-
スポンサーサイト
-
2020.03.26 Thursday
一定期間更新がないため広告を表示しています
| スポンサードリンク | - | - | - | pookmark | -
谷山ダム
-
2013.06.18 Tuesday 12:16
堤高21m
G/P(機能停止) 1939年 神戸製鉄
2012.11.22見学
1012年の晩秋、山口県下関に今はもう使われていない廃ダムがあると知って、早速ちょっと行ってみました。
ダムを観て周るようなって数年経ちますが、ダムを知るまで車で琵琶湖より西は行った事が無かった事を思うと、慣れと言うのは本当に怖いですね〜笑。
夜明け前に自宅を出て一路西へ西へ。
お昼頃はに本州の端っこまで来ました。
眼の前に関門海峡大橋、背後の山はもう九州です。
今回向かう廃ダムは、海からほんの少し山間に入った所にあります(あるらしいです・・・)
神戸製鉄の工場に工業用水を供給する目的で、戦前に建設された古いコンクリートダムなのだそうです。
ここがダムへの入口、どこにでもある感じの山里です。
戦前のダムです、ダムサイトまでは当然のように徒歩で向かう事になります。
丁度いい所に砂防に関する看板がありました。
看板の端っこに、ちゃんと目的の「谷山ダム」も描かれていました。
県道から直線で300mといった距離です、楽勝でしょう(たぶん)。
川に沿って畑の脇のあぜ道を行きます。
距離は無くとも油断禁物。長靴、手袋、クモの巣払い棒のフル装備。
県道から100mほど進むといよいよ山の中へ。
ここでコンクリートの橋を渡ります。
ポイントは急がばまわれで、黄色い矢印のように進む事。
なんとなく上流へ向かうと、川沿いの赤矢印に進んでしまいますが、砂防堰堤で行き止まりになっています。
道はあると行っても、廃ダムに向かう廃道です。
地元の環境調査のグループが、夏頃にホタルの生息調査にダムを訪問したと言う記事を見たので、とりあえず廃道ながらダムまでは行けるはずです。
だんだん険しくなって来ました。
雨で道が荒れても整備される事も無いでしょうから、訪問する人は時には勇退も心得て向かってください。
あと、いくらダム巡りがレジャーとして認知されても、やっぱり廃ダムだけは家族向きじゃありません。
途中で木の橋を渡りさらに進みます。
なんとなく、そろそろかな・・・。
おおおおー!
茂った木々に隠れていたのか!!
林の向こうにコンクリートの壁がどーんと立塞がっていました。
無事、谷山ダム発見です。
直下には人がかがんで入れるくらいの穴が。
位置的に底樋ではないので、堤体内や取水設備へ向かう穴かなと思います。
御影石の銘板がありました。
「谷山堰堤」
昭和十四年の文字も見えます。
茂った木々に阻まれて、触れるくらいの真下まで来ないと下流面は見えません。
ひょっとしたら、まだまだ石張堰堤である可能性も感じていたのですいが、国産セメントの一大産地である山口県にあって、流石にもう石張はとうの昔に脱ぎ捨てていたようです。
堤頂部に小振りな洪水吐が複数並んでいるのが見えました。
ここから観ると自然越流式のようにも見えるのですが・・・。
細く低い堤体導流壁。
車止め程の高さしかありません。これで大丈夫だったのか?大丈夫ではなかったのか??。
廃ダムの今となっては知る由もありません。
直下からほぼ獣道の歩道を登ります。
幸い、訪問した2012年11月の時点では、特に危険と感じる場所はありませんでした。
右岸天端に到着。
特に広場のようなスペースもなく、いきなり天端というのも徒歩で向かうオールドダムによくある感じ。
行く手を阻む倒木の枝が何かを言っているようで、少し緊張しつつ、先に進みます。
天端の幅は1.5m程でしょうか、コンパクトですが高欄のコンクリート整形も品の良いもので、廃ダムとなった今も竣工時の美しさの残り香が薫ります。
天端中央の洪水吐。
下から見上げた時は自然越流に見えていたのですが、どうも違った様です。
赤錆色の手摺りに囲われ、頑丈そうなハンドルがゲートの数だけ並んでいます。
非常にシンプルなスライドゲートです。
ピアの溝に木板を差し込み、手動で昇降していた様です。
扉体の木板は朽ち果てて一部を残すのみですが、ピアのコンクリートやハンドルなどの金属部分はよほど堅牢な造りだったのか、赤錆が表面を覆うだけで現役と思えるほどしっかりとしています。
ゲートの辺りから下流を見ます。
木々が茂っていますが、およそ2km先にはもう海です。
天端を左岸まで来ました。
こちらは山肌からの土砂に埋まりつつあります。
それでも、コンクリートの堤体自体はしっかりとしてるように感じました。
左岸端でちょっとだけダム軸が折れている所がチャームポイント。
今は全く使われていない廃ダムの谷山ダム。
貯水池はというとこんな感じ、池の底に雨水が溜っているといった具合。
背後に標高260mほどの山がありますが、明確に流れ込む河川も見当たらず、地形を見ると集水範囲が極端に狭い事もあり、本当に貯水できたのか不思議な感じを受けます。
ひょっとしたら、他の工業用水のダムにもある様に、他の河川からポンプアップした水を貯留していたのかもしれませんが、そういった設備らしき遺構も見当りません。
右岸から貯水池内に降りてみます。
砂地の斜面は緩やかですが、慎重に慎重に。
天端から見た砂地の上に、無数の足跡があるのが見えていたのです。
夏のホタル調査の人の足跡だろうか?
と、思って、例の砂地に降りて驚いた。
人間の足跡だと思っていたのですが、どうも全て動物の足跡の様です。
廃ダムの溜り水は周辺の動物の格好の水飲み場になっているみたいです。
(流石にクマはいないと思いますが)
何はともあれ、ちょっと珍しいアングルからのコンクリートダム。
最初見た「やっつけ仕事」のような堤体導流壁とはうって変って、とても丁寧で美しい姿に見えます。
貯水池の底は想像よりもしっかりしていて、足元が沈むような事もありません。
堆砂や堆積物もほとんど無かった、とても良好な貯水池だったようです。
木板のゲートが朽ち落ちて、小さなアーチ橋が並ぶ可愛いゲートから向こうの空が透けています。
丸い取水設備を囲む細かい型枠の跡が、昼過ぎの陽光を受けグラデーションのように見えていました。
思い立って訪れた下関の廃ダム。
決して誰にでもお勧めできる物件ではありませんので、もし行かれる方は十分安全に配慮して向かわれる事をお願いします。
谷山ダム
★★★ -
スポンサーサイト
-
2020.03.26 Thursday 12:16| スポンサードリンク | - | - | - | pookmark |
-
Comment
-
2013/06/18 7:52 PM posted by: マックおばんです〜。
廃ダムを見に何キロ走ったのでしょうか?
廃ダムとは言え趣がありますね〜。
素敵です♪
産業遺構とかで残せないんでしょうかね…。 -
2013/06/19 1:46 AM posted by: 夜雀お疲れ様です。
ほほーーー!!
これはまた美しい。
洪水吐にあるのはスルースゲートですね。
ハンドルで板上下だけするやつ。
珍しいなぁ。
天端も洪水吐部分だけ横桟式で左右はパラペット構造だし越流時を見込んでたのかなぁ。
おもしろーい。
貴重なダム写真の記録ありがとうございます。
夜雀(日本酒のんで酔っぱらい) 拝 -
2013/06/19 12:29 PM posted by: あつだむ宣言!マックさん、まいどです〜。
折角山口まで行ったので、帰りは広島に寄ったり、四国に渡ってもう1基廃ダム見たりして帰宅しました。
全国の石張堰堤を観てまわっているので、戦前のダムで詳細のはっきりしない物件は、ひとつひとつ潰して石張じゃないか確認していかないとね。
夜雀さん
おやおや、こんな夜更けに酔っ払いとは珍しい・・・。
下関の工業用ダム。海が近くて立地的にもなんでここに?って所にあります。
個人的には山口県・・・関東から遠い為がいまひとつダムの話題が少ないですが、マニアックさにかけては案外日本一熱いエリアじゃないかと・・・。
-
2016/08/24 3:43 PM posted by: PAPA懐かしいですね。もう、40数年前に幼稚園の遠足で訪れましたのが最初で、その後、ハイキングなどで何度か訪れました。昔は、小学生だけでも簡単に辿りつけたんですけどね。当時は水も満水に近い状態で、少しだけ恐怖を覚えたものです。貴重な情報、ありがとうございました。
-
2016/08/26 12:32 PM posted by: あつだむ宣言!PAPAさま
ご覧いただきありがとうございます。
なんと現役の頃を知っておられる方にコメント頂けるとは嬉しいです!
とても綺麗なダム湖だったのでは?と想像しています。たしかにまわりは山野ですし、子供には少し怖い場所だったかもしれませんね。
貴重なカキコミありがとうございました。 -
2019/05/10 12:50 AM posted by: bell212ガキの頃良く行っていました
当時は道中に番小屋があり
爺さんと犬の目を盗んで訪れていました。
結構大きな貯水面積がありました。
中学校を卒業した春休み
同級生がゴムボートで遊んでいて
一人溺れて死にました。
それ以来行っていませんでしたが
廃ダムになって貴重な画像をありがとうございます。
堤体は残るでしょうが
貯水池であった場所はもう山に戻っているでしょう。
人生半分を超え、昔の事を思い出すことが出来ました。
ありがとうございます -
2019/05/14 12:30 PM posted by: あつだむ宣言!bell212さま
貴重なお話ありがとうございます。
貯水池はまだ樹木がそれほど進出していない様でした。
雨水が溜まったり、ひあがったりを繰り返しているのかもしれませんね。
-
Trackback
- トラックバック機能は終了しました。