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桂ヶ谷貯水池堰堤

堤高13.4m
G/W 1923年

2010.10.10見学

秘密の楽園。


羽根越貯水池に向かう手前、集落の片隅に重厚なコンクリートの建物ポツンとあります。
羽根越堰堤と同じ「水」マークが示す通り、かつての上水道施設の遺構で、以前はこの建物の脇には濾過池があったそうです。

目指す桂ヶ谷貯水池堰堤は、この建物の裏山にあります。



遺構の裏からの道。
歩道と言うよりも獣道と言った方が似合います。

長靴に履き替え入山します。



時々道を失いそうになるガレた足元。
時には倒木に阻まれますが、とにかくこの先にダムがあると信じて進むのみです。

佐賀県の北山ダムで夜明けを向かえたこの日ですが日没が近づいていました。
入山して30分経ってもダムを発見できなかったら安全の為に引き返す事にしていました。



倒木と共に行く手を阻むのが大量のクモの巣でした。
避ける為にカメラ用の一脚を上下に振りながら前進するのですが、タイミングが合わないと顔面で蜘蛛の巣を受けてしまいます。
一脚もあっと言う間に女郎蜘蛛の巣でドロドロになっていました・・・。

薄暗い夕暮れの山中で心が折れそうになった時、視界が開け道の表情も変わりました。
廃ダムとなり現在は水が抜かれている貯水池の岸に到着したのです。



岸の道を水平に移動すると見えてきました。
これが桂ヶ谷貯水池堰堤です。

水道水源として造られたこのダムの竣工は古く1923年、大正12年に遡ります。
その後、水道需要が高まり近くに羽根越貯水池も造られますが、戦後別の大規模な水道設備が整備され羽根越貯水池と共に役目を終える事となりました。



赤レンガで造られた取水設備。
今まで見た事のない優美な姿は、河内ダムに匹敵する風格と品のある佇まいです。



桂ヶ谷貯水池堰堤は、堤高13.4m、堤頂長わずが23.6mという、とても小さな堰堤です。ダム正面の石積は珍しく谷積みの様です。

取水口の口金のデザインに、リアルな大正時代を感じます。



さらに堤体に向かって進みます。
取水塔と同じ赤レンガで造られた親柱が見えて来ました。



桂ヶ谷貯水池堰堤の天端です。
堤体は直線ではなく、天端には軽くアーチが付いている様です。
廃ダムは天端まで木々が進出していました。

天端は立入禁止となっています。



市松模様に赤レンガが積まれた高欄。

耐震性から現在では造られないだろう仕様ですが、完成から90年近く経った現在も、ほとんど欠ける事なく美しい姿を保っているように見えました。



その先に赤い取水設備が見えます。

かつては森の中の静かな湖に、この赤レンガの取水設備が眩く映えていた事と思います。
鳥がさえずり、湖面に映った赤いレンガが風にゆらぐ・・・美しい水源地。



天端には入れないので左岸の道を進める所まで進んでみますが、直ぐに道は落葉や木々で無くなっていました。

下流面は、つる植物や雑草が隙間なく茂りダムを飲み込もうとする勢いです。
これでは雑草の枯れる真冬に訪れても、石積の表情を見る事は出来ないと思います。

ダムの下流面がどの様なものであったかは、永遠の秘密なのかもしれません。



植物に覆われた赤レンガの高欄は、まさにイングリッシュガーデンの趣です。
これで茂った植物がつるバラだったら、本当に最高のワイルドガーデンとなるに違いありません。



ダムの左岸をよく見ると、小さな洪水吐が残っていました。
小さな堰堤なので、越流部も水路も本当に小柄で可愛いものです。

森の木々に飲み込まれようとしている桂ヶ谷貯水池堰堤ですが、当時の設備はどれも欠ける事なく現存している様に見えました。



山間の集落の山中に、ひっそりと余生を過ごす枯れたダムがありました。
名前は桂ヶ谷貯水池堰堤。

きっと人々の記憶から消えてしまうのも、遠い先の事では無いでしょう。
でも、ダムを被う木々は知っています、天端に根付いた雑草も。

それは美しい秘密の庭。
桂ヶ谷貯水池堰堤



桂ヶ谷貯水池堰堤
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム山口県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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