無料ブログ作成サービス JUGEM
←prev entry Top next entry→
水窪ダム

堤高105m
R/P 1969年 電源開発

2010.9.11見学

間組ロックフィルの伝承者。


秋葉街道(国道152)から水窪川に沿って山に分け入り山道を登ります。
谷がいっそう深くなり、そろそろかな?と思いつつトンネルを抜けると、目の前に巨大な岩の壁がドーンと現れました。
天竜川水系水窪川 電源開発 水窪ダムです。

トンネルの出口付近に小さいながらも駐車スペースがあり、100m超えの堂々とした堤体をほぼ真正面から観る事ができます。
ここからは放流や取水の設備も見当たらず、シンプルなダムだと思いました。



堤体の左岸まで車で来ました。
周辺に駐車場はありませんが、路肩が広く、道路脇に停める分には問題ないと思います。

正面から見た時にはあまり気が付かないのですが、水窪ダムは大きくアーチ状に湾曲した堤体が特徴です。
また、堤頂部に柵などが無いのも珍しい仕様です。



それに、天端から見下ろす下流面はとても急勾配に感じます。

事実、ダム標準断面図によるいと、下流面の勾配は1:2と通常よりも急勾配となっています。(上流面は1:2.3)

つまり、高くて、急で、柵が無い、マニア的にとっても素敵(?)なダム。
それが水窪ダムなのです。



綺麗なアーチを描く下流面。

コンクリートダムと違い、岩や粘土が素材のダムなので、堤体をアーチ状にするのには、他の理由があります。
ダムの中心部分を少しでも標高の高い上流側にずらす事で、堤体積を少なくする事ができ、建設コストを抑える効果があるのだそうです。
1:2の急勾配も、こういった目的に基づく設計なのかと想像します。

ざらざらした表面のロック材、軽く整える程度に整形されたリップラップは、何処かで見覚えがあります。



はい、下の写真は御母衣ダム左岸の山中にある大黒谷ダムです。
大黒谷ダムは、堤高34mと水窪ダムと比べてふた回り小さな堤体です。でも、アーチ状の下流面、リップラップの表情、天端に柵の無い所まで本当にそっくりです。

あ、どちらも電源開発のダムだ!



再び、水窪ダムの写真。
ダムの下流は、ごつごつした岩盤もあらわな険しい渓谷となっています。
アーチダムが良く似合いそう。

大規模なロックフィルは、正面形状が長方形か逆台形のイメージがありますが、水窪ダムはV字形の谷に造られ、シャープな逆三角形のシルエットを持っています。

ダムの一番下に、コンクリート製の構造物が見えますね。
これが何かは後々解りました。



天竜川水系らしい、グリーンを帯びた笹濁りの貯水池。
発電所への取水口が左岸に見えます。

堤体の中心辺り、ダム本体の上にインクラインが敷かれ巡視艇が置かれていました



右岸には管理所などの施設が集まっています。
管理所横の建物でディーゼルエンジンが唸りを上げていました。発電機?。

右岸には休憩所が開放されていて、丁度昼時とあって建設業者の方がお弁当を広げておられました。その奥にトイレも完備。



ダム湖側を見ると、目線の高さにゲートの巻揚機が並んでいます。



それは非常用の余水吐でした。
トンネル式で、ラジアルゲートが2門。
さっき堤体の一番下に見えた構造物は、トンネル吐の放流口の様です。

むむっ。
これは、やはり御母衣ダム近くの大白川ダムにそっくりです。
大白川ダムは豪雪対策で巻揚機は建物に覆われていますが、それ以外は、とにかく良く似ています。

そう、大白川ダムも電源開発のロックフィルダムなのです。



右岸にあるプレート。

本体施工は株式会社 間組。
実はトンネル式洪水吐が瓜二つの大白川ダムも間組により築かれています。

間組は、丸山ダム(1955年)、佐久間ダム(1956年)、黒部ダム(1963年)と、立て続けに名堤と呼ばれるコンクリートダムを手がけ、「ダムの間組」と呼ばれる事になります。

ひょっとして、御母衣ダム(1961年)、大白川ダム(1963年)、そして水窪ダム(1969年)と、コンクリートダムに続きロックフィルでも100m超級の大規模なダムを連発し、「ダムなら間組」を確固たる物にしたのかもしれません。



電源開発 水窪ダム。
それは同じ電源開発の大黒谷ダムの堤体形状に、大白川ダムの余水吐を持つ、ちょっとイカしたロックフィルでした。

山奥でありながら、ちょっとしたドライブや散策にうってつけなのか、見学中はひっきりなしに家族連れやカメラ片手の見学者の姿がありました(声を掛けてみましたがダム愛好家では非ず)。

佐久間ダムまで来たら、ちょっとだけ足を伸ばして訪れてみては如何でしょうか?。



水窪ダム
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム静岡県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
name:
email:
url:
comments:
Trackback
http://side-way.jugem.jp/trackback/613