踏物件があと数件となり、この日、密かにコンプリートを狙っていました。

目指す小倉見ダムは、1900年竣工の大変古いアースダムとなっています。
今現在は便覧で位置が確認されていますが、たしかこの時はまだ位置未確認のダムだったと記憶しています。

この2年間で訪問したダムの内、訪れる事が困難なダムはいくつかありましたが、位置未確認の物件は初めてでした。しかも、今回のターゲットは100年以上前に築堤された小規模のアースダムです。

「ひょっとして現存していないかもしれない」
そんな事を思いつつ、現地へ向かいました。

目星を付けた場所の近くに駐車して、山に分け入ります。
便覧では位置未確認となっていましたが、地形図ではそれらしい貯水池が記されていました。

民家の裏で初代レオーネ発見。



レオーネの脇を通って奥に分け入ると、今度はさらに古いブルーバードが出てきました。この裏山はタイムトンネルか?

じゃあ、もっと奥に進めば1900年築堤のアースダムも出てくるかな??



道のような、道じゃないような、そんな感じの斜面を登ります。

猛暑続きの今年の夏、丁度この頃は熱中症が話題となっていました。
山の中は直射日光は届きませんが、それでもドッと汗が噴出してあっと言う間に汗びっしょりです。
直ぐに見つかると思い、飲料水を持って来なかった事を後悔。



息を切らして尾根に辿り着くと、その向うは窪地が広がり、そこだけ高い木がなく草むらのようになっていました。

ひょっとしてこれが小倉見ダム?
やはり100年モノのアースダムは長い歴史の中で消え去ってしまったのか。

こんな道無き山中で熱中症で倒れたら大変なので、調査もそこそこに引き返す事にしました。



山を下って、へろへろになりながら飲み物の自動販売機を求め、市道から県道に出ました。

早速自販機を発見。ああ、ここが日本でよかった。
2台の自販機が白と赤の二人の女神に見えました。

ミネラルウォーターを1本一気飲みしてひと息つくと、背後の瓦屋さんの敷地の奥に何かがあるのに気が付きました。



積上げられた廃瓦の奥、倉庫の裏です。

草に覆われた土手のような・・・!!。

しかし、県道からは距離があり、それが堤体であるかよく解りません。
瓦屋さんの事務所へ行くと留守の様で連絡先の携帯番号が記されていました。

どうしょう・・・。

ちょっとの間途方にくれていると、荷台に廃瓦を満載したダンプで瓦屋さんが戻って来られました。
早速、敷地内への立入をお願いすると快く承諾して下さいました。

なんという幸運!



倉庫の脇から例の土手を目指します、脇には用水路があり水が流れてきます。

ダムの匂いがプンプンするぞっ。

期待に胸が躍ります。



でたあーっ!

間違いありません、アースダムの堤体です。
堤高15.3mという小倉見ダム、目測ですが堤体のサイズもドンピシャ。



天端に上がって貯水池を確認したいのですが、道がありません。

えいやっ!っと、犬走りによじ登って、わしゃわしゃと四つん這いで堤体を踏破します。



堤体を登りきると、斜面と変わらない表情の天端に到着しました。

いい感じの天端です!!



小倉見ダムの貯水池は緑に囲まれひっそりとしていました。



振り返って下流方向です。
下流と言っても河川はありません。

真下の白い建物が瓦屋さんの倉庫。廃瓦の上にユンボ、その向うが県道です。



堤体右端の洪水吐。
小さくて見るからに古いコンクリート製ですが、1900年の竣工時のものであるかは不明です。

1900年といえば日本最初のコンクリートダムである桂貯水池堰堤と同じ歳です。
桂貯水池堰堤の細部と比べると明らかに此方の方が新しく感じます。
1900年ごろの物であれば型を使った整形ではなくレンガや石材を使った造作ではないかと思います。

越流部に開いている丸穴に木ぎれが刺さっていました。
流木が偶然詰まったのか?それとも調整用に差し込んだのか?。



堤体の正面はコンクリートブロック貼りとなっていました。
こちらは明らかに近代の改修でしょう。



堤体中心部分、これって取水口ですよね。

鎖を引っ張って水中にある蓋を開ける事が出来ます。
水位に合わせて池の底に向かって幾つも並んでいました。



天端を左岸に進むと、そこから道が伸びていました。
車道ほどの道幅はありますが、車の往来の痕跡無し。



その道を下ると、なんとなんと!
元の県道に戻って来ました!

奥に見えるのが自販機と瓦屋さんの事務所です。

関係のない山に登る→喉が乾く→自販機を探す→自販機が見つかり、偶然堤体らしきものを見つける→タイミングよく瓦屋さんが戻り敷地に入れた・・・・。

今回、いくつかのラッキーの連鎖で見事に位置未確認のダムに辿り着けましたか、この道程で本当に幸運だったかは微妙であった小倉見ダム訪問でした。



小倉見ダム
★★


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総ヶ谷ダム

堤高31.4m
E/A 1980年 福井県営

2010.8.22見学

総ヶ谷ダムは越前市の西の外れ、あと数キロで若狭湾という場所にあります。
ダム目的はかんがい用水、ダム形式はアースダムとなっています。

ダムは集落の脇道の奥にあるようです。町内の案内看板にもちゃんと描かれていました。
総ヶ谷ダムは立派なランドマークなのでした。



案内看板の手助けもあって無事到着。
堤頂部は舗装され車両通行可。



左岸の余水吐、いたってシンプル。



水没した立ち木の残る湖畔。
ひっそりと静かな貯水池です。



下流側の眺望。
堤体のすぐ真下にまで畑が広がっています。

実にかんがい用のアースダムらしい風景です。



堤頂中ほどから振り返るとこんな感じ。
海が近いので周辺の山も低いです。



右岸の管理所。
建物の裏手は取水設備となっています。



ダムの下流に一旦戻って、堤体の真下に来ました。

害獣除けの電柵が張巡らしてあるので、通行には注意が必要。
気絶するほどではありませんが、結構ビリッと来ますので。

おばちゃんの愛車が駐車中。



農作業中の後ろにグリーンの壁。
全く違和感がありませんね。

総ヶ谷ダムは、地元の暮らしに完全に解け込んでいるようです。



総ヶ谷ダム
★★

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開谷ダム

堤高24.5m
R/F 1977年 福井県営

2010.8.22見学


福井県の開谷ダムにやって来ました。
堤高24.5m、堤頂長50mの小柄のロックフィルで、目的は洪水調節となっています。



天端から貯水池。
きれいで静かな湖面、水位は満水でした。



リップラップは完全に雑草にカバーされています。
知らないで来たら、確実にアースダムと間違えそうです。



天端を渡って左岸の下流から。
堤体を下流面から観たかったのですが、木々が茂って様子を伺う事は出来ませんでした。



左岸にある洪水吐。
ごくオーソドックスな造りです。



左岸湖畔にある管理所。



窓ガラスから中を覗くとスピンドルが2基。
この建物の貯水池側に放流設備があるみたいです。
左側に操作卓も見えます。

反対の右は、和室の当直室やキッチンなど。
普段は無人ですが、有事の際には職員さんが詰める事になるのでしょう。
当直室では仮眠とかも取れるのかと思いますが、隣の部屋がこんな感じだと、なかなか休めないかもしれないですね。ご苦労さまです。



開谷ダム
★★

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高瀬ダム巡礼。

今日は高瀬ダムに行って来ました。
2年前に訪れて、いつか再訪したいとずっと思っていた堤高日本一のスーパーロックフィルです。

まずは大町ダム。堤高107m



続いて七倉ダム。堤高125m

1筋の同じ河川で、数キロの間に3基もの100m超級のダムが連なっています。
今迄訪問した各地のダムエリアを思い出してみるのですが、多分ここだけじゃないでしょうか?。



七倉ダム湖畔のパーキング。
これより先は東京電力の管理道路となっており、一般車両は進入不可です。

紅葉真っ盛りとあって、駐車場は満車状態です。



管理道路の入口ゲート。
テプコ号が、高瀬ダム、発電所見学から戻って来ました。

ここから徒歩で高瀬ダムに向かいます。
現在時刻は12:00。



ゲートの先はいきなりの長いトンネルです。
長さおよそ1km。

有峰ダムの天端を往復したと思えば大した距離ではありません。
入口ゲートから高瀬ダムまでは3kmなので、片道の三分の一がこのトンネルです



トンネルを抜けて少し歩くと、発電所への入口があります。
それを横目にどんどん歩きます。



ダムまでは4箇所のトンネルのほかに、スノーシェッドが幾つか。
多少のアップダウンはありますが、基本的に平坦で快適な道です。

前回は途中で1人の登山者に出会っただけでしたが、今日は沢山の人とすれ違います

前を歩いているのは、子供連れのファミリー。
この後、高瀬ダムの天端でお弁当を広げていました。子供ってタフだな。



4本目のトンネルを抜けると、いよいよです。



でたーっ!。

普通、ダムサイト手前のトンネルを抜けると、天端の岸際ってのがセオリーですが、高瀬ダムは堤体の下辺りに出てきます。
天端にはダム本体の上の道をジグザグに登るほかには道がありません。

ここまでおよそ45分で到着しました。



わーっ。

未整形リップラップ。しかも、ロック材の一個一個がとてもデカイ。

御母衣や九頭竜のようなエッジのある割り石ではなく、河床にあるような角の取れた石というのが高瀬ダムの特徴です。


でたーっ。

巨大な吐を心行くまで拝めるのは徒歩で向かう人の特権です。
高瀬ダムに行くなら徒歩をお勧めする理由のひとつです。

黒部ダムの非常用洪水吐はクレストゲートですから、このタイプの洪水吐では最も巨大と言えるでしょう。

2年前もそうだったのですが、何故かこの吐を見ると笑いがこみ上げてきて止まりません。

とにかく常識外れのスケールなのです。



巨大な吐を横目に見つつ、堤体道路を登ります。

一歩一歩登る度に、刻々とダムの表情が変わって行きます。これが凄く楽しい。
徒歩をお勧めするもう一つの理由。

ちょっと歩いては立ち止まって見とれてしまうので、ぜんせん前に進みません。



この、ジグザグに堤体を登る工程だけで2kmあります。



今日は、沢山の行楽客が訪れる為か、貯水池に貯まる砂を運び出す工事は休工していました。
いつもは10台以上の大型ダンプが車列を作り、轟音を響かせているはずです。

今日はその代わりに、タクシーがお客さんのピストン輸送に大忙し。
年に一度の稼ぎ時なのです。



紅葉は少しだけ盛りを過ぎたかな?
落葉した木々もちらほらと。



流石にちょっとへばりかけて来た所で天端に到着。



洪水吐を上から。

山並みが険しいですね。
周囲の山は軒並み2000m級です。



不思議なグリーンの湖水。
風が吹くと波紋が流れていく様がとっても綺麗。

天端を散策、ベンチで一休み。
左岸の山の向うは、すぐに黒部ダムの貯水池です。



堤高176m
じっくり味わうには歩いて登ってみるのが一番です。

来年か、再来年か?
きっとまた登りに行きますよ。


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折立ダム

堤高9.886m
G/P 1960年 北陸電力


北陸電力の主峰 ビッグボディ 有峰ダム。
その近くに、まだ見た事の無いダムがあるとの事なので、早速行ってみました。

この日は年に一度の有峰森林文化村祭の日で、一緒に有峰ダム見学会に参加した Hisaさんと、ひろ@さんも一緒です。
目指す折立ダムは、有峰湖の湖畔にある発電所へ送水する取水ダムです。

有峰湖右岸を車で走ります、湖面の向うに有峰ダムの正面が見えました。
有峰は4回目ですが、こちらから眺める場所がある事は知りませんでした。



車を進めると山の斜面に水圧鉄管が現れます、鉄管の先には折立ダムがあるはず。
湖周道路から左折して折立への山道を登ります。
折立は薬師岳の登山口となっています。

そしてトンネルの出口に待ち伏せするように、突如としてダムが現れました。

折立ダム。それは、岩のように重厚な取水堰堤でした。

シンプルな全面越流の余水吐、シンプルであるが故のこの塊感。
少し赤茶けた色合いが、周辺とは異なるオーラを放っているように感じました。



左岸には2門のゲート。
河川維持放流中の下段は排砂ゲートでしょうか?

冬は氷雪に閉ざされ、何メートルも雪が降り積る有峰の地。
そんな厳しい環境でも放流操作ができる為でしょうか、ゲートは分厚いコンクリートに埋め込まれるように付けられています。
ゲートの向うにもコンクリートの壁があり、通常のスライドゲートとは構造も異なる様に見えます。



厳重な機械室。
四方の壁も、屋根も、全てコンクリートで作られています。

窓の無いコンクリートの壁、赤い鋼鉄の扉。
欠けた日差し部分が、氷雪との戦いを物語ります。



ダム下流の河床は今まで見た事のない表情をしていました。



冬季は有峰林道が通行止めとなるため、この折立ダムが雪と戦っている姿を自分の目で見る事は出来ません。

今年の冬は雪が降るのを見る度ごとに、有峰の小さなダムを思い起こす事になりそうです。

折立ダム
★★★★

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草木ダム

堤高140m
G/FNAWIP 1976年 水資源機構

2010.7.18見学

キングスロード。


草木ダムは、以前からずっと訪問したいと思っていた水資源の大規模コンクリートダムです。
国道122号を南下してダムサイトに到着です。

右岸のパーキングに隣接して展望台が用意されていました。
ツーリングのライダーや、車好きのオフ会らしきグループなど、ドライブを兼ねて沢山の人が訪れています。
早速展望台へ上がると、これぞ直線重力式といった感じの堤体が見えました。

天頂長も400mを超えるビッグスケールです。



天端上は車道ですが、いつもの様に歩いて散策します。

展望台の階段を降りて、天端の上で振り返ると、実は展望台は艇庫の屋根だった事に気が付きました。
大規模なダムですが余分なスペースはありません。
ちょっとした場所も有効活用されています。



南北に長い貯水池。
湖畔には噴水が上がり、その奥に赤い鉄橋が見えます。
鏡のような静かな湖面です。

FNAWIPと、治水利水に大活躍の草木ダムですが、計画時には足尾銅山の鉱毒を食止める事も目的とされていたそうです。
その後、足尾銅山は閉山されましたが、現在も定期的に水質の調査が行われています。



下流を眺めます。

堤高140m、流石に高いです。
重力式では、北陸電力の主峰 有峰ダムと並ぶ7位の高さを誇っています。

ぐっと右にカーブした減勢工や周辺の山並みは、なんとなく下久保ダムを思い出しました



左岸の道を下流に下って、野球場の脇を降りると、真下からダムを見る事も出来ます。

左岸の白い外壁の建物が群馬県企業局による東発電所です。
東発電所から出てきた水は二手に分れ、一方は東第二発電所(手前の木造造り)で再び発電に利用され、もう一方は水路を通ってさらに下流の別の発電所へ送水しています。

東発電所の下流の水門と、その頂上の屋根は黒坂石ダムのゲートピアと同じ造りですね。



東第二発電所の脇から。

シンメトリーのバランスのとれた重厚な堤体。
堤体中ほどに2門のコンジット、デフレクターも三角形のシャープな形状。



クレストに並ぶ4門のラジアルゲート。

上下に細長いゲート形状や、柱状のピアの造形は、同じ水資源の下久保ダムなどに類似性を感じます。特に滝沢ダムとよく似ていますね。

でも、白くクールな印象の滝沢ダムと比べて、草木ダムの青いゲートと黒々とした肌の組合せは漁師のような男気溢れる顔に感じます。

言わば働き者のいい顔です。



草木ダムには、宮ヶ瀬・浦山ような華やかさも、佐久間・奥只見のような神がかり的なオーラも、小河内・田小倉のような、のどかな情景もありません。

しかし、堂々と渡良瀬川に腰を据える草木ダムの堤体は、これぞ 重力式コンクリートダム と言える重厚な力強さがみなぎっていました。



王道。草木ダム
★★★★★

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黒坂石ダム

堤高24m
G/P 1981年 群馬県営

2010.7.18見学


栃木県営の庚申ダムを後に、渡良瀬川沿いを下流に向けて走ります。
直ぐに群馬県に入り、草木ダムの貯水池最上流の辺りから東の谷に入ります。

茂みの中からにょっきりと伸びたコンクリートの柱が見えて来ました。黒坂石ダムです。



外観は先ほど見学した庚申ダムとよく似ています。
サイズ的には、こちらの黒坂石の方が若干低く長い堤体ですが、印象としてはほぼ同等。

一番の違いは庚申ダムにはない自然越流式の吐を持ってる事でしょうか。
ローラーゲートには大きなフラッシュボードもあります。

ダム事業者も施工業者も違うのに、何故こんなに似ているの?ダムデザインの七不思議。



立派な天端も持っていますが立入禁止です。
残念ながらここも庚申ダムと同じで、鑑賞できるアングルに恵まれていません。

沢山雪が積る土地柄なのか、ゲートピアの頂上に囲いがあります。



貯水池側からの黒坂石ダム。
対岸に発電所への取水設備。

素朴な疑問ですが、ゲートピアに梯子が見当たりません・・・。
頂上の巻揚機にはどうやって登る??。



黒坂石ダム
★★



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庚申ダム

堤高29m
G/P 1985年 栃木県営

2010.7.18見学

茨城県を後に栃木県まで戻って来ました。
庚申ダムは渡良瀬川にそって走る国道122から、足尾温泉方面へ少し谷を入った所にある県営の発電専用ダムです。

シャキッと伸びたゲートピア。
大きなゲートの右脇にも放流設備があるようなのですが、アングルの関係でよく見えません。排砂ゲートかな?と思いますがあまりにも狭い隙間のような形なのでなんとも解りません。

堤頂長はおよそ56m、小振りのダムですが堤高は29mと思ったよりもあります。



高い減勢工の壁。
残念ながら観察するポイントが限られていて、あまりよく見えません。

天端も立入禁止となっています。



ダムの下流です。
この先、2キロ弱で渡良瀬川に流入します。



ちょっと可愛い感じの管理所です。
植え込みも綺麗に刈られていて管理が行き届いています。



管理所の近くから見る小さな貯水池、バックウォーターもすぐ近くです。
青みのあるグリーンの湖水が印象的でした。



庚申ダム
★★

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