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鮎返ダム

堤高24m
G/W(A?) 1949年 別府市水道局

2011.11.4見学

進駐軍の水源地。


別府市水道局は、乙原ダムの他にもう1基ダムを管理しています。
乙原ダムより南に500m、朝見浄水場のすぐ裏山にある鮎返ダムです。

乙原ダムの見学に朝見浄水場を訪問した朝、約束の時間まで30分ほどあったので、先に鮎返ダムを観に行ってみました。

浄水場の前を通過、薄暗く狭い林道を登って行きます(どうか対向車来ないで)

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立木の隙間から別府の街が見えました。
後で発見したのですが、街の方からも鮎返ダムの天端を観る事が出来ます。

IMGP1507.JPG

木々の隙間から白い高欄が覗いています。
鮎返ダムです。

自由越流式のクレストゲート、高欄や取水塔は白く塗られています(表面保護剤?)

水道水源とあって、乙原ダムと同じで完全に立入禁止、貯水池の周囲もフェンスで完全に囲われて外部から侵入する事は出来ません。

おまけに立木に阻まれ、眺望が全く良くありません。
他にダムが見れそうなポイントもなく、このまま山を降りました。

IMGP1511.JPG

以上で鮎返ダムの見学は終える予定でしたが、朝見浄水場の方に乙原ダムを見せて頂いた後、「遠くからはるばる来られたのですから、鮎返ダムも観て行かれますか?」と、大変嬉しいお誘いがありました。

これを断る理由なんて何処にもありません。
乙原ダムから、そのまま直行で鮎返ダムを案内して頂きました。

水道局の軽バンにゆられて、先程の対岸となる左岸に到着です。
ここに来るまで幾つもの施錠ゲートを通過して来ました、大切な水源は幾重にも厳重に施錠され安全が保たれています。

堤高24m、堤頂長97.2m
直線的でスッキリとした外観から新しいダムかと思えば、終戦間もない1946年に着工、1949年の竣工と言う、66年もの歴史を持つ思いのほか古いダムでした。

IMGP1597.JPG

シンプルなクレストゲート。
ピアの色が一つ飛びで濃淡があるように見えます。
埼玉の間瀬湖堰堤のように、ビアが前後にオフセットしているのかと思ったのですが、どうもそうではないみたいです。(うーん、なんでだろう・・・)

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終戦直後のダムとしては、とても表面が綺麗です。
それもそのはずで、堤体の表面は、コンクリートをはつり、化粧直しが施されています。

実はこの鮎返ダムは、現在は別府市水道局が管理運用をしていますが、他のダムとは違う生立ちを持っています。

終戦直後、進駐軍の別府キャンプへ給水する事を目的とし、連合軍の命令を受け、日本政府が建設したダム、それがこの鮎返ダムなのです。

終戦直後の粗悪な材料であった事から、堤体表面の劣化が著しく、今世紀に入って劣化部分の除去と、下流面30cm、上流面50cmの打増しコンクリートによる補修、補強工事が施され、現在の姿になりました。

IMGP1602.JPG

このダムが造られた鮎返川は、元々乙原ダムと並ぶ市の水道水源であった為、皮肉にも別府市は鮎返ダムによって市民の水源を奪われる事となります。

進駐軍が撤退し、管轄であった日本政府よりダム及び関連施設が別府市に譲渡されるまで、市民は不便な水道状況におかれる事となりました。

そんな過去を持つ鮎返ダムですが、現在は平和そのものといった風情で、水は音も無くダムを越え流れています。

IMGP1599.JPG

堤体を左岸から。

スリットの空いた高欄や、角ばった取水塔は、表面をペイントされていますが、形状は終戦直後のオリジナルが保たれている様に見えました。

IMGP1617.JPG

鍵を開けて頂き、天端にも入らせて頂く事が出来ました。
幅の狭い天端は、たしかにオールドダムの造りを感じさせます。

IMGP1619.JPG

天端からは別府の街や、別府湾がよく見えました。
天気が良ければ対岸の愛媛もよく見えるそうです。

IMGP1622.JPG

四角い形をした貯水池。
インレットは護岸され人工的な雰囲気です。

給水人口25.000人から始まった別府市水道局朝見浄水場ですが、幾度の拡張工事により現在は別府市の75%へ給水をしています。
水源の安定化を図る為、別府市水道局は大分県企業局との共同事業により、昭和44年、およそ20km離れた大分川からの取水を開始します。

大分川から取水した水は、朝見浄水場のすぐ裏にある県営別府発電所で発電に使われた後、朝見浄水場で処理され市内へ給水されています。
(発電所の写真を間違えて消去してしまった、ぼけあつだむ)

現在、朝見浄水場では、ほとんどの水をこの大分川からの取水でまかなっており、鮎返ダムの水は、大雨により大分川が濁り取水できない時や、別府発電所が点検などで停止する時のバックアップ水源の役目を担っています。

発電所停止時には、このインレット上流にある導水路の放流ゲートが開放され、発電所へ向かう水は、直接鮎返ダムに流入する仕組みとなっています。

IMGP1616.JPG

インレット付近から貯水池を見ます。
水は澄んでいて綺麗な貯水池だと思いました。

ご案内下さった朝見浄水場の方は、朝見浄水場の特徴や、優れた点をいくつも説明して下さったのですが、浄水システムの基礎知識からまるでなく、ちゃんと理解できず大変失礼をしてしまいました。
ともかく、朝見浄水場の水は、水質が良く、他の浄水場よりもより自然の水に近い形で、安全安心な水を作り、供給されていると言う事を知りました。

(オールドダムが好きなら、水道についての知識が必須のようです、これは今後の課題ですね)

IMGP1609.JPG

上流からクレストゲートの中を観ると、なみなみと湛える満水位の向こうに別府の市街地が見えました。
進駐軍の基地の為に生まれ、紆余曲折を経て、今はバックアップ水源として別府の街を見守る鮎返ダム。

水道は蛇口をひねれば、いつでもどれだけでも水が使えるのは、実はとても凄い事なんだと再認識した鮎返ダム見学でした。

IMGP1612.JPG

鮎返ダム
★★★

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