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鶴田ダム

堤高117.5m
G/FP 1965年 国土交通省

2010.3.21見学

次の一歩。


川内川第2ダムから左岸沿いの道を登って行く。
トンネルをぬけると桜の花が眼に飛び込んできた。

桜の花は西に傾いた陽光に輝き、ダムはその中に埋もれるように現れた。



堤高117.5m 堤頂長450m。夕暮れの陽射しを受ける鶴田ダム。
その堤体は、広げた丹頂鶴の翼のように両岸でカーブを描く。



クレストには低く構えたラジアルゲートが4門。
鋭くエッジの効いた導流壁が格好良い。



ダム直下の発電所は、電源開発 川内川第1発電所。
最大出力12万kWは、九州の一般水力発電では一ツ瀬ダムの一ツ瀬発電所(18万kW)に次ぐ規模を誇っている。



水力発電の大動脈。一対の水圧鉄管がたくましい。



天端に常設されるガントリークレーン。日立造船製60t。
背中に背負っているのはコンジットの予備ゲートだろうか。



クレストゲートの部分から。
下流を見下ろしたいのだが、クレーンのレールに邪魔されて見る事は出来なかった。



ダムから下流の右岸は、法面の工事中。
2006年7月に発生した豪雨災害の復旧及び、法面の改良工事が進められている。

下流から鶴田ダムへ向かうには、本来こちらの右岸の道だが、工事中とあって川内川第2ダムの手前から左岸の道を登って向かう事になっている。



ダム湖は大鶴湖と呼ばれる。
総貯水容量 1億2300万㎥は、これも一ツ瀬ダムに続いて九州で二番手の規模。

眺めていたら北から夕暮れの風が吹いてきた。
日没前はこんな風が吹く事が多い。この風に乗って夜が直ぐにやって来る。



右岸からの鶴田ダム。
ここには管理棟と、展示館があるのだが、とうに閉館時間を過ぎ、またしてもダムカードを逃がしてしまった。



堤体の右岸は下流面にびっしりともの凄い数の足場が組まれ、表面の補修工事が行なわれている。スタジアムみたいで面白い。



鶴田ダムは1965年の竣工以来、40年間の間に95回の洪水調節を行ってきた治水のスペシャリストである。

だが、2006年7月、発達した梅雨前線が九州南部に停滞し、5日間に渡り大雨を降らせ続けた。
日本の平均年間降雨量は1700mmと言われているが、この5日間に川内川流域では総雨量1200mmという未曾有の大雨となった。

何日も洪水調節を続けた鶴田ダムであったが、最大4.000㎥/sを超える流入の追い討ちを受け、ついに限界に達してしまう。



下流のピーク時の水位を1.3m低下させ、その時間を4時間遅らせる事が出来たが、結局多くの家屋が浸水する災害となってしまった。

鶴田ダムは今、洪水調節容量を上げるべく生まれ変ろうとしている。

洪水から街を守るため、治水という重い責務を担う治水ダムは、常に前を見据え、前進あるのみなのだ。

全ては治水の為に。



鶴田ダム
★★★★★






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川内川第2ダム

堤高24m
G/P 1964年 電源開発

2010.3.21見学

川内川第二ダムは、上流の国土交通省 鶴田ダムの逆調整池の役割りと、鶴田ダムからの水を利用した発電を行なう電源開発のダムである。

川内川第2というダム名は、鶴田ダム直下の発電所が川内川第1発電所であり、このダムに併設する川内川第2発電所から取ったダム名と思われる。

直下の橋からの眺め。
左岸には沢山の桜が植えられ、ちょうど見頃を迎えていた。



桜並木が終わると、駐車場があり、発電所への入口があるが堅く閉ざされていた。
残念ながらこれより近づく事は出来ないのだろうか・・・。



諦め切れず、左岸にそって歩いてみると、大きなローラーゲートの裏に、シンプルな天端通路が隠れるように伸びていた。



ゲートに負けない巨大なゲートピア。
天端通路を渡った右岸には大きなソテツ、ここは南国のダム。



桜並木には提灯が吊るされ、明かりが灯されるのが待ちきれない花見客が宴を始めていた。

夜明け前から走り続けた九州遠征の初日、もう日は西の山に隠れてしまいそうだが、上流にもう1基、大物が待っている。



川内川第1ダム
★★

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一ツ瀬ダム

堤高130m
A/P 1963年 九州電力

2010.3.21見学

成層圏の要塞。


杉安ダムを後に一ツ瀬川を遡ると、九州地方の最高峰 一ツ瀬ダムが現れる。
2億6131万㎥の総貯水容量も九州随一であり、全国で見ても第九位の巨大ダムである。



左岸のクレーン跡を利用した展望台より。

巨大なアーチの両脇にジャンプ式洪水吐を備えている。
中心のクレストゲートは、自然越流式だとばかり思っていたが、両脇と同じく2門のラジアルゲートだった。

中心のクレストゲートの片側の扶壁には厚みがある、監査廊への入口があるのだろう。この直下辺りにコンジットを持っているが、関連があるかは判らなかった。



巨大なドーム型アーチ、ダム湖側の傾斜も強く、堂々とした佇まい。
雨が当らず白い下流面とは違い、鈍い色に染まった荒い肌は、金属的な硬質感さえ漂う。



クレストから上への突出が無く、スパッと切ったかのように水平な堤頂部。

巻揚機は、ゲート脇の扶壁の内部に完全に隠される凝った仕様となっている。
低く構えた窓が要塞をイメージさせる。



天端は立入る事が出来ないが、下流側に向け2段の展望スペースが設けられている。
(上段には慰霊碑、それと崖から転落したのか、1匹の鹿が息絶えていた)



竣工時期からすれば奇跡的な白さの下流面、それはドーム型アーチの証。

上椎葉ダムと似た両岸の洪水吐。



しかし、重厚な上椎葉のジャンプ台とは違い、導流壁も薄く、軽い造形。ジャンプ台の裏面には空間があり、児童公園の滑り台に近い。

堤体表面との接合部を迂回する様に、キャットウォークがジャンプ台の裏まで伸びている。あそこからはどんな光景が広がっているのだろう。



そして、幾何学的な岩盤補強。
一ツ瀬ダムで、いや、九州全土で、個人的に最も観たかった部分だ。

全て平面で構築された複雑な造形は、近未来的でもあり、また、逆に古代遺跡の様にも見える。つまり、それは時空を超えた造形なのだ。

これが美しい造形かと言えば、違うかもしれない。
だが、無性に心を掻きむしる光景である事は間違いない。



左右に配したジャンプ台により、シンメトリーが強調され、きっといバランスの取れた美しい姿であろう一ツ瀬ダム。残念な事は、下流面からの全容が伺えない事だろうか。

だが、それがこの一ツ瀬ダムに他のアーチダムとは違う、ミステリアスな魅力を持たせている事も確かだ。



堤頂長415.6m、巨大アーチを広げる一ツ瀬ダム。

優雅でありながら、張り詰めた緊張感溢れるその翼は、成層圏を突き破るパワーを秘めているように見えた。

The Stratofortress.



一ツ瀬ダム
★★★★★


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多々良木ダム(?)

堤高64.5m
FA/P 1974年 関西電力

2010.5.8見学

先日、関西電力 多々良木ダムに行ってきました。

八汐ダムが東電の黒い奴なら、こちらは関電のブラックフェイス。
高さでは八汐ダムに負けるけど、堤頂長なら多々良木ダムの方が長いんだぜ〜。

初めて見るアスファルトフェイシングフィルのカッコよさ、僕はすっかり魅了されてしまった



真っ黒なアスファルトの巨大な壁が超クール!

でも、なんとなく、焼き海苔みたいだな・・・・。


と、言う事で、作ってみました。

海苔ファルトフェイシングフィル 多々良木バージョン!



こちらは本物の多々良木ダム。



グレーのリップラップは、ごま塩で、天端の植栽は青海苔で忠実に再現。
ちくわ吐の上には、関電ブラックゲート (このパーツの為にナスの漬物を購入 笑)

ごはんの湯気で、天端道路のアスファルト舗装が丸まってますがご愛嬌。



いよいよ試験湛水です。

海苔ファルトフェイシングの遮水性能が試されます!

じゃばーっ!(湯気)



湖水(お茶漬けの素)がサーチャージまで注がれました!

おお!!予想を遥かに超える遮水性能!一滴の湖水も漏れません。
輝く湖水が妙にリアル。

実は、普通にお茶漬けにしたら堤体が持たないので、片栗粉でトロみを付けてみました。
これ、大正解。



おお〜カッチョいい (笑)
上の写真、決して空撮画像ではありません、念の為。


・・・・ところが、順調に思えた試験湛水で、大問題が発生しました!


網端を設けてなかったので、ゲートに流木が押寄せてきました、これはいけません。



海苔フェルトフェイシングフィルダム茶漬け 関電多々良木バージョン。



まだ漏れてないぞ、海苔ファルトフェイシング(笑)

この後、美味しく頂きました。

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杉安ダム

堤体39.5m
A/P 1963年 九州電力

2010.3.21見学

大内原ダムを後に、次のダムエリアに向かいます。
耳川の南側、小丸川にも沢山のダムがあるのですが、自分の体力と集中力を温存する為に今回はパスしました。そして向かったのが、もう1本南側の一ツ瀬川です。

河口から十数キロ、九州電力 杉安ダムが見えて来ました。

アーチ王国宮崎は、キングに上椎葉と一ツ瀬のツートップが君臨していますが、この小柄な杉安ダムが王国を下から支えています。
(※本当に支えている訳ではありません、あくまで愛好家の頭の中での話。)



ダムサイトは金網フェンスに囲まれていて、直接ダムに触れることはできません。

大きなラジアルゲート。
巻揚機のポリカ屋根がユニークです。

ラジアルゲートのアーム部分の傾斜が強いですね、点検時には足元要注意。



静かなダムの下流。
どこから来たのか、はぐれテトラくんが1匹。



直ぐ上流に九州の最高峰、一ツ瀬ダムがあるので、「低いアーチダム」とか、「低いくせにアーチダム」 なんて陰口を言われてそうなのですが、実はこの杉安ダム、堤高が40m「も」あるんです。

クレストのラジアルゲートが大きく、堤高の上半分を放流ゲートで占めているので、あまり高さを感じさせないのかなと思います。

また、ゲート下のアーチの面と、クレストゲート両脇の下流面では勾配が切り替わっています。アーチ式の下半身に、重力式アーチの上半身を乗せ、巨大なゲートを並べた感じの堤体ですね。



金網フェンスを避けて、ダム湖側に周ってみました。

大きく弧を描くアーチダム。
湖水もたっぷりで頼もしい杉安ダムでした。

この上流数キロに、一ツ瀬ダムがあります。



杉安ダム
★★★

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大内原ダム

堤高25.5m
G/P 1956年 九州電力

2010.3.21見学

上椎葉ダムからスタートした耳川のダム巡りも、最下流の大内原ダムで最後です。
耳川は、このダムの後、10数キロ下って日向灘へ流れ込みます。



ゲートピアの鉄骨が美しい大内原ダム。
残念ながら敷地内は立入禁止であまり近づく事が出来ません。

それに手前の発電所の建物も、ダムを隠していました。



国道脇の注意看板。
何故か絵柄にダム本体がありませんが、こっちから頻繁に水を出しますって事ですね。

九州電力の看板は、上椎葉ならちゃんと上椎葉ダムの姿が、それぞれ描かれていて愛好家ポイント高いです。



大内原ダム


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西郷ダム

堤高20m
G/P 1929年 九州電力

2010.3.21見学

耳川に沿って国道327を下って行くと、西郷ダムが見えてきました。

西郷ダムは耳川で最も古い発電用ダムです。
ピアの下流側にコンクリートアーチ橋が架けられているちょっと変わった外観が特徴です。

ダムサイトには駐車場がありません、国道脇の路側帯に車を停めて散策開始です。



堤高20m、堤頂長105mと、小柄な西郷ダム。
ここを渡す天端通路を、アーチ橋にする構造的な理由は見当たりません。
純粋に美観を狙ったものだと思います。もちろんその狙いは当っていますね。

敷地は他の九州電力のダムと同じで、金網のフェンスに囲まれていましたが、幸いアーチ橋は開放されていて、散策する事が出来ます。



宮崎県のダムは何故か鳩がたくさんいます。
この西郷ダムも、ゲートピアから驚いた様に何羽もの鳩が飛び立ちました。

この西郷ダム、ダム便覧によると、竣工は1983年と記されていますので、その時期に再開発などか行なわれているのかもしれません。
アーチ橋は堤体のコンクリートと少しだけ色が違いますし、橋脚とピアのつながりも不自然な感じを受けます。
外観からするとアーチ橋は再開発などで架けられた様にも思うのですが、実際に渡ってみると、極端に低い欄干は、明らかにそれよりも古い設計を示すものだと感じました。
このアーチ橋が、1929年の竣工時からのものだとすると、当時としてもかなり大胆なデザインだっだのではないかと思います。



左岸には魚道。
あんな所を登らされて魚は大変だ。と、人間は思いますが、彼らは遥々海からやってきます。このくらいの魚道なんてへっちゃらなのだ。



剥き出しになっているバルブからの放流は、上流の山須原ダムと共通ですね。
竣工時期が近い山須原ダムとは、兄弟と言える関係なのかもしれません。



アーチ橋から下流を望む。
溶岩のような真っ黒でゴツゴツした河床が印象的。



のどかなダム湖。

堤体と少し離れた右岸にある設備も山須原ダムと全く同じものに見えます。ここでも発電所への取水口はこれとは別にあり、この設備が何であるかよく解りませんでした。



再び、国道端の右岸に戻ってきました。
アーチ橋からは気が付かなかったのですが、ゲートピアのダム湖側には軌道がありました。

取水口などで捉えた流木なんかを対岸に運ぶ為のものかなあ。

なんて呑気な感じで見学していたら・・・。



ふと、デミオ号の方を見ると、パトカーが停まっていて、デミオ号のナンバープレートを照会中です。

周辺に何も無い (ダムならあるぞ) 国道脇に、薄汚れた本州ナンバーの車。
車内を覗くと、寝袋やらタオルやら、ごちゃごちゃと・・・。車内に住んでるのか?状態。

不審車両とは、この車の事です(笑)

遠くから声を掛けると、パトカーは立ち去り事なきを得ました。



アーチ橋の不思議なルックス。西郷ダムは小柄で、お洒落なおじいちゃんといったダムでした。

西郷ダム
★★★

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九頭竜新緑まつり。

五月晴れの今日、家族で九頭竜新緑祭りに行ってきました。

会場は、森湖08’メイン会場や、紅葉まつりですっかりおなじみの九頭竜国民休養地です。
紅葉も美しいですが、個人的には若葉が輝く新緑が好き。



駐車場からアクセスの良いエリアに、国土交通省のPRブースが並んでいます。

大野8ダム紹介パネルをメインにダム関連のパネル展示&流木配布です。
ダム紹介パネルは美しい写真をメインに、鑑賞ポイントや、堤体の図面をレイアウトした、ダム素人から玄人まで、誰にでも楽しめる力作となっています。

山原ダムの断面図が好き。だって堤体の下に送水管を隠しているんです。

この裏に控えめに展示してあった、真名川ダムのフラッシュ放流のパネルもとても勉強になりました。



木漏れ日の中、流木を物色する妻子。

奥さんは多肉植物を植え込むのにちょうどよい木切れを、娘は夏休みの工作用の流木を探しています。お目当てはありましたでしょうか?



さあ、今日の僕の一番の目的はコレです。

ここのイベントは、いつも地元のうまいものが沢山味わえます。
特に、特産のまいたけの天ぷらや、おいしい蕎麦は複数のブースで販売していますので、食べ歩くのが楽しいのですよ♪。



蕎麦、お代わり!。これで蕎麦は3店制覇。
ブースの名前が気合入っていますね!。どこかの愛好家集団みたいです。ははは。



本日の戦利品。
ぜんぶで千円。お得なイベントですね。

木のバケツは、漆を輸送していた容器なんだとか、500円で購入。



今日は風も爽やか、九頭竜のリップラップは輝き、鷲ダムも満水の穏やかな姿を見せてくれました。

この、九頭竜新緑まつりは明日(5/16)も開催しています。

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山須原ダム

堤高29.4m
G/P 1932年 九州電力

2010.3.21見学

諸塚ダムを後に、再び国道327に沿って耳川本流を下る。
やがて現れたのが山須原(例によって、やますばる と読む)ダムである。

この山須原ダムというダム名は、ここから水を送っている下流の山須原発電所から採用した名前のようで、地図では、鳥の巣という地名と共に、鳥の巣ダムと記されている。



竣工は名堤 塚原ダムよりも古く1932年。
垂直に立ち上がるゲートの扶壁が塚原ダムと共通するのは、此方も塚原と同じく改修工事が行なわれているのではないかと思われる。

扶壁の上の歩廊も、改修工事の折に設置されたのかもしれない。
現在クレストゲートの交換工事中である北陸電力 神一ダム、及び神二ダムも、これに似た歩廊が追加されたようだ。



左岸の下流に魚道。
魚道を流れ落ちる水の他にも、剥き出しのバルブから放流が行なわれていた。
河川維持放流だろうか。



意外にも天端は道路として開放されている。
宮崎県のダムは、天端が入れないダムが多いので、山須原ダムは貴重な存在である。

軽自動車と変わらない大きさの巨大な巻揚機。
一般に新しい機械ほど外寸はコンパクトになってゆくものであるが、巻揚機に関しては、モーターを小型化する代わりに、減速比などを見直して、プーリーなどの機械部分を大きくする事もあるのかもしれない。



天端通路は車道と歩道が分離されている。
路面はコンクリートではなく、鉄骨と鋼板で造られた橋梁となっている。

国道からこの通路を渡った右岸に、取水設備や管理棟がある。



ダムサイト右岸にある山須原発電所への取水口。
あまり見ない形の網端でガードされている。ハードタイプと呼ぶべきか。



上の写真とは別に、右岸の湖畔に見える設備。
取水口のようにも見えるのだけど、何だろう?。



この山須原ダムで僕が最も気に入ったのは、ラジアルゲートのトラス組の美しさだ。



一見無骨にも見える太めのNトラスだが、縦軸を同じピッチで配置しているため、斜めに入る3本の鉄骨は、角度が少しづつ序変して配されている。

葉っぱの葉脈や、蜂の巣の六角形、雪の結晶など・・・自然界が生み出す造形美に近いものを感じた。



無骨なゲートピア、巨大な巻揚機、鋼板敷きの天端、そして、有機的な暖かみさえある美しいラジアルゲート。
それらが一体となった山須原ダムは、不思議なバランス感を持った堤体であった。

山須原ダム
★★★★

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諸塚ダム

堤高59m
HG/P 1961年 九州電力

2010.3.21見学


九州唯一の中空重力式コンクリートダム。それがこの諸塚ダムである。
塚原ダムの下流数キロの地点から、耳川水系柳原川に沿って峠道を進む。

この峠に限らないが、宮崎の地元車両はとても速い。
農協のキャップを被った軽トラのオベ・アンダーソン(古い)や、割烹着を着たワゴンRのミシェル・ムートン(やはり古い)がぶっ飛んでいくので、宮崎の山道は注意が必要だ。

国内にわずか13基しかない貴重な中空重力式、その中でも諸塚ダムは独自のルックスの持ち主だ。それは下流面に鋭く、そして深く刻まれた5本のスリット。



中空重力式は、コンクリートの使用量を極力少なくする為の形式である。
堤体内部は、六角形の平面形状を持つ幾つかの大空間に仕切られている。

この特徴的なスリットは隣り合う空間の間仕切り部分にあたるとにらんでいる。
通常はこの様な窪みを設ける事は無いが、省コンクリートをより追求し、極限まで肉をそぎ落とした結果がこのスリットなのではないだろうか。



スリットばかりに注目してしまうが、クレストのゲートピアも、特徴的なデザインとなっている。
幾何学的な形状の内部構造を持つだけに、外部に露出する部分も直線的なクールな造形を魅せている。
天端通路の下、扶壁側面のドアーはラジアルゲートへ繋がっているのだろう。

天端の高欄の下からバケットカーブ無しに始まる下流面も、ホローグラビティらしいディティールだ。



天端は立入禁止だが、仕方ないだろう。
管理棟は、天端を渡った対岸にある。



ダムサイトから少し離れて、なるべく正面から望める場所を探したが、この角度からの眺望が限界であった。

手前に見える建物は、ダム関連の宿泊施設として使われていたのだろうか。
この場所にも行ってみたのだが、木々に阻まれ、堤体はあまり良く見えなかった。



高倍率ズームレンズの望遠端で観察すると、左岸のフーチングが、スリットの中まで入り込んでいるのが見える。
巡視用の階段からの通路が、スリット内に通じているようだ。
スリットの奥にはホローへの入口が隠されているのではないだろうか。



希少なダム形式に加え、このルックス。
下流の真正面から見上げる事が出来たら、卒倒するほどスタイリッシュな堤体のはずだ。

極限まで肉をそぎ落とした発電用ダムは、ボクサーのような男らしさを秘めていた。

諸塚ダム
★★★★

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