無料ブログ作成サービス JUGEM
←prev entry Top next entry→
勝沼堰堤

堤高19.4m
砂防堰堤 1917年 山梨県

2011.7.17見学

天然と人工のハイブリット。


大野ダムからの帰り道、以前から気になっていた砂防堰堤に立ち寄ってみました。

1915年着工、1917年に完成した勝沼堰堤は、1997年に登録有形文化財に登録された由緒ある砂防堰堤です。

堰堤の周辺は、文化財指定を契機に綺麗に整備されています。
駐車場の上から観た勝沼堰堤の全景、一目観ただけでは、どの様な堰堤なのか解りません。



案内看板にあった平面図です。

図面上が上流、勝沼堰堤は、川が「くの字」に蛇行した場所に造られました。

蛇行点を石積堰堤で締切り、左岸の岩盤を掘削して水通しを造り、河道を変更して川の流れをスムーズに改良しています。
堰堤は上流に本堤、下流に副堤の2基から成り、その間は盛土で埋立てられています。




下流側から観る勝沼堰堤(副堤)です。

空積の堰堤表面。
石の形状や大きさはまちまちですが、きっちりと目地が詰まっていてとても滑らかです。最近の改修によるものかと思ったのですが、どうも大正時代の当初からの石積の様です。

完成の6年後に、直下の発電所建設に伴う残土処理や、堰堤上が葡萄畑に転用される(!)等で、堤体は平成の発掘調査まで長らく埋まっていた時期があり、それにより当時の石積が地中に保存される事になった様です。

この副堤の基礎部と、上流の本堤基礎部にはコンクリートが使用されており、当時としては画期的な構造であったそうです。



副堤と本堤の間の埋立部です。
表面は石貼ですが、内部は盛土となっています。

埋立部の上に木道が敷かれていて、堰堤上を散策できる様になっています。
この道の向こうに本堤があります。



本堤を右岸から、写真左が上流です。
本堤も副堤と同じで空積ですが、モリモリとした目地止めが施されています。

堤高19.4mと、かなり高い堰堤のはずですが、土砂が堆積していて、高さは感じられません。
堤頂部に積まれている2列の石の山は、最近追加された物の様です。



本堤の上を左岸方向に進むと、祇園滝と命名されている水通しを観る事が出来ます。
ざあざあと勢いよく水が砕ける音が聞こえてきます。



そこから正面に見えるのは、中央道自動車です。
場所さえ覚えれば、登り線を走りながらチラッとだけ観る事もできます。



堰堤から上流はわんさと川の中まで木々が茂っています。
右岸の国道との間には、堰堤のすぐ横まで葡萄畑が広がっています。



祇園滝(水通し)は真近で観れるように歩道が造られています。

白く輝く水のカーテン、辺りは水の粒子が舞い上がり、清涼感に溢れていました。
とても立派な滝なので、こちらが勝沼堰堤の本体と間違えられる事も多いそうです。



一見すると天然の滝としか思えない姿ですが、岩盤表面を観察すると人為的に削られて造られた滝である事が解ります。



水通しの上部を観ると、人工の構造物である事がはっきりと解ります。
頂上は石貼で補強が施されています。



もっと面白いのは、削られた岩盤の途中から、湧き出る様に水が出ている所です。

これは漏水している訳ではなく、岩盤の途中に通水穴を設け、上から落ちてくる水に穴からの水をぶつける事で減勢を狙ったものだそうです。



2基の石積堰堤と埋立部から成る特徴ある本体。天然の岩盤を掘削して造られた水通し。

100年近く前に建設された古い砂防堰堤ですが、自然の地形と人工の建造物を上手い具合に折り合いをつけた、画期的な構造だと思います。

中央道、勝沼ICからほんの2〜3分とアクセスも良いので、ぶらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか?



勝沼堰堤
★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム山梨県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
name:
email:
url:
comments:
Trackback
http://side-way.jugem.jp/trackback/775