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三滝ダム

堤高23.8m
B/P 1937年 中国電力

2010.4.17見学

最後のバットレス。


それは4月だというのに東京に雪が降った寒い朝でした。
鳥取県 中国電力 三滝ダムは峠を越えた山の中に静かに水を湛えていました。

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左岸の壁には土木学会奨励土木遺産のプレートが付けられています。
左右に余水吐を持つ三滝ダム、吐きの部分はちょっと面白い造りになっていました。

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現在はゲートレスの自然越流式となっていますが、竣工当初は可動ゲートがあったのかもしれません。

角の取れた丸いピアは丁寧な仕事を感じさせます。
天井部分はコンクリートの保護の為でしょうか塗装が施されていました。

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ピアの内部、余水吐の真上です。
手摺りが無く、転落防止の金網が張られています。

ちょっとコワ面白い感じ、ドキドキしてしまいました。

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左岸のピアから出ると、対岸に同じ構造の右岸のピアがあります。
堤頂長82.5mとコンパクトなダムですが、イメージしていたよりも重厚な感じを受けます。

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天端の中央からの眺め。ダムの周囲には人家はおろか、何もない山中です。
三滝ダムは国定公園の中にあり、豊かな自然に囲まれています。

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下流面が垂直なバットレスダム。
ぐぐっと、身を乗り出して見下ろすと四角いマスのような水貯まりがありましたが用途はよく解りませんでした。

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地山の上を滑り降りる右岸の余水吐。
岡山県にある恩原ダムもここと良く似たバットレスダムですが、余水吐は恩原よりも急で短い感じです。

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ぐぐーっと、カーブを描き流れてゆく越流。
金網フェンス張りなので、開放感たっぷり。

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天端を渡って右岸にダム管理棟があります。
そこからダム湖側へは林の中に遊歩道があり、東屋がありました。

バットレスダムは、下流側の格子が見所ですが、個人的にはダム湖側の遮水壁の表情も好きだったりします。

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管理棟の裏手を通ると、こんな眺めが待っていました。

おおーっ。

直線的な扶壁と梁は、竣工時のオリジナルではなく、補強が施され少し太くなっているそうです。
写真では写っていませんが、扶壁の奥、遮水壁の手前にコンクリートブロックを積み、壁を設けてあります。
コンクリートの凍害を防ぐ為の保温壁なのだそうです。

地山の上を使った右岸の余水吐と違い、左岸の余水吐は少し上椎葉ちっくな重厚な造りになっていました。

それに、堤高23.8mと、値としてはさほど高いダムではありませんが、下流面がほぼ垂直とあって他のダムには無い迫力もあります。
両岸から迫る余水吐に挟まれ、実は正面から見てV字形をしている事も解りました。

IMGP9209.JPG

もう少し正面から観たい・・・。

一応、人間の足跡らしきものが斜面にあったのでそれを辿りながら斜面を降りてみます。
しかし、すぐに人の足跡は途絶え、気がつくと猪か何かの足跡に変わっていました。

ちょっと危険を感じたので収穫の無いまま引き返します。

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今度は対岸の左岸から下流方面へ歩いてみます。

歩道は中国自然歩道となっています。
元々あった森林鉄道を改良し、ダム建設用の軌道が敷かれたそうです。
鉄道といっても建設時は機関車は導入されておらず、牛馬に引かれて建設資材が運ばれたのだとか。

そういえば、北陸電力の2基のバットレスダムも、この三滝ダム以上の山深い山中にあります。去年訪れた真川調整池では、ダムに向かう登山道に、揚げ用の軌道の跡が残されていました。

真川も、この三滝ダムも、少ない資材で築堤きるダム形式としてバットレスダムが選ばれたのでは?と、ふと思いました。

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あっち芦津、こっち三滝ダム。
向こうは「やまみち」。

なんとか降りれそうな場所を探して、下流の河まで降りてみましたが堤体まで離れすぎていてまるでダメでした。

堤体の近くでも降りれそうな場所を探しましたが、斜面は険しく、こんな所を降りる事が出来るのは、ぱたぱたと羽の生えた愛好家くらいだと諦めました。

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凍害によるコンクリートの劣化を防ぐ保守やメンテナンスに費用が掛かる事、それに時代はより大きな大規模ダムの建設へ進んでいった事などにより、日本ではわずか8基しか造られる事の無かったバットレスダム。

コンクリートの扶壁と梁による美しい格子、両岸から翼を打ち下ろしたような余水吐、重厚なピアの形。
三滝ダム以降バットレスダムは造られる事はありませんでしたが、静かな山中にその堂々とした姿を魅せてくれました。

IMGP9227.JPG

三滝ダム
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム鳥取県 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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