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浅虫ダム

堤高9m
G/FN 2002年 青森県営

2012.7.15見学

新しいシステム。


早瀬野ダムでテンションが上がった後は、東北自動車道〜青森自動車道の終点、青森東ICで降りて、陸奥湾沿いの国道でさらに北上します。
昨日から個性的なダムばかり見て来ましたが、またしても変り種を訪れる事にしました。

陸奥湾に面した浅虫温泉の山側にあるコンクリートダム、浅虫ダムです。

IMGP0386.JPG

これが浅虫ダムのダム本体全景です。

異様に低い堤体、高さは9mしかありません。
215mに及ぶ長い堤頂長、そして広大な洪水吐、幅は広い部分で35mもあります。

このとても風変りな浅虫ダムは、すぐ下流の浅虫温泉を洪水から守る為に造られた、治水を主目的としたコンクリートダムです。

IMGP0401.JPG

全長わずが5kmの浅虫川ですが、密集した温泉街の中を川が貫通している為、川幅を広げるなどの治水工事では用地取得の面で不可能とされました。
その為、温泉街の上流500mに計画されたのが浅虫ダムです。

しかし、ダム予定地の地下を流れる地下水は温泉の希釈水として重要な水源であり、基礎岩盤までコンクリートを打ち、遮水してしまう従来のコンクリートダムでは歴史ある名湯の死活問題です。温泉街が洪水から守られても、これでは意味がありません。

そこで考え出されたのがフローティング形式という独特の構造です。
ダムサイトの地表から基礎地盤まで杭を打ち並べ、その上に浮いた状態でコンクリートの堤体を建設します。
ダム本体の下には直径2m、長さは基礎地盤まで届く7〜23mの杭が39本×2列。
岸付近には一部連続地中壁を使用しています。(本数などは図面を読んだ数)

広い減勢工の部分はそれとは別に、直径40cm、長さ7mの無数のPHC杭(プレストレスト高強度コンクリートパイル・・・名前がカッコイイ)が、広大なコンクリート面を下から支える構造となっています。

これにより、浅虫川の水を貯留し洪水を防ぐ一方で、ダム本体の下を流れる地下水は従来どうりスルー出来る、他では類を見ない特殊なダムが完成しました。

IMGP0388.JPG

減勢工の周辺は芝生広場になっていて、カモシカや蛍をモチーフとした記念碑。
でっかい蛍のモニュメントは夢に出てきそうなリアルさ。

浅川ダムの貯水池は「浅川ほたる湖」と命名されています。

IMGP0394.JPG

減勢工の右岸端は下流への放流路があります。
通常のダムであれば河川維持の放流がされている部分ですが、浅虫ダムからは水が流れ出ていません。
実はダムを迂回して別の水路が設けてあり、ダムにより浅虫川が枯川になっている訳ではありません。

さらに、サーチャージを越え、設計洪水位を超えるような大きな出水でない限り、ダム本体を越流し、ここへ水が流れ込む事がないように設計されています。

IMGP0399.JPG

通常の洪水に対応する放流設備は、貯水池左岸に洪水吐と放流路が造られています。
トンネル式の放流路はおよそ1km下流の陸奥湾に直接放出される仕組みです。

海が近く高低差も無かった事もあると思いますが、既存の鉄道トンネルとすれすれで交差する為、かなり厳しい条件での工事だったそうです。

既存の河川とは別の放流ルートの開通は、たとえサーチャージを超える大雨となった場合でも、ダム建設前と比べ確実に下流への水量を減少させる、実効性の高いシステムです。

IMGP0416.JPG

地図上ではダム本体を一辺とした四角い形をした貯水池ですが、それは貯水池の中に貯砂ダムが設置されている為です。

浅虫ほたる湖には上下に3連の大きな貯砂ダムがあり、一番下のメインの貯水池には極力砂が堆積しない構造となっています。

IMGP0404.JPG

貯砂ダムの上流からの眺め。
上流部は自然な河川の雰囲気があり、公園となっています。

きっと、本当にほたるが飛び交っているのでしょうね。

IMGP0413.JPG

フローティング式コンクリートダムと言う変わったタイプの浅虫ダム。
実際に訪問して調べてみると、とてもシステマチックに考え抜かれた実戦的なダムである事が解りました。

大雨で温泉街を襲う河川は、同時に温泉街の大切な地下水脈の源でした。
浅虫ダムの特徴はそんな特殊な状況下で考え出されたものですが、他のダムでも参考になる点が多い優れたダムではないかと感じました。

IMGP0389.JPG

浅虫ダム
★★★

ちなみに、浅虫ダムは堤高9mしかないのに、ダム便覧にダムとして掲載されています。ダムの堤高が基礎地盤からの高さだとすると、地盤が深い所だと堤高30m以上と解釈する事も出来ます。

それが掲載されている理由であるかは不明ですが、もしそうなら、奥津発電所の懸崖水槽もバットレスダムとして掲載して欲しいなぁ、なんて事を思いました。

↓バットレスのフローティングダム 懸崖水槽
http://side-way.jugem.jp/?eid=392

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