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宮川ダム

堤高88.5m
G/FNP 1956年 三重県営

2010.4.30見学


さて、京都〜奈良〜大阪〜奈良と巡ってきた今回の遠征もそろそろ終盤です。
蓮ダムから国道422でやってきたのが宮川ダムです。

下流の麓からダム本体へは、両岸に道があり、右岸の方がお薦めの道となっています。
無事ダムに到着。そのまま車で天端を通過し、左岸の正面に管理所がありますが、駐車場が見当たりません。

古参の県営ダムなので、一般用の駐車場が無いのかな?
管理所の前に車を置き、ビューポイントを探しに左岸の道を下流方向に歩くと、その先にちゃんとしたパーキングがありました。

急いで車に戻り、パーキングに入れます。

それにしてもこの駐車場ですが、とても変っています。建設時のプラントの遺構を利用しているみたいなのです。
駐車場の壁は骨材ビンを思わせますし、背後の林の中には他のプラント遺構も残されています。

さらに、上の段に何かありますね。

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そこには大きな水槽がありました。
水槽の水は背後の谷川の水を引いているみたいです。

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水苔ひとつない綺麗な水槽の中には、うぐいさん、にごいさん、それにたくさんのオイカワたち。

みんな気持ちよさげに泳いでいます。この水系の魚たちなのでしょう。

IMGP9950.JPG

水槽や駐車場の前に展望スペースもありますが、もう少し下流に下った方が堤体が良く見えそうです。

その時です。

バサバサッ!

路上で日向ぼっこでもしていたのか、僕に驚いた子犬大のケモノが猛ダッシュで逃げて行きます。

追いかけて激写した1枚。
昨日は奥宮ダムで、突然現れたキジの写真を撮り損ねましたが、これでリベンジ達成です。

肉眼ではタヌキに見えましたが、写っていたケモノはタヌキのような大きな尾がありません。

・・・・・タスマニアデビル???

IMGP9940.JPG

珍獣はさておき、いよいよ宮川ダムとご対面です。

威厳に満ちた堂々とした姿。
熟した色のコンクリートは日焼けした肌を思わせます。

深い赤色をしたクレストゲートが印象的。
黒ずんだ大きなボディの中にあり、赤いゲートは牙を向いて襲い掛かる野獣の口の様にも見えます。

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さっき車で通過した天端の道路は、ゲート部分で下流側にクランクした形になっています。

重厚なピアの脇には、下流にオーバーハングした天端道路を支えるリブが見えます。
滑らかな導流壁のカーブ、ピアの面取り。

名堤 丸山ダムとほぼ同期の堤体ですが、急増する電力需要の為になりふり構わず築堤した感の丸山ダムとは異なり、随所に見られる丁寧なディテールの処理は、丸山とは別のいい仕事感を感じます。

IMGP9958.JPG

左岸の道を歩いて登って来ました。
気になるのは下流面に点々と付いている痕跡・・・・。

まるでキャットウォークの跡の様です。
いったい何の痕跡なのか?現地でいくら頭をひねっても解りませんでしたが、帰宅後に調べてみると、新しく設置された選択取水設備の工事用の足場の跡だと解りました。

従来の利水放流設備はダム底の深い水深部からの取水だった為、冷水の放流によるアユ漁などへの影響を考慮して新しく選択取水設備が作られ、2006年から運用されています。

1956年竣工の宮川ダムですが、時代に合わせ進化を続けているのです。

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左岸の管理所の前まで戻ってきました。

建物の左端の倉庫には沢山の水槽が並んでいます。
駐車場裏の大水槽に魚を移したばかりなのか、この日は空の水槽が目立ちます。

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足元のコンテナの中にはカメがいます。
脱獄常習犯なのか、厳重に網が乗せてあります。

IMGP9969.JPG

カワムツさんが1匹だけ。
ちょっと寂しそうですが、案外これはこれでVIP待遇かも。

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わっ

びっくりした(汗

天然で驚いてしまった・・・。

そんな感じで勝手に倉庫内を見せて頂いていたら、どこかで職員さんが観ておられたのか、パッと倉庫内の蛍光灯が点きました。

どうもありがとうございます。
監視カメラの位置が解らなかったので、適当な方向を向いてお辞儀をしました。

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水槽を見て振り返ると、目の前は直ぐにダム正面です。
とてもタイトなダムサイト。
夕暮れが迫って来ました、手前の左岸側は山影に入りつつあります。

手前の設備が新しい選択取水設備です、ずいぶん沢山流木が押し寄せています。

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選択取水設備横のらせん階段。
設備にそってずっと下まで続くのか、遠慮なしに下の方は水没しています。

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3門の赤いローラーゲート、サイズは10m×14.8m。

よくあるストレートの梯子ではなく、しっかりとした階段が付けられていて、ちょうど鉄骨のリブが踊り場になっています。
元々梯子も階段も無く、後から付け加えたのかもしれません。

宮川ダムの特徴的なゲートです。

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白いピアに真っ赤なペイント。

下流面から見ると巻揚機は建屋の中に納まっている風ですが、側面とダム湖側は開放的です。なんだかちょっと面白い感じ。

天端は、ぐるっとピアの背後に周り込める感じになっていて、真っ赤なゲートの正面を見る事も出来ます・・・。

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わっ
ゲートのダム湖側は青いのだ!
裏側の赤色が強烈なだけに、またもや素朴に驚いてしまった。

ダムのゲートに赤いペイントが使われるのには諸説ありますが、僕個人としては赤色の防錆塗料は船舶の喫水線より下の船底に使われていている事から、他の色よりも流通量があり塗料の単価が安かったり、性能の高いものがある等の理由があるのではと推測しています。

じゃあ、宮川ダムのゲートの場合、ダム湖側は何故青色なのかと言えば、さっき見た大水槽に答えがありました。そう、青い方がダム湖や湖水が綺麗に見えるからですね。

ペイントの性能的な理由じゃなく、美観を考慮した色だとしたら、それって気配り、心くばりって事ですよね。

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クレスト中央から下流。

天然の河床の上に段差付きの副ダムが見えます。
下流の岩盤はとても険しい表情でした。

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右岸に渡って左岸の導流壁を見ると、利水放流設備がよく見えます。

赤い先端が見えるハウエルバンガー、その脇のはジエットフローゲート。
従来からのダム底部からの取水はハウエルバンガーから、選択取水の水はジエットフローゲートから放流されます。

ハウエルバンガーが大きく見えますが、最大放流量はどちらも5.12㎥/sで、主放流設備としては選択取水のジェットフローの方が使われています。

一番下で放流しているのは河川維持の放流です。
この放流設備を使って最大220kwの発電も行われています。

また、宮川ダムの水は下流の水力発電所に供給され、最大54.200kwの電力を生み出しています。

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竣工間もない1959年の伊勢湾台風では、洪水調節に威力を発揮し、ダムによる治水能力の高さを知らしめたという宮川ダムは、2004年の台風21号を機に発電容量の一部を洪水調節にまわし、現在は1600㎥/sまで洪水調節量を高めています。

これは6門のコンジットで重武装する長島ダムに匹敵する洪水調節量で、宮川ダムの頑張りと同時に、その責任の重さを感じさせます。

IMGP9998.JPG

厳格さに満ちた堂々とした佇まい。重い責務と、激しい自然環境。
そんな厳しい宮川ダムですが、一方で手造りの水族館など、そこで働いておられる職員さんの顔が浮かぶような、暖かみのあるすばらしいダムだと思います。

山深い谷にあり、アクセスは良好ではありませんが、沢山の人に観て頂きたい宮川ダムでした。

宮川ダム
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