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久山田貯水池堰堤

堤高22.5m
G/W 1924年 尾道市営

2010.11.6見学


門田貯水池堰堤の上流、西にわずが1キロの所に久山田貯水池堰堤があります。

湖畔に尾道大学がある関係か、ダムサイトにはきれいで可愛い周辺案内図がありました。久山田水源地は尾道市の水道水源となっています。



久山田貯水池堰堤は、国の登録有形文化財の指定を受けています。
石積の堤体は大きくアーチ状に湾曲した美しい姿です。

尾道市水道局の現地に設置したプレートによると「重力式とアーチ式を複合した構造形式」と説明されています。
それなら「重力式アーチダム」じゃん、と、早合点してしまいそうですが、そもそも日本で初めてアーチダムが建設されるのは、1924年竣工のこのダムから、あと四半世紀以上待たねばなりません。

過去に造られた物に、後々の基準で言葉を当てはめて考えるのは、なんとなくこじつけの気がしますし、堤体をアーチ状にする理由は、アーチ式の水圧に耐えうる力学的な理由の他にも・・・。

・下流に土地が無かったのでダム軸を上流にオフセットした。
・堤体積を減らせる(ダム軸が上流にあるほど河床の地盤の標高が高い)
・右岸と左岸が直線で結ぶ事が出来なかった(現代ならコーナーをつける)
・美観に優れる。

といった別の側面もありますから、見た目では判断できない難しさがあります。
つまり、「アーチ形」だけど、「アーチ式」ではない、といった堤体もあると思うのです。



両手を広げたほどの可愛らしい天端。

右岸よりには取水設備があります。
路面に埋め込まれた石材の並びを見ると、元々は建物があった雰囲気ですが、スピンドルの位置を考えると現在の姿は当時の状態である様にも思えます。



丁寧に積まれた布積みの堤体。
ゲート間の扶壁のカーブが、下流面にスッと溶けて消えていきます。

小さな石積堤体は、相対的にモザイクのドットが大きいようなもので、表面を滑らかに積上げるのは大きなダムよりも難しいと思うのですが、久山田貯水池堰堤は美しさにかけては、より大きな石積ダムにも引けを取りません。

今、写真を改めて見て思ったのですが、切石はよく使われる間知石よりも若干小さい様にも見えます。
現地でもっと見ておくべきでした。



天端から下流の左岸を見ると、山の斜面まで石積・石張りで補強、遮水されています。
石材はさまざまな形ですが、目地が整っていて、とても丁寧な造りです。

堤体端にそって掘り込まれた溝は下流面に降った雨水を流す樋でしょうか?。



堤頂長は75mほどなので、あっと言う間に左岸です。
クレストの薄いゲートには、角落し用に小さな支柱が並んでいます。

堤体の岸際は、下流面と同じ様に斜面に石が貼り込まれ遮水されていました。
現代で言うフーチングの祖先でしょうか。



現地では僕以外にパシャパシャと写真を撮影しておられる方が居ました。
ダム右岸の道路が拡張工事中で、法面の工事記録を撮影しておられるようです。

「何を撮っているんですか?」
先に声を掛けて来られたのは、道路工事の方でした。

「珍しいダムだと聞いて、ダムを撮っています」
そう答えると、とても不思議そうな顔をされていました。

天端のカーブですが、クレストの余水吐の所だけ直線で繋がれ、ちょっとカクカクした感じになっています。
プレキャストのように、他で作った管理橋を完成した堤体に乗せた様に感じました。



天端から下を見るとダム本体に沿ったアーチ状の副ダムが見えました。右岸は公園化されている様です。

行ってみましょう。



遊歩道を降りていきます。

眺望が良い様に木々も剪定され、最近整備された歩道のようです。
一歩一歩降りる度に堤体のアングルが少しづつ変わって、ドキドキ感も高まります。



んーっ。

美人ですね。

直線重力式だと「男前」だけど、アーチ状になると女性になるのは何故だろう。

空が青い!



明るい朝日を受けて、樹木の影を投影した美しい堤体は、
まるで映画館のスクリーンの様でした。

転校生のラストシーンの8ミリを写したいぜよ。(まだ言うか)



久山田貯水池堰堤
★★★★


余談ですが、日本最初のアーチダムは1953竣工の三成ダムですが、ローダムまで範囲を広げると1909年に完成した旧大湊水源地堰堤(重力式アーチダム)が最初と言われています。
でも、旧大湊堰堤はアーチダムでも重力式なのでどうもスッキリとしません。

調べてみると、神戸の布引水源地水道施設にある「分水堰堤」は純然たるアーチ式で、なおかつ完成は旧大湊堰堤よりも以前の1907年です。
http://www.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp?register_id=102&item_id=00004080
これこそが日本初のアーチ式コンクリートダムなのかもしれません。
4月になってロープウェーの運行が再開したら早速行ってみるつもりです。

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム広島県 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2011/02/24 8:38 PM posted by: 安部塁
更新拝見しました。
門田貯水池の1950年再開発説は非常に有力なものだと思います。
こちらには、伺ったことはありませんが、
一度は訪れてみたいところです。

>布引分水堰堤
ハイキング道に接してはいますが、草木が生い茂っています。
堰堤前のアーチ橋も文化財でフェンスで施錠されていたと記憶しています。
神戸水道局に見学を申し込まれた方が無難かもしれません。

布引一帯は、土木遺産の宝庫です。
夢風船でいっきに上るのは逆にもったいないですよ。
あつダムさんほどの御健脚であれば布引分水堰堤までは朝飯前です。
小学生やシニアのハイカーも新神戸から徒歩で行く場所ですから。
2011/02/25 12:19 PM posted by: あつだむ宣言!
安部塁さん、こんにちは。

登りはロープウェー、下りは徒歩かなと思っていました。ロープウェーから観られるってのも貴重で面白いかなあ、って。
でも、お薦めされると登りたくなってきましたー(笑)

とりあえずはフェンス越しで見てきます。
見学申し込みはその後かな?
貴重な土木遺産(重文)なので、一気に観てしまうのはもったいないので、じわじわと攻めたいと思っています。
情報ありがとうございました。
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