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佐々並川ダム

堤高67.4m
A/P 1959年 中国電力

2010.10.11見学

タイトロープ。

極薄のアーチダムとして有名な中国電力佐々並川ダムは、阿武湖に流れ込んでいる佐々並川を遡った先にあります。
直線距離では阿武川ダムからそれほど離れていないのですが、渓谷を縫うような曲がりくねった道なので、道程だと10キロ程走る事になります。
見通しの悪い狭道が永遠と思えるほど続きますが、舗装の状態が良いのでそれほど怖い道ではありません。



そろそろアーチダムの匂いがしてきました。
急峻な険しい岩山の風景から、アーチの匂いがプンプンします。



と、思った矢先、いきなりドバーッ!と丸見えで登場しました。
これが佐々並川ダムです。

極薄アーチで有名な佐々並川ダムは、ネット上での写真が薄さが表現できる斜めからのアングルが多い事もあって、真正面からは観えないダムだと思っていました

だからいきなりこの姿が見えた時は、本当にド肝を抜かれたのでした。



驚きが冷める間もなく、ドキドキしながら堤体観察をします。

ダムの真下は申し訳程度の小さな副ダムで、減勢工と呼べるものではない様です。
クレストからの放流は、空中で水が分散してしまうのかと思います。
また、アーチダムのダムサイトなので岩盤も良いのでしょう。小さな副ダムの中にも岩盤が露出しています。



ダム本体にはクレストゲート以外に放流設備がなく、とてもシンプルな表情です

キャットウォークを目で追うと、枝分かれした先が行き止まりだったりします。
何かの測定機器があったり、置いたりする場所かなと想像。
極薄アーチなので多分監査廊も無いと思うのですが、その分、必要な機能が外部に露出しているのかもしれません。



さらに目を引くクレストゲートと天端通路。
薄いアーチに合わせて、こちらも見た事ない驚きの超極薄構造。

よく観ると吐の真下にもキャットウォークが・・・。



さらに道を進んで右岸のダムサイト真上に来ました。
天端へは途中で脇道へ分岐するのですが、立入禁止となっています。

凄い眺めです。
これを見ればアーチダムが水圧を両岸に掛けて踏ん張っている事が一目瞭然です。

それになんと言っても堤体のこの驚異的な薄さ。



薄いアーチなので天端も本当に細い。
高所恐怖症の人は逃げ場がありませんね。

正にタイトロープ。



対岸に発電所への取水設備が見えます。
アーチダムらしいダムサイトの狭さ、この取水口も含め、周辺の関連する建物は岩盤に貼り付くように立てられています。



阿武湖に続き、こちらも霧が立ち込める貯水池。
深い山の中にあり、しんと静まり返っています。

網端の先、岬にある白いものは小さな巡視艇です。
あまりにも急峻なダムサイトなのでダム本体の近くでは湖面に降りる事も困難なのでしょう。
インクラインがダムとはまるで違う場所にある坂本ダムを思い出しました。



非常に狭いダムサイトは手前の右岸も同じで、ほとんど敷地と呼べる場所はありません。せり出した岩盤の棚の上にあるのは竣工記念碑です。

この岩盤を巻き込んだ形、まさに岩盤の「ツボ」にアーチダムが連結してる感じがします。
ちなみに、僕の好きな中部電力の最高峰・高根第一ダムもこれに近い感じだと思うのですが・・・。



これは帰り道に立ち寄った佐々並川発電所です。
阿武川ダムの下流1キロくらいにあり、ダムの水はこの発電所に送られます。



道路に面した発電所の案内看板に湛水前の佐々並川ダムの正面写真がありました。
バランスの取れたV字の谷が印象的で、グラマーなアーチと言うよりも、シャープな印象だと言えます。

うーん、素晴しい。



戦後になって生まれ、急速に発展した物にはさまざまな物があります。
日本のダムの歴史の中では、アーチ式コンクリートダムもその一つと言えるでしょう。

1953年に産声を上げた日本のアーチは、直ぐにドーム型という新たな形を手に入れます。
それはちょうど同じ頃、超音速を突き破る為にジェット戦闘機が手に入れた、後退翼やデルタ翼のような物かもしれません。

どんな物も進化発展の中であらゆる方向への展開が試行され、そして淘汰される運命にあります。
ジェット戦闘機の世界では最大速度の追求の時代はいつしか終焉し、現在は多目的で汎用性の高い機体が主流となりました。

ロッキード F-104 スターファイター。
極限までにスリムな機体と小さな翼の組合せは、驚異的な高速性と上昇能力を誇り、最後の有人戦闘機とまで呼ばれました。
しかし、コンパクトすぎた機体や翼では武装や増加タンクの搭載に余裕が無く、米軍の主力機になる事はありませんでした。

佐々並川ダムの素晴しく薄い堤体を眺めながら、ふと子供の頃よく田舎の空を飛んでいた、ロケットのように細く尖ったジェット機を思い出すのでした。



佐々並川ダム
★★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム山口県 | comments(8) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2011/02/16 10:11 PM posted by: ひろ@
佐々並川いいですねぇ♪
堤体の薄さもさることながら、巨大な人工物でありながら周囲に人の気配が全くないその秘境さが最高です。


ちなみにデルタ好きの僕としては、ドーム型アーチダムを見て思い浮かぶのは英国空軍バルカンの変態的曲線美ですね(笑)
2011/02/17 12:16 PM posted by: あつだむ宣言!
こんちは。

変態的曲線美。わはは。
宮崎アニメちっくで素敵な機体です。
ww2以降の英国空軍のヨレヨレクタクタ感が胸を打ちますね〜。

カッコ良いデルタなら、ドラケンかな。
変形デルタなので反則ですが、あれを超える機体は二度と開発されないでしょうなあ。
2011/02/17 12:56 PM posted by: 東日流人
F-104・・なんという誘惑!思わず釣られずにはいられませんw
ですが、ロック岩崎氏の事など語りだすと長くなるので自重します。

私の在所近辺にはアーチは無いので余計に憧れなんですが、建設好適地の地形が要請するのか、秘境にあるものが多い気がします。
私の如き貧脚サイクリストには辛い試練です。ダム愛を試されますね。
今年は輪行野郎の最終兵器とも言えるアレの購入を目論んでますので、早いとこ実戦化して戦闘行動半径を広げたいものです。

・・何で車で行かないんだ?とは突っ込まないで下さい。

追伸
ちなみに私のお気に入りはデ・ハビランド・シービクセンです(自重失敗)
2011/02/17 5:47 PM posted by: あつだむ宣言!
東日流人さん。
ようこそ、お待ちしてました(笑)

そういえばお住まいの地域にはアーチダムがありませんね・・・。
地質的な条件でしょうか。

佐々並川はこれぞ発電用ダムという全てのカードが揃っています。
是非自転車で・・無理ですか?
最終兵器が気になります。

シービクセン(笑)
いやいや笑ったら失礼か(爆)
流行の矛先を間違えちゃったのか。
それでも大切に長く使うのが英国人魂。

おかしな機体ならF7カットラスとかどうですか?
プロトではカッコ良かったけど、前が見えないので、量産型はガッツ星人みたいになっちゃうし。

フロントギヤ長すぎ。
でもってバランス悪すぎ。
プラモでも常に尻もち状態なのでした。
2012/07/15 10:56 AM posted by: denwaban
おおお!こんな瀟洒なアーチ式が阿武川ダムの近くにあったとは!
阿武川ダムのGAでお腹一杯になってた自分の間抜け加減さを恨みますwww
ついぞ最近ネタ集めに阿武川ダムまでは見学に行ったのですが、途中で見えた発電所は阿武川ダムの関連だろうとタカをくくって無視したので、悔やまれるばかりです。
萩・・・遠いよなぁ。阿武川行った時も岡山から延々中国山地を飛び回ってからなので結構時間がカツカツに・・・萩か新山口に泊まらないと見学できそうにないですねぇ。
2012/07/17 6:06 PM posted by: あつだむ宣言!
阿武川から結構距離があるので、時間に余裕を持って行かれる事をお勧めします。
こういうすれ違い困難な山奥のダムは、早朝
に行く事が多いです。
朝8時を過ぎると、関係者や工事車両は入って来るので、それより前に戻って来るのがベストですね。
なにより安全第一です〜。
2012/07/28 12:45 PM posted by: kaiyu
風の強い日や、雨のたくさん降った後は、
落石や倒木があるので、
通行には注意してくださいねー。
2012/07/29 12:15 AM posted by: あつだむ宣言!
ダム巡りを何年も続けていると、危険な道にも免疫が出来てしまうのが怖い(笑

佐々並川はとてもアーチダムらしいロケーションに建つアーチダムですよね。
是非、道中の道の険しさも味わいながら訪問して欲しいダムです。

もちろん安全第一で!。
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