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温井ダム

堤高156m
A/FNWP 2001年 国交省

2010.11.7見学

ファイナルアンサー。


堤高156m、堤頂長382m、堤体積81万㎥。
温井ダムは国交省直轄の大型のアーチダムです。

上流にある王泊ダムから向かったのでダム正面からファーストコンタクト。
ダムサイトの上流にある公園から、グラマーなアーチが見えました。



もう少し近づいて、ダム本体右岸のパーキングから眺めます。

温井ダムは洪水調節や水道等を目的とする多目的ダムとして、2001年に完成しました。
この年は、同じく堤高156mの宮ケ瀬ダムと浦山ダムも竣工しています。
僕がダムに憑りつかれるのはその後何年も後の事なので、当時の事は知る由もありませんが、2001年は日本ダム史におけるビンテージイヤーであった事は間違いないですね。



直轄ダムである温井ダムは展望スペースが豊富に用意され、さまざまなアングルから存分に堤体を鑑賞する事ができます。
真っ白な下流面はドーム型アーチの証。

最初そのスケールに圧倒されますが、落ち着いてよく見ると上部に飛び出しの無い非常にすっきりとしたデザインに気か付きます。
通常天端に見られるエレベータシャフトや、洪水吐ゲートの建物などの突起物が一切無く、アーチの伸びやかさを強調しています。



天端は幅広く、車道になっています。
平日は車で往来が出来ますが、土日は一般車両通行禁止で歩行者天国(ダムマニア天国?)となっています。

この日も沢山の家族連れや、デート中のカップルが訪れていました。



天端で面白いのがダム中央のクレストゲート部分です。
ゲートの巻揚機は低くクレスト部分に埋め込まれ、温室のように透明のパネルになっています。



ゲートの扉体はどこにあるかと言うと、アーチの上流面にぺたーっと貼り付いていました。
コースターゲートみたいですが、紛れもなくクレストの非常用洪水吐ゲートです。

形式はローラーゲートですが、面白いのが開閉動作が通常のローラーゲートと真逆で、ゲートが下方にスライドし、上を越流させて放流する構造になってる事です。
現在はフルオープン状態ですが、有事にはゲートが上昇しサーチャージまで洪水を貯め込みます。

機械的に負荷が少ないのか、通常は下に降りて全開になっているのかなと想像。

なにはともあれ、この構造によってすっきりしたクレストの美しいデザインが出来上がったと言う事かと思います。



156mの天端を散策する家族連れ。

わいわいと親子で会話して散策中、そのわずか1m横は150mの断崖です。
このギャップが凄いですよね。

河川をまたぐ土木建築ではダムの他に、橋があります。
日本で最も高い橋は、僕の地元にある東海北陸自動車道の高架橋(鷲見橋)で、高さは118mだそうです。
もちろん118mと言う高さはとんでもなく高いのだけど、日本一高い黒部ダムと比べると3分の2でしかありません。
しかもダムの場合、路面から谷底まで全部コンクリートが詰まっている訳で、つくづくダムってとてつもなく巨大な建造物だと思う訳です。

この親子も、もしもここが橋だったらすごくおっかないのではと思います。
谷底までしっかりと中身が詰まっているダムだから、心理的に安心できるのかなと思うのです。



手を伸ばし山勘撮影。
大きな減勢池が見えます。鏡のような水面。



左岸にある管理棟のエレベータで3Fのフロアに行くと、ダム展示施設です。

試験湛水での記念放流の写真が飾ってありました。
すごいです!。



リアルに作られた模型をにやつきながら見学します。

FNWPと働き者の温井ダム、役割の中心はやはり洪水調節でしょうか。
赤いラインは最高水位を示していますが、本当に天端ぎりぎりまで貯め込む事が分かりますね。頼もしいかぎりです。

左岸にあるのは選択取水設備です。
アーチダムなのでダム本体ではなくダムサイトに造られています。
この立派な取水設備は多段式と多重ゲートを組合せていて、この温井ダムで初めて採用された構造となっています。



展示施設のある管理棟とは別棟の屋上は展望台になっていました。
いろな場所から眺める事ができます。

芝生とカラー舗装、天端のアスファルトと白い堤体。
ダム本体だけでなく、周辺のダムサイトも美しくデザインされています。

王泊ダムでは見頃だった紅葉ですが、それよりも少し標高は低い為が周辺の見頃はあと1週間かな?と、言った印象でした。



芝生の上で、対岸から歩いて来たファミリーが休憩中。
手摺の近くに車イスのおばあちゃんも。



そうなんです。

温井ダムは見学用の通路(監査廊)にも車イス用の昇降機完備で、完全バリアフリーのダムなのです!(さすが新鋭の直轄ダム)



温井ダムの内部。
ダムの内部は一般に開放されていて、自由に散策できます。
高速エレベータで下に降りた後は、明るい監査廊を進みます。



これは途中にある展示物。
何の展示かと思えば、ダムサイトの基礎岩盤に触れるという展示でした。

アーチダムは岩盤が命!

温井ダムは当初は重量式コンクリートダムで計画されていたそうですが、岩盤が非常に良好な事が解りアーチ式で建設される事になりました。
宮ヶ瀬、浦山と並んだ重力式の温井ダムも観てみたかった気もしますね。

がっちりした花崗岩は、何かご利益がありそうなので沢山なでなでして先に進みます。



通路を抜けるとダム下流広場です。

翼を広げる温井アーチ。
大きいだけでなく、左右対称の美しい姿をしています。



副ダムも立派ですね。



「こんにちは、ようこそ温井ダムへ、ぼくの名前は利水次郎です」

と、しゃべりませんが、そう言ってる気がします。
次郎だがら次男に間違いなのですが、じゃあ長男はと言うと・・・。



兄の治水太郎はあんな所に居ました。
名前は太郎と次郎だけど苗字は異なります。少し複雑な家庭で育った二人です。

両脇はツイン波動砲こと、2条のホロージェットバルブです。
ホロージェットもこれだけ大口径だと迫力がありますね。
2条で最大60t/sの放流能力があります。

中位標高放流設備のこのバルブは主に洪水調節に使用されます。



下流広場は上下2段になっていて、もう少しお近づきになる事が出来ます。
至り尽くせりの温井ダム、どこまでもフレンドリーです。


でかい。

そして意外なほど重厚。
アーチダムと聞くと繊細なイメージがありますが、温井ダムのアーチは重厚で分厚い壁の印象です。
事実、堤体積は81万㎥もあり、重力式ダムだと長島(86万㎥)大山(80万㎥)に匹敵します。

また、形状はドーム形なのですが、156mという高さに比べ、クレストのオーバーハングはかなり控えめです。
以前新潟で見た奥三面ダムにとてもそっくりだと感じました。(奥三面は下からは見れないので、あくまで想像ですが)
奥三面ダムも堤高116mを誇る大型のアーチダムで、面白い事に温井と同じ2001年の完成です。
同時期に設計・建設された二つのアーチの設計は、どこか共通するものがありそうです。



ダムの一番下には4門のコンジットゲートを配備。

温井ダムは、コンジットゲートを装備するダムで国内最大級の堤体です。
コンジットゲートの水深は106mもあり、もちろん日本一深い所にあるコンジットゲートとなっています。



整然と各設備が配置されている事もあり、スケール感が湧きませんがこの部分だけでもなかりの広さがあります。
放流能力は1100t/s、25mプールをわずか1秒で満水にします(!!!)

ダムの下から、コンジットを目線の高さで鑑賞できるのもなんだが不思議です。

キャットウォークは樹脂パネルで覆われていますね。(行ってみたい!)



うひょー。
すっげーフーチング。

温井ダムはスケール感が完全に麻痺します。



真下から見上げるアーチ。ここまで観れるアーチダムは貴重です。
これより1mほど低い奈川渡ダムでも出来ますが、奈川渡とはだいぶ印象は違います。

ちなみにクレストの非常用洪水吐は、5門で最大2000t/sの放流能力があります。



美形で、たくましくて、フレンドリー。

あんまりいい奴なので、意地悪で悪者っぽくモノクロで撮影したら、妙にカッコよく撮れてしまいました。できる奴は何やってもキマっちゃう訳ですね。くやしい〜。



配慮の行き届いた美しいデザイン。
バランスの取れた重厚で堂々としたシルエット。
豊富な展望スペースや誰もが見学できるバリアフリー。
洪水をカットする重武装。

西日本を代表する大型アーチと呼ばれる事の多い温井ダムは、西日本のみならず、間違いなく現在の日本を代表する大型コンクリートダムの一つである事は間違いないと感じました。



アーチダムのファイナルアンサー。

温井ダム
★★★★★






| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム広島県 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2011/04/18 6:50 PM posted by: kaiyu
はい。私も大好きなダムです。コンジットゲートが洪水調節用だと思ってました。まだまだダム愛好家になれないっす...
2011/04/18 9:14 PM posted by: あつだむ宣言!
kaiyuさん、こんばんは。

♪温井は広いな大きいなあ〜

とにかくよく造り込まれたって感じがひしひしと伝わってきますよね。

コンジットですが、常用洪水吐なので洪水調節にも大活躍ですよ。
言葉足らずでした、すみません。
2011/04/19 7:17 AM posted by: おざ
>少し複雑な家庭で育った二人です。
>できる奴は何やってもキマっちゃう訳ですね。

わはは。朝から大爆笑させていただきやした。
すばらしい、すばらし過ぎる紹介文ですねー。
私もこんな素敵なテキストが書けるように精進しなきゃ。
2011/04/19 12:42 PM posted by: あつだむ宣言!
わーい、わーい。
うけたうけた、おざさんにうけた♪

でも、ほどほどにしないと、いつか管理所さんに怒られそうです(笑)
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