無料ブログ作成サービス JUGEM
←prev entry Top next entry→
新滝の池

堤高26m
G/A 1995年 大阪府営

2011.3.26見学


阪和自動車道 泉佐野JCTのすぐ近く、「新滝の池」はあります。
重力式ダムなのにアースダムを思わせるダム名も印象的ですが、何よりこの新滝の池には他のダムにはない特徴があります。

阪和道の高架を潜ってすぐに駐車場。
都市近郊とあって不法投棄対策の為か、ここから先は自動車では行けません。
後は徒歩ですが、目指す新滝の池はもう目の前です。



そう、新滝の池は「赤い堤体のダム」として、マニアの中では有名な物件なのです。(誰だっ? ○〇○専用とか言ってる人は! 笑)

先に訪れているマニアの方々の写真よりも木々が成長していますね。
自慢の赤い堤体も隠れ気味となっていました。



天端は自由に散策できます。

大きくカーブしたアーチ状の天端。
重力式コンクリートダムなので、曲線重力式の堤体となります。

色が赤い事だけじゃなくて、実は特長いっぱいの新滝の池。



面白いのは、フィルダムのような洪水吐が採用されている事です。

100年前の黎明期のコンクリートダムならスタンダードな仕様ですが、最近のコンクリートダムでは例が無いのではないでしょうか?。



洪水吐から下流に細く長いスロープが伸びています。
その先に見えるのは阪和自動車道、車の騒音が聞こえる距離です。



吐の上から下流面を見ます・・・?

そこに有るはずのコンクリートの下流面がありません。
下草の生えた土の斜面。
おまけに沢山の木々が植林されています。

な、な、なんじゃこりゃ!。

このダム、アースダムじゃないのかっ???????????・・・。
頭の中は、ムーミンの「にょろにょろ」のように疑問符が行進中。



天端を歩いて左岸に来ましたが、やっぱりアースダムに見えます。

うーむ。

天端をあっち行ったり、こっち行ったり、何度も往復してこのダムが一体何者なのか考えます。
頭の中はフル回転、ハムスターエンジン全開、滑車高速回転中・・・。



茂った下流面の木々の下。

土堰堤のようになっている一番下にはコンクリート製らしき段差があり、「土の流れ止め」のような構造を思わせます。

植林された土堰堤はフェイクで、その内部にはしっかりとコンクリートの堤体が隠されている様です。

冷静に考えれば、アースダムの上にコンクリートの天端を乗っけるような野暮な構造はあり得ないのですが、とにかく初めて見る不可思議な下流面に面食らってしまいました。



なんとなく落ち着いた所で左岸から堤体を眺めます。
湖畔にはベンチも置かれています。

よく見ると、赤色の部分は型押しコンクリートで、石積風の仕上げとなっていました。
水面とのコントラストも美しく、目が慣れると逆に通常の無機質な打ちっぱなしコンクリートが妙に味気ないものに思えて来ました・・・。

ぼやっと頭の中に思い浮かんだのは、赤レンガの装飾が美しい、山口の廃ダム・桂ヶ谷堰堤でした。

赤い色ばかりが有名な新滝の池ですが、実はとんでもなくデザインコンシャスなダムだった事に、この時、はたと気が付きました。



下流面を覆う土の地面、そこに植え込まれた樹木。
これは決して残土を処理したとかではなく、景観に配慮した「デザイン」そのものだったのです。

それが分かると、この不思議なダムへの疑問がスルスルと解けて行きます。
下流面に樹木を植える為に、堤体は非越流式となり、洪水吐もフィルダムのようなタイプと言う事か。
なんという拘り!。

また、赤い堤体は、植込まれた植物の緑色と補色の関係にあり、堤体は植物を、植物は堤体を引き立てる効果があります。

この新滝の池ように、人工の素材であるコンクリートと、自然の植物とが、完全に共存したデザインのコンクリートダムは他では見たことがありません。
「新滝の池」という、ダムと言う言葉の付かない名称からも、強い拘りを感じる事が出来ます。

もしも、日本中のコンクリートダムがこんなデザインを採用していたら、ひょっとして何かが変わるかもしれない。
そんな事を思わせる、素晴らしいデザインのダムだと感じました。



新滝の池
★★★

ちなみに、この新滝の池、赤い色が示す通り、設計は泉南農業公園調整池ダムと同じ共生機構株式会社さんなのだそうです。
つくづく面白い会社だなと思いました。

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム大阪府 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
name:
email:
url:
comments:
Trackback
トラックバック機能は終了しました。