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小諸発電所第二調整池

堤高不明
G/P 1927年(小諸発電所完成年) 東京電力

2010.6.14見学


小諸発電所第二調整池は、千曲川から取水した水を東京電力小諸発電所へ送水する調整池です。

小諸市の南城公園に隣接しており、アクセスも良好。
この日は小諸バットレスの遺構調査の為、南城公園から歩いて向かいました。

貯水池は、ほぼ全周に亘りコンクリートで護岸され、発電所の調整池らしい造りです。



貯水池の奥に堤体が見えてきました。

ネット上でほとんど情報が無いこのダムは、衛星写真から重力式コンクリートダムである事は見当が付いていましたが、詳細は不明です。



堤体までの道を進みます。
雑草の轍の向うに車止め、その先に天端が見えてきました。

対岸のコンクリート法面の向うは、直ぐに南城公園の芝生広場です。



手前の建物は管理所かと思いましたが、建物の下は発電所への取水口となっていて、窓ガラス越に機械類が見えます。

木造の趣のある建物は竣工当時からのものでしょうか?

この第二調整池は昭和2年、小諸発電所の建設に付随して建設されました。
すぐ南東に隣接して建設された旧第一調整池は貴重なバットレス式のコンクリートダムでしたが、竣工の翌年に堤体崩壊の事故の後に撤去、現在、跡地は南城公園の一部になっています。

車止めの先は特に立入を規制する標識もなく、敷地に入らせて頂きました。



下流面を初めて見た時、思わず何かを叫んでいたと思います。でも、何を叫んでいたかは興奮のあまりよく覚えていません。

クレストの意匠が今まで見た事のないものだったのです。

両岸までずらり並ぶ扶壁のデザイン。

中心のいくつかは余水吐となっていますが、非越流部には機能的な役目はなく、純粋に美観を狙ったデザインなのです。



これは間違いなく隣接する双子ダムであった旧第一調整池(小諸バットレス)との調和を意識したものに間違いありません。
現在、堤体の下流は木々が成長し視界を奪っていますが、竣工当時は下流から二つのダムが横並びに見えていたはずです。

1923年の笹流ダムに始まった我が国のバットレスダム、4年後の1927年に完成した小諸バットレスは当時としても最新鋭のダムデザインであったはずです。
オーソドックスな直線重力式として設計されたこの第二調整池は、隣接するバットレスダムに華を添えていたのでしょう。

この上部をアーチ状とする扶壁を見て、ムクムクとある妄想が膨らんできました。
ひょっとして小諸バットレスは、現在の笹流ダムのようにクレストにアーチ状の意匠を持っていたのでは?。

しかし、後の調査で小諸バットレスのクレスト部は、通常のシンプルな形状である事が解りました。



第二調整池の天端。

天端も立入を規制する表示はありませんが、実質的に関係者意外の者が訪問する事が無い為だと思います。
こういった施設では通常のダム見学より厳しくマナーが問われます。

柱状の装飾のあるコンクリート高欄、貯水池側は金網のフェンスとなっています。
車両通行不能の幅の狭い天端は、何処か名堤 大井ダムを思い出しました。



天端から下流へ見下ろします。

ゆるやかなカーブを描くエプロン、その先はオールドダムらしく石貼仕上げとなっています。



対岸の左岸までやって来ました。

調整池であるこの施設には、直接流入する河川はありません。

貯水池の水は千曲川の上流、現在の第一調整池(杉の木貯水池)の下流から取水され、隣の旧第一調整池の遺構を通過し、この低い屋根の設備から貯水池に流入しています。



左岸から見る堤体。

クレストの小さな余水吐は板が落とされ、さらに小さなゲートとなっています。
貯水池への流入も、発電所への送水も、全て人為的に操作が可能なため、非常用ゲートとしての出番はほとんど無いに等しいのでしょう。



左岸の先は、岸の斜面に点検用歩道が続き、そこから先は立入禁止となっていました。
現在は、この歩道の先にダム関連の施設は何もありません。

しかし、竣工当時は、この道の先には旧第一調整池があり、職員が行き来していた道なのでしょう。

こんな所にも小諸バットレスの残り香を感じます。



今回、初めてその姿を確認した小諸発電所第二調整池は、期待を大きく上回る美しく毅然とした姿を魅せてくれました。

堤高15mを超えるハイダムと違い、極端に情報の少ないローダムのひとつですが、日本中には沢山こんな魅力的な堰堤があるに違いありません。

巡るほどに、調べるほどに、ダムの深さと面白さを感じた小諸調整池の見学でした。



小諸発電所第二調整池
★★★


おまけ

通常、絶対に行けないクレストの扶壁内部に書かれた落書き(?)

三六年って、1936年?それとも昭和36年?
どっちにしても古い!!

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