無料ブログ作成サービス JUGEM
←prev entry Top next entry→
内の倉ダム

堤高82.5m
HG/FAWP 1973年 新潟県営

2012.10.08見学


新潟、福島、山形そして再び新潟と周って来た今回の旅路も、そろそろ最後の水系となります。

胎内川から西に加治川に入ります、越後平野から山裾に入り数キロ、トンネルを抜けると新潟県の多目的ダム、内の倉ダムが姿を見せました。

IMGP9532.JPG

複雑な形状のダム正面(上流面)、そうです、内の倉ダムは国内でわずか13基しか作られなかった中空重力式のコンクリートダムなのです。

特徴的なダイヤモンドヘッドが見えます。
傾斜のついた取水設備が上流に向けてふんばっている堤体の形状を示しています。

IMGP9537.JPG

赤い2門のクレストゲートの下、ぽっかり空いた四角い穴の中にオリフィスゲートの扉体が見えています。

内の倉ダムはこれらゲートの他に、大小3箇所の利水用バルブを持っています。

IMGP9535.JPG

ダムサイトに中空重力式を示す模型が展示されていました。
コンクリートで作られている事もあって、すごくリアル。

こちらは上流側です。
分厚いダイヤモンドヘッド、この面で水圧を受けとめます。

ダイヤモンドヘッドは傾斜が付けてあり、バットレスダムのように垂直にかかる荷重もダムの安定力として利用しているのだと思います。

IMGP9541.JPG

こちらは模型の下流面です。

ダイヤモンドヘッドから下流側に向って、鉄道のレールのような形をしています。
レールで言うくびれの部分を中空重力式ではウェブと言います。
堤体は複数のウェブが並列に並んだ恰好になり、その隙間が空洞(ホロー)となる訳です。

ダイヤモンドヘッドで受けた水圧は、主にウェブ部分で基礎地盤に伝えられます。
なので下流面の壁は薄く形もスッキリ。

ダムによって下流面が開放された形もあり、国内では唯一宮崎の諸塚ダムが該当します。
(諸塚はウェブの壁の中にもさらに空洞があり、開放/空洞/開放/空洞・・・と並ぶ形状をしています)

IMGP9539.JPG

天端から一気に傾斜が始まる下流面も中空重力式の特徴です。
傾斜も重力式とくらべかなりの急勾配。

重力式とは同じコンクリートを使いながら、全く異なる考え方のダムと言えます。
外見は重力式とそれほど違わないかもしれませんが、例えるなら、同じ物を、盛って作るか、削って作るか、の違いくらい実は別物なのかもしれません。

IMGP9547.JPG

急斜面の奥に河川維持放流の音が響いています。

いいねえ〜
なかなか、ふぉとじぇにっくです。

IMGP9552.JPG

すっきりとした天端。
開放され、徐行さえ守れば車両も通行できます。

IMGP9543.JPG

天端にある各建屋は筋状のデザインが施され、何気に洒落ています。
天端は重力式であればコンクリートの山頂といった所ですが、ここは中空重力式なのでビルの屋上と言った方がイメージが近いかも。

IMGP9563.JPG

平野部から少し山に入った位置にあるので、結構お客さんもやって来ます。
ダムサイトでは地元の野菜などの露天も店を開いていました。

内部のホローを使って、毎年コンサートが行われているそうで、横山ダムと並び、一般でもホロー内部の見学チャンスが多いダムと言えます。
さらに今年はコンサート以外に〇〇〇なんかも予定されているとの事で、今年はちょっと内の倉が話題となりそうです。
いやー、めでたいめでたい。

ホロー内は横山ダムと井川ダムに入った事があるのですが、絶対にハマります。
まだ行った事ないよと言うダムファンの方は、一度見学される事を強くお勧め。

IMGP9554.JPG

天端の中程で上流側を見下ろしたところ。
オリフィスの穴と、ダイヤモンドヘッド。

IMGP9556.JPG

洪水吐は直下で右に急角度で向きを変えています。

IMGP9562.JPG

本当に真下でぎゅん!と右にカーブ。

流れを整える為か、それとも減勢工の壁の保護か?
減勢池の中に2列のリブが立っています。

IMGP9555.JPG

内の倉ダムは、当初、農水省(当時は農林省)のかんがい用ダムとして開発が始まりましたが、羽越豪雨を受け、洪水調節を追加し新潟県営のダムとして完成しました。

国内わずか13基の中空重力式、82.5mの堤高は、畑薙第一ダム(125m)、井川ダム(103.6m)に続き、3番目に背の高い大きなダムです。

1957年に国内初の中空重力式として井川が完成し、60年代には全国に10基ほど建設されましたが、1973年完成の内の倉ダムを最後に、以後この型式のダムは造られる事は無くなりました。
セメントが以前よりも安価になり、逆に人件費が高くなるなど、複雑な中空重力式を採用するコストメリットが無くなった事もありますが、内の倉ダムの建設中にRCD工法の島地川ダムが着工するなど、新たなコンクリートダムの建設方法が確立されつつあった時期でもありました。

さらに時代は流れて、現在は監査廊以外でもエレベータシャフトや放流管など、どんどんプレキャスト化が進んでいるので、いっその事、ダイヤモンドヘッドやウェブをプレキャストで作って、いつの日か中空重力式が復活しないかな〜、なんて空想は、いくらこの形式が好きでも無理があるよね・・・。

そんな事を思いつつ、内の倉ダムを後にしました。

IMGP9561.JPG

ちなみに国内13基の中空重力式で、これで未踏は北海道の金山ダムを残すのみとなりました。
今までのダム巡りで、未踏エリアは北海道、沖縄、そしてなぜか千葉の3道県なので今年はどれか一つくらいは訪問したいなぁと思っています。

内の倉ダム
★★★★


| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム新潟県 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2013/02/19 8:47 PM posted by: マック
おばんです〜。

お、内の倉ダム!

私の好きなダムです♪

でも行った時は暑いわ、アブが…。
なのでダムカードをゲットして、すぐに帰っちゃいました…。

また行きたいと思います!
2013/02/20 12:25 AM posted by: 夜雀
お疲れ様です。

残すところは金山のみ。同志。
なんとか行きたい金山ダム。
そしてHGコンプリート。

でも遠いの。
貧乏人には距離だけではなく遠い目標なの。

しかし内の倉はあのV字谷によく作ったなという凄いデザインが魅力。
気合いが違う。

そして管理所の方はすごく勉強しておられてダムの仕事に誇りを持っておられるのがピシピシ伝わってきてほんとにすばらしいダムだと思います。

コンクリート模型と言い、ほんとにHGを学ぶのにうってつけですね。

   夜雀 拝
2013/02/20 12:39 PM posted by: 夜鷹
実は湖底に用水路が沈んだため、用水の確保のためポンプアップして、左岸の水田に用水が供給されています。
最上流に行けば使われていない石張りの頭首工も見られますので是非再訪していただきたいです。
新潟県初の水力発電が行われた内の倉ですので、再訪ください。
新発田市には新潟県が誇る日本酒メーカー菊水酒造がありますのでお土産にどうぞ。
2013/02/20 5:51 PM posted by: あつだむ宣言!
マックさん、毎度です。

下流から正面を見上げるポイントがあるはずですが、何故かスルーして帰っていました。
心残りなので再訪するべしですね。

何故かアブがやたら多いダムってありますよね〜。


夜雀さん、お疲れさまです。

以前、いろいろ教えて頂いた事を基に書きました、ありがとうございました。(間違いあればダメ出しして下さい)

公開のチャンスがある貴重なHGですよね。
一般に公開して頂けるのも、職員さんが価値をよく知っておられるからだと思います。

金山ダム〜、同士と言えば同士久瀬。
北海道は行きたい物件山盛りですね。
糠平とかもいいですよね〜。

関空からLCCが飛んでませんか?
もしくは敦賀からフェリーも人だけなら安くて楽しそうですが、日程が掛るからお休みできませんよね。


夜鷹さん、

お久しぶりです、コメントありがとうございます。
おお、なんと石張の頭首工ですか、知りませんでした!これは行かねばなりませんね!
菊水ってうま口のお酒の菊水ですよね。
さすが夜鷹さん、日本酒派ですか?。


name:
email:
url:
comments:
Trackback
http://side-way.jugem.jp/trackback/966