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佐古ダム

堤高31m
G/A 2001年 農水省

2011.10.10見学

柔らかなコンクリート。


パワードコンクリート・志河川ダムの次は、国道11を西に向かい、佐古ダムに来ました。
堤高31mに対して、堤頂長は210mもあり、かなり横広の堤体です。
集落の外れにあり、長い堤体を横たえていました。



減勢工の下流に架かる橋の上から。
気持ち下流面の傾斜が緩く見えるのは、おっとりとした表情の為でしょうか?。
自然越流式の薄いクレストゲートが5門。



導流壁が曲線を描き、かなり個性的なデザインとなっています。
でも、個性的なのは導流壁だけではなくて・・・。



導流壁から続く減勢工の形が面白い。
教会の鐘のような形をしていて、漏斗の様に水を集める形状になっているのです。

(写真は近すぎて全容が写っていません、副ダム下流から下流の用水路への部分です)



とても変わったデザインの佐古ダム。
曲線を多用した導流壁は、滑らかに減勢工へと連続しています。

何処となく、淡路島の成相ダムや、比奈知ダムのニュアンスが・・・。



いやいや、ニュアンスだけじゃなくて、この角の丸いフーチングは、成相ダムやお隣の北富士ダム、そしてやはり比奈知と共通のディテールです。

これらのダムは、何処かで何らかの関連があるのかもしれません。



ダム下の放流設備の屋根も比奈知に似てる?と、思うのは少々こじ付け過ぎ?。
水の使用目的に合わせ、5錠の放流バルブを持っています。



堤体のディテールも個性的ですが、負けず劣らないのが越流面の色です。
最近、濁流が流れたのかな?と思ったのですが減勢工の中は堆積物もなくキレイ。

なぜこんな茶褐色に?他では見ない色のストライプ。


東の山から太陽が昇ってきました。



ダム直下は減勢工の脇まで畑なっています。
うーん、個性的すぎる。



右岸の道を登って来ました。
対岸の左岸に管理所、見学者の駐車場は右岸にあります。

すっきりとした快晴の秋空。
湖面が鏡のようです。

志河川ダムと同じでクレストゲートぎりぎりまでめいっぱい満水の湖面。
佐古ダムは志河川と同じく、農業に使う灌漑用水専用のダムです。
一般的に冬は農閑期ですが、道後平野では冬季の裏作が行なわれており、まさにその水瓶がこの佐古ダムなのです。

このめいっぱいの貯水量を観て、下流面の茶褐色のストライプの謎が少し解けました。かなりの頻度で、常に水が流れている事が多いのだと推測。



湖面に眩く網端が映えます。

天高く、網端燃ゆる秋。



湖面に映る山並みが綺麗ですね。
佐古ダムは、志河川ダムと同じ事業で整備された、いわば兄弟ダムです。

但し、その生立ちは少し変わっています。
かつてこの場所には佐古谷池という土堰堤がありました。1845年完成という150年前の古い堰堤で、堤高15m、堤頂長90mと、当時としは立派なアースダムでした。

平成元年度からの道前道後平野農業利水事業の中で、新しくコンクリートダムとして再開発したのがこの佐古ダムです。



天端を散策します。
個性的な堤体のデザインと比べ、オーソドックスでシンプルな天端です。



日差しが心地よい秋の朝。
小鳥もやってきました。



天端から観ると減勢工の全容が良く見えました。
ね、変わってるでしょ?。

下調べの時に、衛星写真でこの形を見つけた時は、
「なんじゃこれ?」と、思わず口から出ていました。



真正面から観ます。
きゅーっと、すぼまった部分の両岸は、ぎりぎりまで畑と水田になっています。
水田では米の収穫の真最中。



写真を撮っていたら、散歩のおじさんがやってきました。

「雨が降ると、ここから水が流れ出る。そりゃあキレイなもんだ。」

おじさんは、ちょっとぶっきらぼうな言い方をして、またすたすたと去って行きました。たぶん、写真を撮るなら雨上がりがチャンスだと、言いたかったのだと思います。

それに、おじさんの口調は何処か得意げでした。
ダムの越流が美しい物として、おじさんの目には映っているのです。

この佐古ダムが、地元の方に親しまれている事が分かり、嬉しくなりました。



天端を渡った左岸にある管理所。
屋根の形が面白すぎます。

個人的には雪が積もる心配がいらない土地柄が羨ましい。



再び、下流面と減勢工。

その形も変わってますが、申し訳程度の副ダムと、極端に低い導流壁も独特です。
下流の送水路も狭く、それは、クレストからの放流量が最大でも多くないと言う事です。

そうであれば、クレスト5門の幅広の越流部は、本来の能力には必要なく、もっとコンパクトな設計もできたはずです。
つまり、この下流面の形状は、外観デザインを重視して設計されたのではと感じるのです。



ここまで推測して、頭の中で点と点が一本の線で結ばれました。

下の写真は、さっき観て来た志河川ダム。
同じ利水事業で建設された兄弟ダムです。

以前、神戸の布引五本松ダムのレポートで、五本松ダムと、お隣の立ヶ畑ダムのデザインは、雄ダム、雌ダムの関連性を持った、夫婦(めおと)ダムなのでは?と推論をしました。

そうです、男らしいダイナミックな志河川ダム。
曲線を多用し、しとやかな表情の佐古ダム。

この2基は兄弟ダムではなくて、実は意図的にデザインされた、夫婦ダムなのではないでしょうか!?。



右岸の少し離れた位置からの佐古ダム全景。
柔らかな印象のダム本体と、そこから滑らかに広がる減勢工。

佐古ダムは、150年も前に築堤されたアースダムからリニューアルしたコンクリートダムです。
アースダムの大らかな情景を、冷たい表情のコンクリートで壊す事の無いように、柔らかく優しいデザインを必要としたとも思えます。

雄ダムの志河川ダムと、雌ダムの佐古ダム。
訪問時は是非セットで見比べて欲しい夫婦ダムでした。



佐古ダム
★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム愛媛県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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