無料ブログ作成サービス JUGEM
←prev entry Top next entry→
オールドコンクリートダム型録(堰堤編)

さてさて、前回のオールドコンクリートダム型録では、日本で最も古い「ダム」たちを紹介しましたが、そもそも「ダム」と言うのは河川法によって定められた「河川を堰き止める高さ15m以上の構造物」と言うのは皆さんもご存じの通り。

ですが、この定義を定めた河川法は戦後の1964年(昭和39年)に施行されたものであり、それいよりも誕生が古いダムたちにとってはまさに寝耳に水、

「えっ!俺たちダムじゃないの?」「おいおい!聞いてないよ」
なんて声が聞こえて来そうです。

と、言う事で今回は堰堤編として、前回のオールドダム型録と同世代でありながら、知らない間に勝手に「堰堤」になっていた、堤高15m未満の「ローダム」たちの紹介です。



桂貯水池堰堤 1900年 京都府舞鶴市

まず、真っ先に名前を挙げたいのが、この桂貯水池堰堤です。
完成は布引五本松と同じく1900年、大日本帝国海軍の給水用水源として舞鶴に建設されました。

一面に苔が生したしっとりとした水源地に身をうずめるその姿は、風格と同時に野趣にも溢れ、さながらダム原人といった趣きです。
ここから日本のコンクリートダムが始まったかと思うと感慨深いものがあります。

133桂.JPG


旧大湊水源地沈澄池堰堤 1909年 青森県むつ市

続いても有名な物件、旧大湊水源地はロシア・バルチック艦隊からの北海道防衛を目的に、帝国海軍の軍事施設として誕生しました。
戦後、民間の水源地として施設が引き継がれ、運用終了した現在は市民の憩いの場として穏やかな余生を送っています。

堤高7.9mと小柄ながら美しい弧を描く堤体は「日本最初のアーチダム」と称される事もありますが、現地で確認するとアーチダムでも「重力式アーチ」に近いものでした。
現代の感覚ではアーチダムは貴重な型式であり、なんとなく重力式よりも技術が高く、優れているダムのイメージを持ってしまいますが、当時はまだ、ダムの構造計算にアーチ効果による「期待値」が盛り込まれていた時代ですから、今とは逆に直線重力式の方が大胆で思い切った設計だったのかもしれません。

678旧大湊水源地沈澄池堰堤.JPG


(布引)分水堰堤 1907年 兵庫県神戸市

一般に日本初のアーチダムとされるのは上記の旧大湊水源地なのですが、実は布引五本松の上流にある分水堰堤の方が、アーチダムとして2年ほどより早く完成しているようです。

日本で最も古いダムこと、布引五本松ダムの付属設備であるこの分水堰堤は、布引五本松の貯水池への取水堰堤となっており、雨などで川が濁った場合に取水をカットし、貯水池が濁らない役目をしているものです。

フェンス越しに公開されているものの、茂った雑木でほとんど姿が見えないのが残念ですが、石張のその姿は、旧大湊水源地と異なり純粋なアーチ形状をしています。

587布引水源地分水堰堤.JPG


(布引)締切堰堤 190?年 兵庫県神戸市

布引五本松の貯水池と、分水堰堤との間にあるのが締切堰堤です。
元々は砂防堰堤ですので、ちょっと本型録とはジャンルが異なるかもしれませんが、表面石張の純粋なアーチ形状をしています。

分水堰堤から送水された水で貯水池の水位が上がり、水が谷に逆流しないように既存の砂防堰堤を嵩上して現在の姿になりました。竣工年はよく解らないのですが、分水堰堤と同時かそれ以後だと思われます。

586布引水源地締切堰堤.JPG


大河原発電所取水堰 1919年 京都府相楽郡

高山ダムのすぐ下流、木津川に根を下ろしもうすぐ100年となろうと言う古い堰堤です。ストイックでシンプルな形状なので写真では大きさが解り辛いですが、あと数センチで15mに届くなかなか立派なローダムです。
同期の石張ダムたちと同じく、非常に丁寧な施工が印象的です。

先の2基の物件は軍港施設でしたが、こちらの堰堤は水力発電所で送水する取水堰堤であり、それだけでも当時の日本の情勢や経済の変化を想像できる気がします。

734大河原発電所取水堰堤.JPG

以上、とりあえず、訪問した中で有名どころを並べてみました。

堤高15m未満の「堰」「ローダム」はネット上の資料も少なく全容を把握する事は困難だと思うのですが、資料を発見してしまうと現地に行きたくなってしまうので、決して開けてはならないパンドラの箱のような気がします。(笑)

| あつだむ宣言!(清水篤) | 堰堤型録(だむかたろぐ) | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2013/10/08 8:19 PM posted by: 夜雀
お疲れ様です。

布引の締切堰堤は1908年(明治41年)竣工です。
間知石練積堰堤
堤頂長 30.5m
堤高 7.6m
堤頂幅 1.5m
神戸市水道誌では『断流堤』という名称でした。

水道誌の図解では布積みで描かれていますが実際は谷積みというややこしいデータの持ち主です。

上記データは以前神戸市水道局から頂いた布布引水源地が国重要文化財指定をうけた2006年の記念誌に書かれていたものです。

もしかして・・・
知っていたけどあえて書かないでミステリアスにしていた?
だったらごめんなさいのずさざわー。

   夜雀 拝
2013/10/09 12:26 PM posted by: あつだむ宣言!
夜雀さま、お疲れです。

すみません、情報ありがとうございます。
いやいや、確かスペックも全て知られていたと覚えてたのですが、どこの情報だったか失念してしまいまして、助かりました。

どうもありがとうございますかみくりざわがわー。

あ、そだ、次回の堰堤型録はずさずさをネタにしよう、そうしよう。
name:
email:
url:
comments:
Trackback
トラックバック機能は終了しました。