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千屋ダム

堤高97.5m
G/FNWIP 1998年 岡山県営

2011.4.16見学


全国47都道府県で最もダムが多いのは?
答えは190基を誇る北海道ですが、面積の広大さを鑑みると、2位(169基)の岡山県が実質的には日本一のダム王国だとも思えます。(大半がアースですが)

今までこのブログでは500基以上のダムをレポートして来ましたが、その内、岡山県はわずか5基。
これじゃああんまりだ、と、言う事で、4月のとある土曜日に岡山へ向かいました。
いつものように日帰りですが、今日は周れるだけ巡ってみようと思います。
最初に訪れたのは中国道新見ICから10キロ程の所にある、県営の千屋ダムです。

堤高は100mの大台にわずかに届かない97.5m。
でも、集落の外れにそびえ立つ巨大ダムは、実際の数値以上の迫力があります。



左岸の道を登ってダムサイトへ。

1998年竣工と比較的新しい千屋ダム。
南東に向いている事が良いのかコンクリートにもまだ若々しさが感じられます。



両脇を自由越流式の洪水吐で固め、クレストセンターにはローラーゲート4門、さらに2門のオリフィスを配備。

ごちゃつきそうな部分は、シャープな導流壁の造形でスッキリ魅せています。



左岸には管理所。
駐車場から近い一部分は展示施設となっています。

小さな建物に見えますが、奥行きがあって実はかなり大きな建物です。



お洒落でしょ。
こじゃれたレストランみたいな感じ。

この辺りから只者でない感がヒシヒシと・・・。



展示内容はダムの目的や設備の紹介など、一般的なものなのですが見せ方が凄い。

ダムの模型が電動で真っ二つに割れ、片方がズズズと地下に埋没して放流設備の断面を見せてくれます。

うわー、秘密基地だっ!

カッコ良すぎて、社会見学に来た小学男子には、逆にダムの事は頭に入らないかも
ギミックが力作すぎる悲劇。



左岸には駐車場の他に石碑など。
このモダンな建物は巡視艇の格納庫です。



自由越流式の非常用洪水吐は、左岸側4門、右岸側7門の計11門。

何故こんなに沢山ずらっと並べるかと言うと、沢山あった方が越流部分の長さを沢山確保できるからです。
必要な放流量を確保したいのなら、大きな開口部の洪水吐をドカンと開ければよいとも思えますが、越流部の長さを長くすればするほど、同じ放流量でも越流部分の水の厚みを薄くできる。

つまり、洪水吐の開口部の天地を薄くする事が可能となり、それは最終的にはダムの堤高を低く抑え、省コンクリート、省コストに繋がると言う訳なのです。

うーん、なるほど。



千屋ダムの目的は洪水調節の他に、河川維持、水道、工業用水それに発電と多岐にわたります。

洪水吐の中から下流の集落が見えました。
なんとなく、象徴的な風景。



天端を歩きます。
90年代に竣工したダムらしい、装飾的な天端です。



クレスト中心にそびえ立つゲートピアです。

クレストゲート4門、オリフィス2門、それに堤体下部にあるコンジット用のコースターゲート。合計7門のゲートが行儀よく効率的に1列に並んでいます。



千屋ダムの名所となっているのは、2箇所にある赤い屋根付き展望スペース。
ダム設備としての役目はなく、純粋な展望台です。
他にもクレスト中心部に屋根なし展望テラスが用意されています。

壁には清流を泳ぐ渓流魚のレリーフ。
魚や水鳥などのモチーフでダムを飾るデザインは、今までどちらかと言えば否定的だったのですが、千屋ダムのレリーフは出来も良く、なかなか良いなと思わせます。(原画を展示施設で見る事も出来ます)

動植物のモチーフはダムのハード的な面では関係がありませんが、防災や河川維持を目的とするダムとして、実はとっても強い繋がりがあります。

「ダムは環境破壊じゃないよ」
「環境を守る為に、ダムを作ったんだよ」

と、言う事を訪れた方々にイメージして頂けるよう、こういった装飾は有効かもしれません。

渓流を泳ぐ魚のモチーフを通じて、コンクリートダムと、環境と、人とを結びつける事が出来るのかも。
今回、千屋ダムを訪れて、ダムの装飾に対する考えを改めました。



天端から下流を見ます。
減勢池に突き出しているのはコンジットゲートの建屋です。



歩いて右岸まで来ました。
端正な出で立ちの千屋ダムです。



赤いトンガリ屋根の展望台、中心にある展望テラス、手前の四角い建物はエレベータ棟です。
この3箇所の台座部分だけ、型押しコンクリートで石積風に仕立ててあります。
また、さらによく見ると、これらの建物の外壁には水平方向にラインが刻まれ、他の部分とは違った印象になっています。

その背後にあるゲートピアは、必要な大きさを確保した上で、壁を極力薄く、下部を絞るなどの形状で重い印象にならないような配慮が伺えます。



クレストに施されたこれらのデザインの意図は、ダムを下から見上げた時に解りました。

沢山の放流設備が並び、一見すると物々しい雰囲気になりそうなクレスト部ですが、自然と視線が赤いトンガリ屋根に集まって、背後の大きなゲートピアの存在を和らげています。

千屋ダムは集落の端にあり、沢山の家々から見える場所に建設されています。
災害から守る為の大切な施設ですが、すぐ下に住んでおられる方々にとって毎日その姿を見るのは、玄関先に常に非常持出袋を置いているような、軽い緊張感を持たれるかもしれません。

千屋ダムの特徴的なクレストのデザインは、非常用洪水吐の存在を軽減し、優しい表情にする為の配慮ではないかと感じました。
(※ あくまであつだむ宣言!の個人的な推測です。オフィシャルなものではありません)



優しいコンクリートダム。

千屋ダム
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム岡山県 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2011/05/16 7:48 PM posted by: cantam
こんにちは、ご無沙汰しています。
志津見に続いて、またまた日帰りということで、遠路ご苦労様です。

千屋ダムの分りやすい解説ありがとうございます、どこかで使わせていただくかもです。
ここは、ダム巡りを初めて最初の頃だったこともあり、下流からR180を北上していった時、出現の仕方だけで感動したダムでした。

次は河本でしょうか、高梁川を下って新成羽川まで、楽しみにさせていただきます (^^)
2011/05/16 10:58 PM posted by: あつだむ宣言!
cantamさん
こんばんは、ご無沙汰です。

今回のダム巡りではcantamさんのブログを沢山参考にさせて頂きました。

片道500kmなら充分日帰り圏内です。
それ以上でも帰ってこれますが、効率が良くないのでお泊りコースを考えます。

予想通り、次は河本ですよ〜。
お楽しみに。
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