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ブログ3周年記念特別企画 三永水源地堰堤再訪レポ
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2012.07.30 Monday 12:14
堤高14.2m
G/W 1943年 呉市営
2012.5.12再訪
戦前のプレキャスト。
7月も終わろうとしていますが、今月をもちまして「THE SIDE WAY」は無事3周年を迎える事が出来ました。
ダムを観に出かけるようになって1年を過ぎた頃、撮った写真の有効活用と言う事で始めたのがこのブログです。
仕事では毎日パソコンを相手にしていますが、正直あまり詳しくなく、未だスマートにリンクを貼れないようなブログですが、記事を読みに訪問して下さるダムファンのみなさんに改めて感謝しています。いつもありがとうございます。
ブログをスタートした時点で既にストックが150基ほどあり、1年以上前の写真と記憶を頼りに、常に季節感のないレポート(笑)をだらだらと続けて来ましたが、3年掛かりでストックが尽き、これからはようやく訪問直後の新鮮なネタが書けるようになりそうです。
その反面、気軽に行ける範囲のコンクリートダムは、ほぼレポートしてしまったので、ダム訪問レポ以外のネタも挟まないと間が持たないよなぁ。なんて事も思っています。
さて、
前置きが長くなりましたが、ブログ3周年特別企画として、再訪問物件のレポートです。今まで自分が初めて訪れたダムのみブログに書いて来ましたので、再訪の事を詳しく書くのは初めてだと思います。
取上げるのは広島県呉市の三永水源地堰堤です。
呉市の市営水道として戦前から戦中にかけて造られた重力式コンクリートの堰堤は、堤高14.2mと現在の区分では堰堤に属しますが、100mもある堤頂長は当時の水道ダムとしては規模の大きな堤体です。
水道水源として厳重に管理され、一般には一切非公開の施設ですが、敷地内にある藤棚は西日本一と謳われる立派なもので、藤の花が咲く春の数週間だけ園内が公開されています。
今回の中国遠征の大トリとしていざ三永水源地へ!、前回訪問時のリベンジです!!。
(前回のレポはこちら http://side-way.jugem.jp/?eid=661)
ガードマン常駐の受付で記帳をして園内に足を踏み入れます。
ここ三永貯水池の藤棚は結構有名のようで、公開期間だけ仮設の駐車場も設けられるほどです。
湖畔に並ぶ立派な藤棚・・・。
但し、花の見頃はとうに過ぎており、探さないと花はありません。
実は、今日は開放期間の最終の週末で、今日を逃すと来年まで堰堤を目にする事はできないのです。
でも、今日の目的は堰堤です。
咲き誇る藤の花と堰堤というのも素敵ですが、前回訪問時に苦労しただけに今日と言う日をどれだけ楽しみにして来た事か!。
広い敷地内を堰堤方面に急ぎます。
花は無くとも、園内は手入れが行き届き心地よい庭園となっています。
しばらく歩くと水源地の概要を伝える看板がありました。
着工昭和13年、竣工同18年。
およそ70年前に造られた歴史あるコンクリートダムです。
看板から左に曲がり、藤棚の下をくぐるとダムサイトです。
わくわく、どきどきー!。
わー!
三永水源地堰堤だー!!
中心でアーチ状の円弧を描く優雅な美堰堤、それが三永水源地堰堤です!。
決して背の高いダムではありませんが、たっぷりとした長さと、広い敷幅は堂々と威厳に満ちたものです。
そして、三永水源地堰堤を、三永水源地堰堤とたらしめているのはこの見事な高欄です。
重厚なコンクリート造りの高欄は、それぞれ凝った装飾を施すオールドダムの中でも決定版と言えるものです。
優美なアーチ状の堤体と共に、オールドダムの造形の模範としてこの堰堤は登録有形文化財として指定を受けています。
しばらくポーッと見事な高欄を眺めていましたが、ダム探究者として気になるのは堰堤の構造についてです。
浄水場への取水設備は堰堤の中程に見えていますが、洪水吐が見当たりません。
堰堤の下流に河川がある事は地形や地図でも確認していましたから、ダムサイトに洪水吐があるはずです。
堰堤の真下は対岸まで庭が広がっています。
その左岸の岸際をよく見ると、石碑があり、その近くに鋼管の赤い手摺のようなものが見えます。
どうやら左岸端に横越流式の洪水吐があり、赤い手摺は管理橋のものではないかと思います。
そこまで行って確かめたいのは山々ですが、一般開放されているのは敷地右岸の藤棚のある庭園部分のみで、堰堤本体や天端までは近寄る事も出来ません。
てっきり天端まで行けるものと勝手に期待していたので少し残念ですが、現役の水道水源なので当然と言えば当然です。
また、貯水池の岸辺も近付く事が出来ません。
ぐるっと金網のフェンスで厳重に囲まれている事もありますが、岸に連なる藤棚の中は立入禁止なので、藤棚が分厚いガードとなって湖面を覗くのも難しいのです。
なんとか別のアングルで堰堤が見えないものか?
園内をうろ付いて、敷地の下流側の端に来ました。
しかし堰堤下に行く道も当然のごとくフェンス封鎖。
そこから遠くに覗く堰堤クレスト部。
いつかはあの天端を歩いて、直に高欄に触れてみたい・・・。
近くには、アヒルとタチコマのトピアリー。
いやいや、鶴と亀ですね。
その横には水道関連の鉄管でしょうか?
柵の向こうに並べてあるので一応展示物だと思います。
再びフェンス越しに天端をしばし眺めて、藤棚の近くに戻ってきました。
開放最終週ですが快晴の陽気に誘われてか次々とお客さんがやって来ます。
今回の遠征や、前回来た時の事を反すうしながらのんびりとしばし休憩。
この後、自宅まで500km以上高速を走ります。
何処か座る所・・・。
と、思って園内に置かれているベンチに近寄ると・・・。
!!!!!。
これはもしや!。
広い園内に点々と据置かれたコンクリート製のベンチ。
分厚いコンクリートで出来たベンチは・・・。
そうです!これは堰堤に使われている高欄のパーツを、そのままベンチとして利用した物に間違いありません!。
さっきフェンス越しに観た天端の高欄。
柱状の部分の縦筋が何よりの証拠です。
つまり、三永水源地堰堤の高欄は現代で言う「プレキャスト」で造られていたのです。
確かに彫が深く複雑な造形は現場施工では難しく、予め別の場所で成型したパーツを使用した方が効率も良く仕上がりも上々だった事だと思います。
ベンチに使われているバーツは、きっと築堤時に余った物だと推測します。
(ベンチの為に設計されていないので、ものすごく座り心地が悪い!笑)
プレキャストと聞くと、最新の合理的な施工法のイメージなので、戦前のダムでの施工例は驚きました。
しかし、よく考えると日本の古来からの木造建築は全て加工済の木材を搬入して、現場では組み立てる(プレファブ)工法であり、これはプレキャストと共通する発想と言えます。
つまり、日本のダムに限って言えば、古いダムだからプレキャストが珍しいとは言えないのかもしれません。
(あるいは、西洋のダムを模範としてきた日本のダムが、この時期には日本的な建築工法のミックスを試みるに至ったか)
藤棚の切れ目から湖面と堰堤が望めるスポットがありました。
水は澄んでいて、美味しそうな水に見えました。
庭園は美しく管理され、水源地がしっかりと守られている安心感からそう見えたのかもしれません。
堰堤左岸を望遠で。
例の赤い手摺はやはり洪水吐に架かる管理橋のようです。
ようやく観る事が出来た三永水源地堰堤。
庭園の中の美しいその姿は実に素晴しいものでした。
天端を歩き、高欄を触れて愛でる事は叶いませんでしたが、園内のベンチに触れて充分に満足する事が出来ました。
ああ、来てよかった。
しみじみと感じる心に残るダム見学となりました。
三永水源地堰堤
★★★★
ちなみに毎年春にはこの三永水源地の他に、同呉市水道局の本庄水源地のお花見開放日や、少し足を延ばせば北九州の養福寺堰堤の開放日などがあります。
よい日を選べば貴重な見学困難物件を一度に観て周る事も出来るので、オールドダムのファンの方は要チェックです。
三永・本庄水源地(呉市水道局)
公開期間が決まり次第、毎年予定が水道局HPにアップされています。
本庄水源地 3月末〜4月初旬(?)
三永水源地 4月初旬〜5月(?)
http://www.water-kure.jp/customer/event/kaihou.html
養福寺堰堤(新日本製鐵 八幡製鐵所)
毎年3月末〜4月中程の約2週間のようです、開花状況で変わります。
遠方の方は、3月末頃に開放の予定を問い合わせされる事をお勧め。
http://www.nsc.co.jp/yawata/about/index.html -
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