無料ブログ作成サービス JUGEM
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | - | - | pookmark |
中岩ダム

堤高26.3m
G/P 1924年 東京電力

2010.7.17見学


中岩ダムは鬼怒川にあるオールドダムのひとつです。

まずは、国道121号(鬼怒バイパス)から、堤体を拝見・・・。
堤体は日光江戸村の南東辺り、ちょうどこの「3D宇宙恐竜館」の近辺にあるはずです。

ちなみに、このレジャー施設では、「世界の昆虫・・・」と言ったイベント中でした。
「宇宙」「恐竜」「昆虫」・・・確実に男子小学生のハートを鷲づかみです(笑)。



宇宙恐竜館のパーキングから・・・。

み、見えた!

・・・ような気がする・・・。

この場所からはフェンスや雑草が邪魔をしてほとんどダムは見えません。
多分、ピアの頂上じゃないかと思うのですが。



先ほどの場所は諦めて、下流の橋で鬼怒川を渡り、対岸にやって来ました。
丁度、中岩ダムの左岸辺りのはずです。

バス亭の名前「中岩発電所前」

ビンゴ!!



近くのコンビニに駐車して歩いてダムを目指します。
バス亭から脇道を進み、東武鬼怒川線の踏み切りを渡ると、いよいよご対面です。

わくわく。



わーっ!中岩ダムだー・・・・・・。

って、やっぱり見えないぞー。

東京電力の敷地は隙間なく高いフェンスに囲まれ、結局、満足する眺望は得られず。

でも、逆に燃えてきました、必ず中岩ダムをこの目で見てやるぅ〜(笑)



そして、再び右岸の国道に戻って来ました。
ゆっくりと車を走らせ、ビューポイントを探ります・・・。

むむっ!あれはもしや。



3D宇宙恐竜館からおよそ300m下流にある、鬼怒川お菓子の城。
その北隣の喫茶店裏に、下流から中岩ダムが見えるポイントがありました。

ついに発見!と、独りで盛り上がります(笑)



これがようやくご対面となった中岩ダムです。

ゆるやかなアーチ状の堤体は、以前のダム便覧では重力式アーチダムとなっていましたが、現在は重力式コンクリートダムに形式変更されています。

大正生まれの中岩ダムですが、昭和42年から44年にかけて大規模な改修工事を受けています。その時に8門あったクレストゲートは現在の6門に変更。
堤体もオールドダムらしく石張りでしたが、現在のコンクリート表面に改められました。

各ゲート間にリブ状の導流壁が立っているのが他のダムには見られない特徴ですが、この部分も改修工事で付けられたと思います。



多分、昭和の大改修により、すっかり姿を変えてしまったと思われますが、堤体下部の広いテーブル状減勢工に古いダムである名残を感じます。

それよりも、河川の中流域にある発電専用ダムである事や、決して高くない20m級のシルエットが、まぎれもなくこのダムがオールドダムである事を表現しています。



中岩ダム
★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム栃木県 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
中禅寺ダム

堤高6.4m
G/FNP 1959年 栃木県営

2010.7.17見学

中禅寺ダムは、中禅寺湖の流れ出しを塞ぐ形で築堤された可愛い堰堤です。

堤体の上流は水路のようになっていますが、ほんの数百メートル上流に広大な中禅寺湖が広がっています。
堤高わずが6mの小さな堰堤で日本で25番目に大きい湖の水位をコントロールしている、意外と侮れない働き者です。



堰堤から2〜300m下流には有名な華厳の滝があります。

実は華厳の滝の水は、全てこのダムの放流水だそうで、真っ暗で滝が見えない夜間は放流を止め、滝も枯れている時があるそうです。



堰堤の上流に歩道専用の橋があり、じっくりと見る事も出来ます。

有名な観光地にあるので人通りも絶えませんが、ダムを見てるのは僕だけ・・・。
時々、「あの人、何を観てるんだ?」と、言う風に、僕の視線の先を探る通行人は居ますけど。

こじんまりとした施設ですが、両岸に取水口のような物も見えます。
石積みの護岸など、観光地としての景観にも配慮が伺えますね。



観光地の中にあり簡単に見る事のできるダムですが、問題は路上駐車が厳しく禁止され、尚且つ、有料駐車場だらで車を停める場所に乏しい事でしょうか。

中禅寺ダム
★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム栃木県 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
丸沼ダム

堤高32.1m
B/P 1931年 東京電力

2010.7.17見学


2003年に国の重要文化財の指定を受けている丸沼ダム。
そんな貴重な建築物なのに、今現在も発電用ダムとして現役なのがこのダムの凄いところです。

薗原ダムを後に国道120号を北上してやってきました。
国道脇に未舗装の駐車スペース。でも、まだ堤体は見えません。
舗装のスロープを下って行くと堤体の左岸のはずですが、この日はチェーンが掛けられ訪問者を拒んでいました。

でも、堤体を真下から見上げるポイントがあると事前に聞いていたのでうろたえません。潔くチェーンの先は諦め、その脇の遊歩道を降りて行きます。



この遊歩道は丸沼自然遊歩道と名前も付いていて、ダムの真下まで降りた後、対岸に渡って右岸を散策する事が出来ます。

じっとりと湿った苔と土の匂い。
シダ植物が盛大に群生していて、いきなり恐竜とか現われそうな雰囲気です。



急斜面の歩道を下ること数分。

ついに憧れの丸沼バットレスが姿を見せました。
堤高32.1m、国内で建設された8基のバットレスダムの中で最高峰です。



堤体の下部は水面が迫っています。

マンションの骨組みにも見えるバットレス構造。
その最下層の1室は、外壁や屋根が付けられていて、右岸にそって通路も見えます。

管理所が堤体右岸にあるはずなので、通路は管理所方面へ通じていると思います。



事前に聞いていた遊歩道の渡し舟「牧水の渡し」
これに乗ればバットレスを真正面から見る事が出来るはずです。

両岸にワイヤーが張られ、吊るされたロープを手繰り寄せる事で前に進みます。
ボート自体もワイヤーに吊り下げられていて安定感抜群、とても上手く出来ていて、決して転覆するような事はありません。

この設備はダムを管理する東京電力ではなく、地元の丸沼の愛好家の会が設置したものです。大切に使わせていただきました。



おおーっ!

迫り来る丸沼ダム。

傾斜した遮水壁を扶壁によって支えるバットレスダム。
梁と扶壁の奥に遮水壁が見えます。



よく見ると、バットレス内部は空っぽではなく、梯子や通路、配線等が意外と沢山配されています。天端から降りてきている2本のパイプはプラムラインですね。
下流から観るバットレスダムは、コンクリートダムのスケルトン模型を見るような面白みがあります。

通常のコンクリートダムと風貌が余にも異なるので気が付きませんが、この丸沼ダムには余水吐のような放流設備が見当たりません。
真川調整池や、奥津発電所の懸崖水槽にだって余水吐はありましたが・・・。



丸沼ダムはヒョウタン形をした天然湖の、くびれ部分に築堤されました。
堤体から下流側は大尻沼、上流側が丸沼と呼ばれています。

大尻沼の流れ込みにダムを築いて、新しく丸沼が生まれたのかな?
と、現地で推測していたのですが、帰宅後に改めて地形図を見て、丸沼の地形を読むと、それは憶測にすぎず、ダムの上流側も元々沼だった様です。
勿論、面積は現在よりもひと回り小さなものだったと思いますが。

大尻沼と丸沼は、ボートから釣りが楽しめます。二つの沼を1年交代で開放しているそうです。今年2010年は下流側の大尻沼が開放されていました。

ボートからフライフィッシングを楽しむ釣り人。
標高1400mの高地なので、トラウト狙いでしょうね、きっと。



空は薄曇りですが、時々雲の隙間から日差しがこぼれます。

昨日までの雨でボート内に水が溜まっていて、乗船する時に片足がスノコごと溜まった水に没してしまいました。

ずぶ濡れのスニーカーと靴下を脱いでのんびりと乾かします。
たまにはこういう見学も楽しいね。



ボートからの眺めは視線が水面に近くとても新鮮な眺めです。
湖水も澄んでいて、浮遊しているような錯覚を覚えます。



日本に6基ほど現存するバットレスダムは、その全てが70〜80年以上経過するオールドダム達です。

扶壁を太く改修した笹流、三滝、恩原ダムと、竣工当時の姿を今も残す真川、真立、そして丸沼ダム。
きっと扶壁に肉を付けて補強する方が、今後の堤体管理も楽かもしれません。

真川、真立ダムは陸路は徒歩でしか向かう事の出来ない山岳地、この丸沼ダムは直下が水を抜く事の出来ない天然湖であり、その事が大掛かりな改修を困難にして来たのでしょうか。
でも、そのお陰で丸沼ダムの堤体は、実にバットレスらしい繊細な表情を魅せています。

重要文化材の指定を受けた名堤 丸沼ダム。
これからも東京電力さんの手で、繊細で美しい姿が守られて行く事でしょう。

美しいバットレスよ永遠に・・・。



丸沼ダム
★★★★★



| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム群馬県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
2日連続で。

今日は飛騨高山から御岳の麓を越え開田高原へ。
家族で新蕎麦を食べて、木曽馬を見て来ました(乗るとお金が掛かるので見るだけ・・・笑)

と、言う事で昨日に続いて、2日連続で高根第一、高根第二ダムを訪問です。

いつ来ても満水の高根第二ダムですが、今日は少しだけ水位が低く、タコ脚がほんのちょっと見えていました。


| あつだむ宣言!(清水篤) | - | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
高根第一の賞味期限。

今日は岡山県の計画でしたが体調不良の為、定点観測ダムの高根第一ダム方面へ。

ちょっと寄り道して久々野ダムを再訪。
実は、2年前の初めてのダム巡り以来です。

こんなにユニークな姿だったんですね〜。
この面白さを、生まれて初めてダムを観に行った素人に理解しろってのは無理ですね。



久々野ダムに寄り道した後は、秋神ダムを横目に見て高根第二ダムへ・・・。

おやっ?

ダムの下流に架かる橋が改修され、欄干少し立派になってる・・・。
それに下流右岸の廃校の校庭には砂利が積まれ、ダンプが行ったり来たり。

橋の改修はダンプの往来を考慮して補強工事が行われたみたいです。

高根第二の湖畔を過ぎると、温泉集落の奥に高根第一が姿を見せます。



中部電力の最高峰 高根第一ダム。
いつ見てもその幽玄な姿には畏敬の念を懐かずにはおられません。
僕の中で、このダムは神に等しい存在です。

でも、今日の高根第一は少し違っていました。

下流側の一番のビューポイントに、コンクリートのプラントが作られていたのです!



国道361の改良工事として、狭く急勾配の高根第一ダムのダムサイトを迂回する、新しいトンネルの工事が始まっていました。

コンクリートのプラントや、高根第二ダム付近のダンプ、橋の改良も全てはこのトンネルの関係の様です。



トンネルが完成すると、ダムサイトをワープして、ダム湖畔へ抜け出る事になります。



トンネルの完成は平成25年3月を予定しています。
新しいトンネルにより、安全で快適な道となりますが、ひとつ心配な事があります。

トンネルが完成したら、高根第一ダムのダムサイトへの道は一般車両の通行が禁止になるのでは?

気軽にこのグラマーなアーチを愛でる事が出来るのも、ひょっとして、あと2〜3年なのかも・・・。

| あつだむ宣言!(清水篤) | - | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
薗原ダム

堤高76.5m
G/FNP 1965年 国交省

2010.7.17見学

平出ダムを後に、そのまま県道を進むと薗原ダムが現れます。
大きなジャンプ台など、独特のルックスを持つ多目的コンクリートダムです。



ジャンプ台の真下には窓が並んでいます。

一見すると、内部に広いスペースがありそうで畑薙第一ダムのように発電所を隠し持っていそうですが、3門の高圧ラジアルゲートとハウエルバンガーバルブの機械室となっています。

薗原ダムでの水力発電は、ダム水路式で下流に発電所が設けられています。



良く見ると薗原ダムはクレストゲートも独自路線です。

ラジアルゲートの巻揚機は低く設計され、天端はとてもスッキリ。
ピアのコンクリートも無機質なシャープな造形、さらに巻きつくような金属パーツが表情をよりメカニカルなものにしています。

これはカッコいいぞっ。



管理所や駐車場がちょっとだけダム本体から離れた所にあるので、天端までは少し歩きます。

シンプルな天端。
対岸のトンネルの先は村道に通じています。



天端を散策します。
車通りがあるので両脇の歩道を歩こうと思ったのですが・・・。

あれっ?



実は歩道だとばかり思っていたのは、クレーンの走行レール部分でした。

巨大なガントリークレーン
IHI製 132.5t

コンジットの予備ゲートの上げ下げに使われます。



この手のガントリークレーン付きのダムは、レールがあって下流が見下ろせないのがマニア的に泣き所ですね。

クレストゲートのピア上部は金属製の蓋です。
巻揚機が内蔵されていると思います。



たしか、薗原ダムは真正面を拝めるポイントがあったはず・・・。

一旦、右岸の駐車場から下流へ戻り、ぐるっと周って探して行くと、木々の隙間から堤体が見える場所を見つけました。
(このビューポイントならば、天端を渡って左岸のトンネルから来た方がよっぽど近いです)

薗原ダムはダムの宝庫、群馬県の中でもメジャーダムなので頻繁にマニアが訪れるのか、この場所だけ雑草が踏みつけられていました。

堤体下部のコンジットゲート室が立派なため、堤高があまり高く見えませんが76.5mと、そこそこの高さを持っています。
実は基礎地盤からジャンプ台まで34mもあり、ゲート室の壁で堤高の半分弱を占めています。



精悍なクレスト部。
青みのあるグリーンの塗装が良く似合っています。

鉄骨の入り方も妙にシンプルだったりして、細かい所がいちいち個性的です。



センターのコンジットから放流中です。
まるっきりゲートの姿が見えませんが、アームの先端でしょうか?チラッと黄色いパーツが覗いています。

ハウエルバンガーも見えますね。



鑑賞ポイントがとても多い薗原ダム。

広く大きなジャンプ台、その下にあるゲート室、クレストゲートの造形・・・
さらにそれらを配する本体の「面の広さ」も要チエックです。

でも、個人的に一番魅かれたのは左岸のフーチングだったりします。
フーチング好きなので。フーチング万歳!。



薗原ダム
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム群馬県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
平出ダム

堤高40m
G/P 1964年 群馬県営

2010.7.17 見学

今年に入ってから、ひたすら西へ西へとダムを巡っていたので、久しぶりの東日本のダム見学です。

平出ダムは群馬県企業局の利南発電所へ送水する発電用コンクリートダムです。

管理所のある車道から見下ろす平出ダム、天端の道路へは少し下流から脇道に入ります。
ピア頂上へは、管理所から直接向かう事のできる様に歩道橋が付けてありました。



下流から脇道に入って天端へ向かいます。

下流面からの堤体が見えない平出ダム。
唯一見えそうな場所はフェンスと雑草が茂っていました。

その先にトンネルがありますね・・・。
すれ違い不可の狭いトンネルは、中でカーブしているのか真っ暗で先が見えません。



ドキドキしながらトンネルを抜けると、目の前にはドンと、平出ダムが待ち構えていました。

車はそのまま天端を渡ると左岸にすれ違い用のスペースがあるので、邪魔にならない様に端っこに停めます。

各ゲート間のピアの丸みが綺麗なクレスト部。
4門のクレストゲートは上部が越流できるタイプの様です。



下流を覗くと、2門から放流中でした。
やっぱりこのダムは下流の真正面から堤体を見る事は難しい様です。



右岸には取水設備。
平出ダムは、各施設がぎゅっとコンパクトな印象。

茂った雑草に、のほほんとした風情を感じます。
湖水は濁っていますが、昨夜までの雨によるもので、普段はもっとキレイなはずです。



左岸から天端。

通路は一車線分しかありませんが、意外なほど通行があります。
天端とトンネルを通過するまで、すれ違いが出来る場所が無いので、スムーズな通行にはテクニックを要します。



でも、地元の方は臆することなくガーッ!と突っ込んで。



きゅきゅっ!と、走り去って行くのでした。



平出ダム
★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム群馬県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
食欲の秋、カメラの秋。

最近のSONYの快進撃は凄いですが、負けじと各社新商品が出てきましたね。

今年は645Dが出たので、来春かなと思っていたPENTAX K-7の後継機が突如出ました!

http://www.pentax.jp/japan/imaging/digital/slr/k-5/feature.html

大きくは変わらないものの、細かい部分が堅実にアップグレードしてる感じですね〜。

K-7では三脚が必要だったHDRの手持ち撮影が出来るようになれば考えようと思っていたのですが、なんといきなりK-5で出来る様になってしまいました。

とは言うものの、K-7が良くできたカメラなので、これから底値になるK-7を狙うという手もあります。
もちろん、K20Dもまだまだ気に入ってるので、さらに次機種まで待つと言うのもアリ(これが最も現実的)
そう、もしK-5を買うとしたら、問題はボディのみ14万程と言う結構なお値段。

それよりも、うちの冷蔵庫がそろそろ買い替えかなあ・・と、いう別の問題もあったりして。

(写真は先月行った能登島水族館、カメラはサブ機のIXYですけど・・・。)

| あつだむ宣言!(清水篤) | - | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
小諸発電所第二調整池

堤高不明
G/P 1927年(小諸発電所完成年) 東京電力

2010.6.14見学


小諸発電所第二調整池は、千曲川から取水した水を東京電力小諸発電所へ送水する調整池です。

小諸市の南城公園に隣接しており、アクセスも良好。
この日は小諸バットレスの遺構調査の為、南城公園から歩いて向かいました。

貯水池は、ほぼ全周に亘りコンクリートで護岸され、発電所の調整池らしい造りです。



貯水池の奥に堤体が見えてきました。

ネット上でほとんど情報が無いこのダムは、衛星写真から重力式コンクリートダムである事は見当が付いていましたが、詳細は不明です。



堤体までの道を進みます。
雑草の轍の向うに車止め、その先に天端が見えてきました。

対岸のコンクリート法面の向うは、直ぐに南城公園の芝生広場です。



手前の建物は管理所かと思いましたが、建物の下は発電所への取水口となっていて、窓ガラス越に機械類が見えます。

木造の趣のある建物は竣工当時からのものでしょうか?

この第二調整池は昭和2年、小諸発電所の建設に付随して建設されました。
すぐ南東に隣接して建設された旧第一調整池は貴重なバットレス式のコンクリートダムでしたが、竣工の翌年に堤体崩壊の事故の後に撤去、現在、跡地は南城公園の一部になっています。

車止めの先は特に立入を規制する標識もなく、敷地に入らせて頂きました。



下流面を初めて見た時、思わず何かを叫んでいたと思います。でも、何を叫んでいたかは興奮のあまりよく覚えていません。

クレストの意匠が今まで見た事のないものだったのです。

両岸までずらり並ぶ扶壁のデザイン。

中心のいくつかは余水吐となっていますが、非越流部には機能的な役目はなく、純粋に美観を狙ったデザインなのです。



これは間違いなく隣接する双子ダムであった旧第一調整池(小諸バットレス)との調和を意識したものに間違いありません。
現在、堤体の下流は木々が成長し視界を奪っていますが、竣工当時は下流から二つのダムが横並びに見えていたはずです。

1923年の笹流ダムに始まった我が国のバットレスダム、4年後の1927年に完成した小諸バットレスは当時としても最新鋭のダムデザインであったはずです。
オーソドックスな直線重力式として設計されたこの第二調整池は、隣接するバットレスダムに華を添えていたのでしょう。

この上部をアーチ状とする扶壁を見て、ムクムクとある妄想が膨らんできました。
ひょっとして小諸バットレスは、現在の笹流ダムのようにクレストにアーチ状の意匠を持っていたのでは?。

しかし、後の調査で小諸バットレスのクレスト部は、通常のシンプルな形状である事が解りました。



第二調整池の天端。

天端も立入を規制する表示はありませんが、実質的に関係者意外の者が訪問する事が無い為だと思います。
こういった施設では通常のダム見学より厳しくマナーが問われます。

柱状の装飾のあるコンクリート高欄、貯水池側は金網のフェンスとなっています。
車両通行不能の幅の狭い天端は、何処か名堤 大井ダムを思い出しました。



天端から下流へ見下ろします。

ゆるやかなカーブを描くエプロン、その先はオールドダムらしく石貼仕上げとなっています。



対岸の左岸までやって来ました。

調整池であるこの施設には、直接流入する河川はありません。

貯水池の水は千曲川の上流、現在の第一調整池(杉の木貯水池)の下流から取水され、隣の旧第一調整池の遺構を通過し、この低い屋根の設備から貯水池に流入しています。



左岸から見る堤体。

クレストの小さな余水吐は板が落とされ、さらに小さなゲートとなっています。
貯水池への流入も、発電所への送水も、全て人為的に操作が可能なため、非常用ゲートとしての出番はほとんど無いに等しいのでしょう。



左岸の先は、岸の斜面に点検用歩道が続き、そこから先は立入禁止となっていました。
現在は、この歩道の先にダム関連の施設は何もありません。

しかし、竣工当時は、この道の先には旧第一調整池があり、職員が行き来していた道なのでしょう。

こんな所にも小諸バットレスの残り香を感じます。



今回、初めてその姿を確認した小諸発電所第二調整池は、期待を大きく上回る美しく毅然とした姿を魅せてくれました。

堤高15mを超えるハイダムと違い、極端に情報の少ないローダムのひとつですが、日本中には沢山こんな魅力的な堰堤があるに違いありません。

巡るほどに、調べるほどに、ダムの深さと面白さを感じた小諸調整池の見学でした。



小諸発電所第二調整池
★★★


おまけ

通常、絶対に行けないクレストの扶壁内部に書かれた落書き(?)

三六年って、1936年?それとも昭和36年?
どっちにしても古い!!

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム長野県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
大黒谷ダム

堤高34m
R/P 1971年 電源開発
 
2010.6.12見学

幻のロックフィル


岐阜は僕の地元なので、以前から岐阜県内のダムは出来る限り沢山訪問しようと考えていました。
でも、県下にはダム本体のはるか手前から堅くゲートで閉ざされ、どうしても訪問出来ない見学困難なダムが幾つか存在しています。
有名なのは中部電力のアーチ式の川浦ダム、そしてもう1基が電源開発の大黒谷ダムでした。

今回は幸運にも公式見学の機会があり、幻のロックフィル大黒谷ダムを訪れる事が出来ました。

山菜採りや魚釣り目的での不法侵入が絶えないという大黒谷ダム。
ですのであえてアクセスは割愛しますが、ダム職員でさえ道路状況次第では帰る事が出来なくなるような陸の孤島にあるダムなので、理由はどうであれ現地での指示は絶対に順守すべしです。



電源開発様のランクルに乗せていただき、やってきました幻のダム。

まず右岸に到着するのですが、興奮してマトモな写真が取れていませんでした・・・。
なので、いきなりですが対岸の左岸からの堤体の眺めです。

標高1000m近い山奥にひっそりと構えるロックフィル。
堤頂部には欄干や柵の類はありません。基本的に関係者だけしかここに来ませんので。



見学会の参加者が誰もが驚愕したアーチ状の下流面。
流石にアーチダムとまでは行きませんが、曲線重力式の堤体に良く似た形になっています。

実は堤体のロック材を少なくする設計上の工夫だそうで、通常のように両岸を直線で結ぶより、中心のダム軸を上流へずらす事で、少しでも河床の標高の高い位置に築堤できる風になっています。

コンクリートダムのように上流面が垂直だと効果は少ないかもしれませんが、なだらかな斜面を持つフィルダムに於いてその効果は大きいと思います。

ちなみに、静岡の電源開発 水窪ダムも同じ方式の堤体なのだとか。
水窪はまだ見訪問なので、是非とも行かなくては。



透き通った湖水が美しい貯水池。豊かな自然に溢れています。
春の遅い地にあり、新緑から一歩だけ初夏に踏み出した季節です。



左岸の非常用余水吐。
シンプルな扇形の越流部から堤体脇を真っ直ぐにスロープが伸びます。



左岸に見える取水設備は、2階建ての建物で管理所を兼ねています。
通常は無人ですが、管理道路が崩れたり、雪で戻れなくなると、職員さんはこの建物で過ごす事になるとか。食料も備蓄されているそうです。



一番最初に車で到着したダムサイト右岸は少しだけ広場があり、ポールの上に吹流しが設置してありました。
実はここ、ヘリポートなのでした。



周辺は集落はおろか1軒の民家もなく、360度ぐるりとまばゆい緑に囲まれ、思いのほか広い空の下にそのロックフィルはありました。

簡単に行けるダムもあれば、絶対に行くことの出来ないダムもある。
大黒谷は決して気軽に行けるダムではないけれど、それはそれでいいかもしれないな・・・。

そんな事を思いながら自然に囲まれたダムを眺めます。
堤体脇の草の上を歩くと、いい匂いがしました。



幻のロックフィル。
大黒谷ダム

★★★


ちなみにこれで、岐阜県内で未踏のダムは川浦、川浦鞍部のみとなりました。
(アースを除くとですが・・・)

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム岐阜県 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |