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淡海池

堤高26m
E/A 1923年 淡海土地改良区

2011.09.10見学

神秘の湖面。


いつもダムを巡る時は、予めカーナビに地点登録をして向かいます。
その日に訪問する予定の物件の他にも、今後、行ってみたいダムも登録しているので、常に100基くらいのターゲットが登録されていています。
それらのターゲットは登録順に自動で番号が付けられるのですが、見学済の物件の登録を消すと、番号は順番に繰り上がる為、登録した日が古く、かつ、未だ未踏のダムほど若い番号になって行きます。

ここ2年ほど、ずっと登録番号 1. となっていたダムがあります。それが滋賀県高浜市にある淡海池です。
2011年の早春に行くチャンスがあったのですが、現地までの林道が雪に閉ざされ行く事ができませんでした。それから半年後、この日リベンジとなりました。

さて、目指す淡海池ですが、ダムまでの道程が少し変わっています。
琵琶湖のほとりから山の上へ上へと車で登ります。山の尾根を走るとても気持ちのいい峠です。
眼下に湖北の湖面、ずいぶんと高い所にやってきました。



琵琶湖から一気に400m駆け上った山腹にキャンプ場があります。
家族旅行村ビラデスト今津です。

淡海池へは、このキャンプ場の敷地を通過した先にあり、上流からのアプローチとなります。



ビラデスト今津の入口で入村料(たしか300円くらいだった)を支払い、通行証をフロントに貼りつけます。入村料は、環境や道路の管理費なので、キャンプ施設を使わなくても支払いが必要。

淡海池に向かう時は、この料金所でダムまでの道路状況を聞いてみると良いと思います。
半年前に来た時は、キャンプ場から淡海池までの除雪が間に合っていなくて、行く事ができないと言う事で料金を払う前にUターンさせて頂きました。



キャンプ場の端に雰囲気のある湿地帯の池があり、そこを左折して峠道を少し下って行きます。



坂の途中で鳥居が現れます。
その向こうに湖面が見えました、淡海池です。



鳥居の中からの湖面、思ったよりも大きな池で、島まで浮かんでいます。

島には弁財天が祀られているそうで、鳥居から水面を参道が伸びているのかも。
午後の日差しが輝き、そう思わせるには充分な、神秘的な情景。



鳥居から少し移動すると湖畔に取水塔が見えます。

六角形のアジアンちっくな外観、とても古そうです。(昔のジャッキーチェンの映画に出てきそう、酔拳とか・・・)

淡海池は1913年着工、10年を経て1923年に完成。
当時から使われている土木遺産級の取水塔です。



取水塔が見えた後、再び車で移動します。
地形が複雑で、また湖面が見えなくなりました。

そして、唐突にこんな物が姿を現しました。

な、なんだこれは!。



いきなりの登場でかなりのインパクト。これは、淡海池の洪水吐だそうです。
切り立ったコンクリートの壁、高さは10mくらいでしょうか?。

淡海池は、アースダムのダム本体と、洪水吐が少し離れて別の場所にある様です。
ダムの規模や形式はまるで違いますが、小河内ダムをイメージして下さい。



洪水吐の前を過ぎて、ダム本体を探します。

そのまま道を下ればダムの下流面に行けると思っていたのですが、道は大きくカーブしつつもどんどん貯水池から遠ざかってしまいました。

すいぶんと複雑な地形の様で、切り立った険しい岩盤に出くわしたりします。
ロケーションとしてはアーチダムのダムサイトを彷彿させますが、淡海池はアースダムです。
こんな岩だらけの土地なのに、堤体の材料はどこから採取したのでしょうか?。

そして、ダム本体は何処?。

散策すればするほど、いろいろな疑問が湧いてくる謎多きダムです。



結局、ダム本体を見つける事が出来ませんでした。

方角的にあの辺りにあるはず・・・と、いう目星は付くのですが、そこへ行けそうな歩道もありません。

こういう時は、とにかく人工物の周囲をアタックしてみる事です。
先程のコンクリートの洪水吐の近くを探してみると、獣道のように草が踏まれた場所がありました。

車道と並走して流れている沢を渡り、獣道へ入ります。



落ちていた鹿の骨にビビりつつも、洪水吐の横まで来ました。
道は獣道ではなくて、ちゃんとした管理歩道だったみたいです。



つずら折れの歩道を息を切らして登ると、そのまま洪水吐の真上に出ました。
洪水吐の上部は広く、平坦になっています。



そして、洪水吐の上から振り返ると、素晴らしい風景が目前に広がっていました。

水面の鏡には秋の空。
全く予想していなかった美しい湖面の情景にただ呆然とするばかり。

地形が複雑で、洪水吐の上まで上がらないとこの光景を見る事はできません。



ダム巡りをするようになってからカメラを始めたので、風景写真のスキルがまるでありません・・・。
折角の素晴らしい景色なのに、完全に持て余しています。



しばらく風景の写真を撮ったのですが、その美しさを表現できたカットは撮れませんでした。

あきらめて、洪水吐の斜面を見下ろします。

コンクリートの表面は微妙に凸凹やうねりがあり、型枠成形ではなくて、岩盤にコンクリートを吹き付けた物の様に見えます。



洪水吐の貯水池側も同じように岩盤に吹き付けコンクリートに見えました。
波に洗われるのか、だいぶ痛んでいます。(近づきすぎない様に注意)

不可解なのは、地形図で観ると、元々の谷川はこの洪水吐の所を流れていた様に思える事です。

副堤体として築堤して表面をコンクリートで覆った事も考えられますが、それにしては壁面の傾斜が急すぎます。



この淡海池で有名な物に、固有種 タンカイザリガニがあります。

当時の農水省によってザリガニがアメリカより輸入されました。
1926年、完成間もない淡海池に30匹のザリガニが放流され、この貯水池に定着した固体はタンカイザリガニと名前が付けられました。

この日、ザリガニは見る事はありませんでしたが、洪水吐の近くにはやたらとイモリが見られました。



洪水吐の上から、右手の林を隔てた先を観ると、水面の上に石貼で保護された土手が見えました。
ダム本体に間違いありません。



洪水吐から林の中に歩道が付いていました。
何箇所か路肩が崩落しているので注意して進みます。

どうも、これがダム本体への唯一の道の様です。

洪水吐からダム本体まで、岸の地形は天然の堰堤のようになっています。
元々の地形を上手く利用して淡海池は造られた様に感じました。



林を抜けるとダム本体の右岸に到着しました。
とても整った形をした立派なアースダムです。



堤頂部を歩いて左岸に来ました。

大正時代に築堤された灌漑用のアースダムは、国や県の補助もなく、地元住民の手によって建設されました。
これにより、下流の集落を干ばつから救い、安定した生活を送る為の原動力となりました。

ダム目的こそ、「A」ですが、人々が生きる為に築かれたこのダムは、「F」のように人の命や財産を守るためのダムと言えるでしょう。



琵琶湖を見下ろす山の上、起伏に富んだ地形に囲まれて静かに湖水を湛える姿は、とても神秘的で魅力溢れるダムでした。

周辺の森は自然のままの落葉樹が中心でしたので、道が雪で閉ざされる冬を除き、四季を通じて美しい姿を魅せてくれるはずです。



淡海池
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム滋賀県 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2012/02/14 7:15 AM posted by: おざ
良い物を拝見しました。
堤体もバキも丁寧でしっかり管理されている感が伝わってきますね。
イモリの幼体もかわいらしいですね!
2012/02/14 12:29 PM posted by: あつだむ宣言!
おざさん、こんにちは。

近くにメジャーなダムが無いので、行くとなると、わざわざ行く事になりますが、琵琶湖の景色はいいし、山道は楽しいし、ドライブを兼ねて行くのをお勧めします。
キャンプ場は宿泊しなくても遊べそうなので、家族レジャーにも良いかも。

イモリ、写真の具合で小さく見えちゃってますが、大人のイモリがうじゃうじゃ。
子供の頃は、コンビニ袋がはち切れるくらい獲ったけど(笑)、今となっては独特の匂いがダメですね。
2012/02/14 7:46 PM posted by: Joe.
映り込みが素晴らしい池ですね!
露出アンダー気味で、ND400フィルターを使って長時間露光するとかなり良さそうです。

僕は基本的にコンクリートダムが好きなのですが、灌漑用のアースダムや便覧に載ってないような溜池は時々すごく味のある景観の場所があって、「やっぱり行ってみないと分からないな〜!」と違う意味で感動してしまいます(^^)
2012/02/15 12:32 PM posted by: あつだむ宣言!
Joeさん、こんにちは。

ND400って流して撮るだけではないんですね。今度は試してみます、三脚持って行かなくては。

僕もコンクリート派ですが、ダムって本当に行ってみないと判りませんね。淡海池は地形の使い方が面白いのですが、写真と文章では上手く伝えきれていません・・・。
2017/06/16 12:04 AM posted by: 大谷
こちらの記事を拝読してから現地を訪ねたおかげで、美しいダム湖を眼前に見ることができました!ありがとうございました(^-^)
いろんなダムを巡っておりますが、淡海池は中でも強く思い出に残るダムでした。高いところから見る琵琶湖の景色も素晴らしかったです。
2017/06/19 3:07 PM posted by: あつだむ宣言!
大谷さま
コメント頂きありがとうございます。
淡海池は場所も特徴的ですし、静かな湖面は神秘的ですよね。
記事が参考になって私も嬉しいです。
ありがとうございます。
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