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下筌ダム

堤高98m
A/FNP 1972年 国土交通省

2010.3.23見学

竜門ダムの上流から大分県に入り、下筌ダムにやって来ました。

下筌ダムは昭和33年から13年もの間続いた建設反対運動「蜂の巣城闘争」の地であり、その後のダム建設の有り方に大きな教訓をもたらしたダムです。

左岸の展望スペースより。

クレストゲートのピアが直線的でスッキリした感じ。
アーチも整った円弧を見せていて、端麗なアーチダムといった印象。



天端は車道になっていますが、ほとんど交通はありません。
此方の左岸は大分県、管理棟のある右岸は熊本県です。



左岸のインクラインと取水設備。
取水設備の続きが岸のトンネルの中に隠れていて秘密基地みたい。



貯水池は闘争にちなみ、蜂の巣湖と銘々されています。
また、湖畔には蜂の巣城闘争の資料を展示した資料館などもあり、対立した双方が、ここで起こった出来事を包み隠さず教訓にして行こうとする思いが感じられます。



天端から下流を望む。
下流にある松原ダムと繫がっています。

堤体下流面を見上げる場所があるはずですが、その場所へ行けるかは松原ダムの水位によるのかもしれません。
副ダムが水没していますから、この日の松原ダムの水位は高い方かなと想像。

下流の右岸沿いに車を進めると、ひょっとしてこの道の先かな?という脇道があったのですが、林業作業中で進入禁止となっていました。



クレストに3門のラジアルゲート、下流側に突き出た感じで配置されています。

ピアの上半分だけお化粧直しされています。
ダム本体の高欄の影で雨が掛からず白いままの範囲に合わせている様子。
遠目に見てスッキリとした印象に感じたのは、こういった細かな配慮のおかげですね。



その下にローラーゲートのコンジットが2門、下流に向けて斜めに配置されています。
丸い屋根が特徴的です。





「ダムに沈む」
 
ダム建設に伴う水没集落に対して、よく見聞きする言葉です。
この言葉を最初に発信したのは、ダム建設に懐疑的な新聞記者ではないかと思いますが、繰り返し使われる事で一般に浸透し、ダム事業者側もこの言葉を使うようになっている感じさえします。
 
ダムに興味を持って各地を見学するに連れ、この言葉に違和感を感じるようになりました。
 水没集落となんの関わりも無い僕が軽口をたたくべきではありませんが、僕はこの言葉はあまり好きでは無いし、間違っていると思う。
 
集落はダムに沈むのではなく、集落は 「水に沈む」 と思うのです。
 
そもそも、ダムは、洪水調節と利水といった目的を持って建設されます。
コンクリートやロック材を積上げ、巨大な壁を造る事がその目的ではなく、果たすべき目的は治水と利水で、ダム本体はその目的を達する為の器(うつわ)に過ぎません。
 
水に沈むとは、すなわち、治水や利水によって集落が沈むという事です。
それは、土地や家屋を奪われる人と、治水、利水の恩恵を受ける人とのトレードオフで、ダム建設にあたる事業者はその2者の中間に立つものだと思います。
 
マスコミが使い始めた「ダムに沈む」という表現は、起きている事を広く世間に伝え、権力の番人という報道の一つの役割を果たす物であったかもしれませんが、そこで表現されたのは、水没者対ダム事業者 という、ショーアップされた対立構造であって、 治水や利水による効果という、ダムの有効性の部分が、丸ごと欠如してしまっています。
 
また、その片手落ちの表現により、水没者と、ダムにより恩恵を受けるの者との間に距離感が生まれ、ダム建設の是非を問う中で、恩恵を受ける人々の発言の場を奪ってしまったとも思えるのです。

結果、「ダムに沈む」 と、いう報道は、治水や利水などダムの有用性を、広く一般の人が知り、考える機会を奪ってしまったのではないでしょうか。
 


蜂の巣城闘争の経緯をまとめた資料館は、沢山の桜の花に囲まれています。
今日の下筌ダムの湖畔は、静かで優しい時間が流れていました。

下筌ダム
★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム大分県 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2010/06/05 11:32 PM posted by: ふかちゃん
無念!
夏季制限水位の時じゃないと…。
下筌は夏に行きませう。
2010/06/06 2:35 AM posted by: のい
下筌ダムの銘板って、反対派の人が書いた字なんですよねえ…。
確かに対立はしたけれど、その過程で声を取り入れようという姿勢を象徴してるみたいで、いいなーと思ってました。
二項対立は確かに分かりやすいけど、枝葉がなくなると文脈がらっと変わるしで。

桜、きれいですね。
2010/06/06 9:52 PM posted by: あつだむ宣言!
こんばんわ。

ふかちゃん。
やっぱりそうでしたか、天端からは結構遠くですが松原ダムの湖畔に降りれそうな場所があったので、周辺をうろついてはみたのですが。

のいさん。
湖畔にある資料館ですが、じっくり見学するつもりで時間は確保してたのですが、移動日も含め遠征3日目の午後とあって、脳みそお疲れモードで、頭の中には入りませんでした。次に行く事が出来れば朝イチに行きます。

蜂の巣城闘争の資料館なのですが、ダムカードはこちらで頂けます。
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