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真川調整池

堤高19.1m
B/P 1929年 北陸電力

2009.9.19見学

真川調整池

1929年に竣工したバットレスダムであり、その姿を観るには険しい山道を徒歩で小一時間ほど登らねばならないと言う。

僕は山歩きや登山のスキルがまるで無く、真川調整池も幻のダムであったが、今回、敦賀市のダム愛好家 ひろ@氏が、真川へ行くと聞いたのでこれ幸いと計画に便乗させて頂いた。

ひろ@氏は、温泉をこよなく愛する山岳系エクストリームダムハンターで、この夏に愛好家なら誰もが驚愕する偉業を成し遂げた直後である。今回は次のターゲットに向け「ウォーミングアップ」として真川調整池へ登るという猛者なのである。
また、現地は熊のリビングルームと言われるほどの熊出没地帯であり、単独登山は危険であることから2人で登る事となった。

真川調整池までは、麓の水圧鉄管脇のパーキングから登山道が付けられている。この水圧鉄管のはるか先にサージタンクがあり、目指す真川バットレスへ繋がっている。
急坂の登山道がつづら折れに続くが、道が急な事を除き快適なハイキングルートである。
最初は楽しくダム談義でもしながら登ろうと言っていたが、直ぐに余裕がなくなり無言のまま黙々と登る。

眼前には立山駅からゆっくりと進むケーブルカーが見える。
残念ながらこの日は天候に恵まれず眺望は今一つであるとの事だが、今、ダムへ向かって一歩一歩進むごとに、幻のダムが現実味を帯びて行く感触が嬉しかった。

行程も中ほど迄進むと、サッと視界が開ける場所がある。
スキー場のゲレンデ脇の地点である。霧がどんどんと山頂へ昇ってゆく、秋の風と草の匂いが心地よい。

この先、水圧鉄管を横切り進むと、少しだけ道も穏やかとなり、2人並んで歩ける程の所もある。
足元に注意すると古い枕木が残る。ダム建設時の荷揚げ用の線路跡を歩いているのだ。真川バットレスの歴史の深さを感じる。

やがて息をあげ登る2人の右手から沢の音が聞こえる様になると、いよいよダムが近い知らせである。

その時は突然やってきた。
登山道を両側から覆う木々が途切れ、ゆるやかに左に曲がると、初めて目にするバットレス式のコンクリートダムが右手に姿を現わした。



鮮やかなグリーンの森の中に立つ、白い骨のような構造物。それは、僕が今まで観てきたダムとはまるで違う。
規則正しく扶壁と梁が連続する巨大な一枚の壁。予備知識無しには誰もこれがダムであると思い付きもしないだろう。

それに、想像していたよりもはるかに大きい。
森の中に佇む姿は、マンションの廃墟の様でもあり、未知の古代文明の遺跡のようでもある。

屈んで隈なく堤体を観察すると、バットレス(扶壁)に支えられる遮水部分の壁が見える。
バットレスダムは、湛える湖水自身の重さによって堤体を支持する独自の構造を持っている。

今現在でも建設が困難であろう山中に、昭和初期にこの様な建造物が築かれた事には驚くばかりであるが、調整池であるこのダムは複雑に張り巡らされた水路網のほんの一部にしか過ぎない。

竣工年からすると異様に白いコンクリートは、北陸電力の手により丁重に管理されている証。
表面にはコンクリートの補修と保護の手が行き届いており、登山を必要とする場所にありながら、古い施設を大切にされている事に驚きと共に頭が下がる思いである。

ダム右岸の手前のフェンスにより、これ以上堤体に近づく事は叶わなかったが、
魅力的なバットレスダムに出会う幸福な旅であった。

真川調整池
★★★★★

| あつだむ宣言!(清水篤) | ダム富山県 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
2009/12/22 7:41 AM posted by: 夜雀
おはようございます。

真川調整池ダム。
それは熊の影や謎の鳴き声が及ぼす恐怖感と延々と続く登り道がもたらす疲労との戦いの末にたどり着く立山の宝物。

あちこちのバットレス見てきましたが真川調整池ダムが一番好き♪

144面カットダイヤモンドではなく、ビスマスの結晶のような美しさなんですね。

ここ数日の雪ですっぽりこんもり雪のお布団にくるまっていることでしょう。

  夜雀 拝


2009/12/22 10:42 PM posted by: あつダム宣言!
こんばんわ。
お忙しい所、コメントありがとうございます。

日本に現存する全てのバットレスを制覇した夜雀さんが仰るのですから、真川の魅力は格別なんですよね、やっぱり。
ロケーションも最高ですから。

今は、三滝や恩原など、よくある普通の情景の中に、あのバットレスがあるってどんな感じかな〜と、空想にふけっております。
2012/07/25 12:57 PM posted by: zinzin
お久しぶりです

一、閲覧者として質問します
お教え下さいませ

アクセスは登山道のようですが、
たどり着く行程も真立のように立ち入り禁止ではないですよね?

今週末の計画に組み入れようか検討中です。
2012/07/25 5:46 PM posted by: あつだむ宣言!
zinzinさん、ご無沙汰です。

真川は北電さんの管理歩道を使いますが、一応フリーで入山出来ます。

電子国土にも歩道が記載されています。
既にチェック済と思いますが、夜雀さんのレポが詳しいですよね。
入山口さえ判れば、後は迷う事はないと思います。

現地は人間の数よりも確実に熊の頭数の方が多いエリアです。
zinzinさんなら大丈夫だと思いますが、熊対策だけは万全でお願いします。

くれぐれも気を付けて下さいね。
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