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周布川ダム

堤高58m
G/P 1961年 中国電力

2012.5.11見学

時代の徒花。


今回のダム巡りは深山溜池堰堤から、島根県西部を周っています。
島根県には、個人的にお気に入りの志津見ダムがあります。

全面越流で、なんと堤高が81mもある志津見ダム。
天端に管理橋や道路が無いこのタイプでは、突然変異とも思える超個性派です。

島根県のダムをいろいろと調べてみると、この志津見のルーツとも思えるダムの存在に気が付きました。それが浜田市にある周布川ダムです。

IMGP0704.JPG

どーん!と、いきなり下流面写真。

自由越流式のクレスト部、管理橋や道路はありません。
この潔い設計の周布川ダム、堤高は堂々たる58mもあるのです!。

IMGP9906.JPG

見事なまでにシンプルなクレスト部。
通常であればラジアルゲートが2〜3門付いていそうな規模ですが、全くの丸坊主。

可動ゲートが無いので、越流部を幅広く確保して、越流水深を浅くしています。
その結果、非越流部との高低差が少なく、堤高(非越流部の高さ)を低く抑えているのだと思います。

IMGP9908.JPG

特徴的なのはクレストだけではなく、下部のジャンプ台も見応え十分。
両岸部分の洗掘を抑える為、ジャンプ台の両端だけ上向きになっています。

シンプルな形状なので写真ではスケール感が湧きませんが、この部分だけでもかなり大きく迫力があります。

IMGP9912.JPG

ダムのすぐ下流に橋が架かっているので、下流面をじっくり観察する事が出来ます。
但し、この橋もダムの天端レベルにあるので、真下の河原まで60mほどあり、かなりの恐怖です。

IMGP9909.JPG

少し堤体に近寄ってみました。
中空重力式を思わせる直線的でシャープな造形です、実際、曲面は越流部分の丸みだけです。
クレストの高欄や手摺もシンプルで素気なく、ダム目的を調べなくても発電専用ダムと察しが付きます。

IMGP9900.JPG

周布川ダムの図面です。
確かに勾配が通常よりも急な印象です。

越流部も薄く、通常のダムと比べ尖がっている様です。

IMGP9894.JPG

越流部を望遠で。
人が降りれるように梯子が付いています・・・。
越流部の上にも、安全帯が掛けれるように金具が並んでいますが・・・。

これ、絶対怖いと思います。

IMGP9898.JPG

堤体の上流面は完全なる絶壁。
堤体には一切装飾が無く、極限までストイックなコンクリートの塊です。

IMGP9904.JPG

このシャープな印象は、やはりHG的、大森川ダムや穴内川ダムにも通じます。

対岸にはダム施設はもちろん、道路も何もありません。
それにより管理橋を省略した簡素な設計を実行できたのだと思います。
(対岸には堤体内の監査廊を通って行く事が出来ます)

IMGP9902.JPG

高度成長真っ盛りの1960年代、コンクリートダムは情緒的な一切の装飾を省き、絶対的な機能主義に向かって行きます。

広い越流部を持った自然越流のクレストゲート。
管理橋さえ省略したストイックな設計思想。
周布川ダムの独自のルックスは、そんな時代が産んだデザインと言えるのではないでしょうか。

あまりに禁欲的なコンクリートの壁は、結果、時代の徒花であったかもしれません。しかし、時代は巡り再び低コストが求められる時代がやって来ました。

周布川ダムの思想は50年の歳月を経て、新鋭の志津見ダムで大きな花を咲かせています。

IMGP9916.JPG

時代の徒花、半世紀を経て実る。

周布川ダム
★★★


| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム島根県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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