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周布川ダム

堤高58m
G/P 1961年 中国電力

2012.5.11見学

時代の徒花。


今回のダム巡りは深山溜池堰堤から、島根県西部を周っています。
島根県には、個人的にお気に入りの志津見ダムがあります。

全面越流で、なんと堤高が81mもある志津見ダム。
天端に管理橋や道路が無いこのタイプでは、突然変異とも思える超個性派です。

島根県のダムをいろいろと調べてみると、この志津見のルーツとも思えるダムの存在に気が付きました。それが浜田市にある周布川ダムです。

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どーん!と、いきなり下流面写真。

自由越流式のクレスト部、管理橋や道路はありません。
この潔い設計の周布川ダム、堤高は堂々たる58mもあるのです!。

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見事なまでにシンプルなクレスト部。
通常であればラジアルゲートが2〜3門付いていそうな規模ですが、全くの丸坊主。

可動ゲートが無いので、越流部を幅広く確保して、越流水深を浅くしています。
その結果、非越流部との高低差が少なく、堤高(非越流部の高さ)を低く抑えているのだと思います。

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特徴的なのはクレストだけではなく、下部のジャンプ台も見応え十分。
両岸部分の洗掘を抑える為、ジャンプ台の両端だけ上向きになっています。

シンプルな形状なので写真ではスケール感が湧きませんが、この部分だけでもかなり大きく迫力があります。

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ダムのすぐ下流に橋が架かっているので、下流面をじっくり観察する事が出来ます。
但し、この橋もダムの天端レベルにあるので、真下の河原まで60mほどあり、かなりの恐怖です。

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少し堤体に近寄ってみました。
中空重力式を思わせる直線的でシャープな造形です、実際、曲面は越流部分の丸みだけです。
クレストの高欄や手摺もシンプルで素気なく、ダム目的を調べなくても発電専用ダムと察しが付きます。

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周布川ダムの図面です。
確かに勾配が通常よりも急な印象です。

越流部も薄く、通常のダムと比べ尖がっている様です。

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越流部を望遠で。
人が降りれるように梯子が付いています・・・。
越流部の上にも、安全帯が掛けれるように金具が並んでいますが・・・。

これ、絶対怖いと思います。

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堤体の上流面は完全なる絶壁。
堤体には一切装飾が無く、極限までストイックなコンクリートの塊です。

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このシャープな印象は、やはりHG的、大森川ダムや穴内川ダムにも通じます。

対岸にはダム施設はもちろん、道路も何もありません。
それにより管理橋を省略した簡素な設計を実行できたのだと思います。
(対岸には堤体内の監査廊を通って行く事が出来ます)

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高度成長真っ盛りの1960年代、コンクリートダムは情緒的な一切の装飾を省き、絶対的な機能主義に向かって行きます。

広い越流部を持った自然越流のクレストゲート。
管理橋さえ省略したストイックな設計思想。
周布川ダムの独自のルックスは、そんな時代が産んだデザインと言えるのではないでしょうか。

あまりに禁欲的なコンクリートの壁は、結果、時代の徒花であったかもしれません。しかし、時代は巡り再び低コストが求められる時代がやって来ました。

周布川ダムの思想は50年の歳月を経て、新鋭の志津見ダムで大きな花を咲かせています。

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時代の徒花、半世紀を経て実る。

周布川ダム
★★★


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長見ダム

堤高20.2m
G/P 1961年 中国電力

2012.5.11見学

発電一筋、熟年男。


大長見ダムを観た後、下流2kmにある長見ダムを訪れました。
長見ダムは中国電力の発電用ダムです。

1961年竣工、大長見ダムの大先輩は堤高20.2mの小さな堤体です。

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道路がすぐ脇を通っているのですが、ダム付近はフェンスが張られています。
なんとも見学しずらいダムですが、チャラチャラしてないのも発電ダムのキャラクターです。

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仕方ないので手を伸ばしてフェンスの上から山勘撮影です。
(バリアングルモニターが欲しい・・・)

茶色味のあるコンクリートに、熟したコンクリートの色香を感じます。

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4門のラジアルゲートを支える頑丈そうなピア。
ざらざらしたその肌は、働き者の手のようです。

最近の若い者(多目的ダム)みたいな器用さはないけれど、発電一筋50年、一途で朴訥とした熟年ダム。

そんな長見ダムでした。

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長見ダム
★★

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大長見ダム

堤高71.5m
G/FNW 2003年 島根県営

2012.5.11見学


浜田ダムと別れ、山の奥へ車を進めます。
5〜6kmで大長見ダムに到着します、浜田ダムと近いのですが川筋は別の水系にあります。

2003年竣工で、まだまだ白い美白肌の大長見ダム、コンクリートの白さよりも驚いたのは丸くラウンドした上流面でした。

え?大長見ってアーチダムだっけ???

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取り急ぎ駐車場に車を停めます。
管理所脇の駐車場にはトイレや休憩スペースも完備、管理所1階は展示スペースもありますが後回しです。

どうなってるの大長見!!。

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おおおおおお!
めっちゃ美形やんけー!

アーチダムに見えた上流面の正体は、大きくカーブを描く右岸付近の姿でした。

ぐーっとカーブした右岸側、中心部から左岸はすっきりと直線の堤体が伸びています。大長見ダムは堤高71.5mの重力式コンクリートダム、堤頂長はなんと344mもあります。

展望スペースが近い事もあって、超広角でも全体が画角に収まりません!。

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車道の天端、アーチダムみたいな見事が曲線です。

普通、両岸が直線状に無い場合は、堤体にコーナーを付けるか、小さな円弧で曲げるかなのですが、それを大きな円弧としているのがこの大長見ダムのミソです。

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滑らかな白い肌。
いいですね、色っぽいです。

最近のダムは、曲線美を強調しようと意図して水平にラインを刻むデザインを見受けますが、あえてラインを入れずにスムーズな感じを出している大長見。

悪くないです、いや、むしろこの方が正解かも。
大長見はもち肌系の美人ダムです。

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カーブ部分を真上から見ると、まんま重力式アーチです。

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つるつるの下流面がとってもセクシー。
越流式のピアや、そこから連続してクレストの端まで付けられた柱状のデザインは、角の無い丸い形状で、その事も女性的に見える要因の気がします。

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下流の地形をぐるっと取り囲む感じで堤体がカーブしています。
地山を覆う植物のグリーンと、白いコンクリートのコントラストが見事です。

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天端には眺望スペースも備わっています。
こういった心配りもなんとなく女性的・・・。

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眺望スペースから見下ろすと、2門のオリフィスから転波越流中。
その下に減勢池に水没している切欠き形状も独特。

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人里離れた山の中といった場所にありますが、天端は地元のコミニュテイバスが往来していました。水も美しく両岸は緑に溢れた閑静な貯水池です。

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左岸からの堤体。
アーチダムですか?

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いえいえ、重力式ですよ。
曲線部分も美しいのですが、そこから繋がる直線部分もスッキリとして綺麗な堤体です。
クレストは自然越流の洪水吐が連続し、薄くシンプルな管理橋が軽快なイメージです。

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次にダムの下流側に回ってみました。
豊富なアングルが楽しめるのも嬉しいポイントです。

天地に薄い管理橋、角のない丸いピア、つるんとした下流面。ダムの表情としてはかなり個性的です。
重厚さよりも軽快感を意識した感じを受けますが、全体を通してシンプルな形なのでむしろ塊感があり芯の強さを感じます。

デザインして無さそうに見えて、実は隅から隅まで計算しているクレバーな造形です。オリフィスから流れ出る自然の水の広がりさえも、意図的にデザインされたものに見えて来ます。

(途中で骨材や配合が変った?堤体中ほどからコンクリートの色味が違って見えるのはご愛嬌)

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島根の山の中、なんだかダイヤの原石を発見した気分の大長見ダムです。

写真ではちゃんとその魅力を伝える事が出来たのか???です。
なので、ちょっと遠いですが是非とも実物を見て頂きたいお勧のダムでした。

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大長見ダム
★★★★

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浜田ダム

堤高58m
G/FP 1962年 島根県営

2012.5.11見学

さよならゲートたち。


太田市で深山溜池堰堤を探した後、日本海沿いに西へ浜田市にやって来ました。
県営の浜田ダムは、今現在は洪水調節に加え発電も行っている多目的ダムです。

今現在と付け加えたのは、現在1km下流に新しく第二浜田ダムが建設中であり、第二浜田の完成に伴い、洪水調節専用のダムとして再開発される事になっているからです。

従来は海に面した浜田市から真直ぐに川に沿って下流から訪問できましたが、第二浜田ダムの工事に伴い、大きく迂回してダム湖の上流から向かいます。
浜田ダムから下流の道は第二浜田ダムの水没範囲の為、現在付替え道路が建設中です。

貯水池からの浜田ダム。
手前は左岸にある発電所への取水口、浜田川発電所はダム水路式で、発電所は第二浜田ダムのダムサイトよりも下流にあります。
なので第二浜田ダムの影響は無いように思うのですが・・・?

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ダムサイトの看板です。
主に洪水調節を行うダムとして建設されました。

マニア的には、2門のコンジットゲートの装備に注目です。
先日の綾北ダムのレポートで、綾北ダムは日本で最初にコンジットゲートが付いたダムと紹介しましたが、浜田ダムはアーチ式の綾北ダムに続いて、次にコンジットが付いたダムなのではないかと思います。

つまり重力式ダムで最初のコンジットという事になります。

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クレストゲートはラジアル1門、その間から下を観るとコンジットゲートの建物の屋根が見えます。
その下の減勢工は小振りで、斜めに配置した副ダムが特徴的です。
河川が直下で左にカーブするので、水を左に飛ばす為に斜めになっているのかと想像。

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天端を歩いて右岸に来ました。
堤高58m、堤頂長184.3m、右岸寄りで大きくカーブした堤体は、少しだけ有峰の左岸側のカーブに似ています。

時々、第二浜田ダム関係の大型ダンプが地響きを立てて天端を通り過ぎて行きました。

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右岸の下流を少し歩いて、正面が良く見える所に来ました。

実直で真面目な雰囲気のクレストゲート。
第二浜田ダムの完成に伴う再開発で、クレストゲートは撤去され自然越流式の洪水吐に改められる事になっています。

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重力式ダムではお初ではないかと思われるコンジットゲート、高圧ラジアルが2門。

実は再開発によって、このコンジットゲートも撤去されてしまいます。
と、言うのも、下流に出来る第二浜田ダムの設計洪水位は、このゲート室の屋根辺りまで来てしまうのです。(第二浜田がサーチャージを超えると、浜田ダムの下部は水に没する)

再開発ではコンジットに代り、2門の自然調節のオリフィスゲートが新設されます。
再開発後の常時満水位が、現在のコースターゲートの高さと同じなので、コンジットゲートの穴を利用してオリフィスゲートが作られるようです。

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クレストゲート1門、シンメトリーにコンジット2門が作るゴールデントライアングル。この整った雄姿が見れるのもあと数年となりました。

由緒あるゲートたちが撤去されるのは少し寂しいのですが、第二浜田という頼もしい後輩とタッグを組んで、これからも浜田市を洪水からガッチリと守って行きます。

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さよならゲートたち、今迄ありがとう。

浜田ダム
★★★



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深山溜池堰堤

堤高15m
G/A 1943年 波根町土地改良区

2012.5.11見学

ちょっと不思議なコンクリートダム。


先日、養福寺堰堤の調べ物で購入した、
「日本の近代土木遺産 現存する重要な土木構造物2800選」
内容はホームページでも公開されているので、ネットで見る事も出来るのですが、思考が未だアナログなのか、買ったお金の分の元を取ろうと必死なのか(笑)、パソコンで見るよりも本の方が俄然じっくり読んでしまいます。

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この本の中に紹介されているダムで、気になる物件がありました。

島根県太田市 深山(溜池)堰堤
「農業用の練積形枠をもつ粗石Cダムとしては高い」
「コンクリート壁と玉石詰部分の2重構造」

堤高が15mあり、ダム便覧にもちゃんと掲載されているものの、位置未確認物件で写真もなく、またもや詳細不明のダムです。

うーん、コンクリート壁と玉石詰部分の2重構造とは???
よく解らないけど、練積形枠って事は、つまり石積なのか?

気になるう〜、でも島根かあ〜、遠いよなあ島根。

とか思いつつ、気が付いたら島根に飛んでいました(笑)

ダム便覧では位置未確認でしたが、電子国土で目星を付けた地点に到着。林道の入口からは車両進入禁止です。
幸運な事に、近くの水田で農作業中の地元の方に、堰堤の存在と道も教えていただきました。

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コンクリート舗装には、軽トラの走った跡がありますが地元の車だと思います。
時々倒木とかもあり、たしかに車で行くべき道ではありません。

しばらく坂道を登ると右に脇道があり、谷山池という堰堤がありますが、手前でゲート封鎖され見学する事は出来ません。
谷山池は目的の深山溜池よりも古い1930年代のコンクリート堰堤ですが、かなり小さな堰堤のようです。

谷山池の上流にあるのが深山溜池堰堤です。

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林道入口からおよそ1km弱、深山溜池に到着です。
深山溜池は地元の土地改良区が管理する、小振りな農業用ダムです。

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残念ながら天端は立入禁止。
両岸も急峻で、取り付く場所が全くありません。

立入禁止の文字の上に、昭和18年完工、昭和50年改修とあります。
戦争中に農業用ダムとしてコンクリートダムが造られていた事になり、少し意外な感じです。

昭和50年の改修は、天端の通路橋の追加等で、堤体そのものには手は加えられていないと思われます。(日本の近代土木遺産では昭和62年改修と記されています・・・)

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周囲には木々が茂り、ほとんどその姿を観る事は出来ません。
対岸に取水設備(斜樋管、スピンドル?)がある様です。

昭和50年(62年?)の改修以前は天端橋の無い坊主ダムだった事を考えると、対岸の取水設備もその時に改修され、場所が移動したのかもしてません。

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で、問題の「コンクリート壁と玉石詰部分の2重構造」、
なんとか堤体表面が見えないかフェンス越しに観察すると・・・。

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おおー!
堤体表面はやはり石張です!!。

あまり整形されていない野面石に近い石が、こってりとした練積で積まれています!。

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雑木林の隙間から、なんとか下流面が見える所を探しました。
常時越流しているのか、表面は苔と水草に覆われています(これはこれで凄い)。

苔に覆われた表面の凹凸は、確実に石積堰堤の表情です。
凹凸感や使われている石の雰囲気は、石川の中宮ダムに近い感じがします。

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今回の調査では、表面が石張という確認が出来ましたが、結局「コンクリート壁と玉石詰部分の2重構造」の意味は解らずじまいでした。

農業用ダムと言う事もあり、コンクリートの遮水壁を持つアースダムのイメージが頭から離れません。
建設が戦中だった事もあり、あまりコンクリートを使わない特殊な構造、建設方法が用いられたり、地元の住民でも施工可能な方法が試された可能性を感じます。

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結論として、謎の堰堤はやっぱり謎のままでしたが、とりあえず現地の座標をダム協会に報告して、位置確認をする事が出来ました(あつだむ史上、初の位置確認なのだ)

深山溜池堰堤
個人的には★★★
お勧め度は★(よく見えないので)

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浜原ダム

堤高19m
G/P 1953年 中国電力

2010.9.5見学


三瓶ダムを後に浜原ダムへ、国道から脇道に入り右岸下流から向かいます。
林が途切れ視界が開けると、遠くに浜原ダムが見えました。

でかい!

それが浜原ダムの第一印象でした。ここから堤体までまだ1.5kmほどあります。
堤高は19mしかありませんが、堤頂長は361.4mもあり、12門のローラーゲートが勇ましい姿。

こういった大河川形のダムは、市街地などに観られるタイプですが、浜原ダムは右岸に数軒民家があるだけの静かな山間にあって、その事も大きく見える要因なのかもしれません。



堤体右岸に到着。
右岸には記念碑や駐車場があります(写真のミニバンの場所以外に)。

いままで全国の色々なダムを観て来ましたが、バス釣りに出会うのは何故か近畿〜中国地方だけです。



天端の道路は重量規制があります。
デミオ号はなんら問題ありませんが、いつもの様に歩いて散策します。



浜原ダムの断面図。

堤体の越流部は低いのですが、ゲートピアがとても立派。
それに形状も複雑です。



男性的な力強いゲートピアを見上げます。
左右に鉄骨の補強が入る独特の形状は、遠くから浜原ダムを見た時に、よいアクセントになっています。



山林と朝の空を映す美しい湖面。
浜原ダムの貯水池は上下に長く、曲がりくねった形をしています。



左岸には12門のローラーゲートとは別に2門の排砂ゲートがあります。
左岸から1号排砂ゲート、2号排砂ゲートの順番。2号ゲートは維持放流を行うゲートとなっています。



さらに左岸端にある魚道も、維持放流設備を兼ねています。



左岸から天端とゲートピア。
東の山の尾根から朝日が射してきました。



朝日の匂いがします。
湖面に映えるゲートピアが神秘的。



左岸には発電所への取水設備があります。
またもやスクリーン裏から撮ってみたりして。



ステンレスの配線ダクトに朝日が反射して眩しく輝きました。

はっとするカッコよさ。

胸が躍る瞬間。



維持放流の飛沫は朝日に照らされ、ダイヤモンドダストのようにキラキラと舞い上がりました。

沢山シャッターを切った割りに、一枚もいい写真が撮れませんでしたが、僕の頭のCCDには鮮やかに焼きついています。



ずらり並ぶゲートピアの壁。
先端の形状は鋭く精悍で、軍艦の舳先をイメージさせます。



日の光に、ゲートの巻揚機を収める機械室も輝いて見えます。

上下に長く、蛇のような浜原ダムの貯水池。
浜原ダムは、頭部(ゲート、もしくはゲートピア)の数は違いますが、ヤマタノオロチを彷彿とさせます。



朝7時に到着して、気が付けば時計は9時30分を周っていました。
2時間半も、どこで如何していたのか、振り返ってみるとよく解らないほどあっと言う間でした。

今回のダム巡りのメインは、千本貯水池・三成・志津見、それとこの後に向かう広島の発電用ダムだったのですが、浜原ダムは予想外のダークホースでした。



浜原ダム
★★★★

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三瓶ダム

堤高54.5m
G/FNW 1996年 島根県営

2010.9.5見学


出雲大社近くの道の駅で車中泊をして、遠征2日目は県営の三瓶ダムからスタートです。出雲大社も石見銀山もスルー。またしてもダム100%の旅となりました。

早朝の三瓶ダムに到着、まだ朝日は射していません。



天端を左岸から。
駐車場は両岸にあったと思います。



左岸にある管理所。
ちょっと山小屋風の外観です。



複雑なコンクリートがカッコいいです。
クレストに越流吐を並べているダムは、フーチングの上に導流壁があるので、こんな風に導流壁が一直線に観えるのがいいですね。



右岸のフーチング。
こちらもごちゃごちゃしてて、鑑賞物としてよろしい。



右岸のリムトンネル上にレリーフ。

こういった装飾は、この時代のダムからの特徴ですね。
ダム本体は、無機質で、どちらかと言うと無個性なものが多いのですが、反面、こういった飾り物が増えました。

機能部分での効率化を推し進めると同時に、判り易く直接的な装飾で愛されるダムを目指し始めた時代なのかもしれません。



三瓶ダム
★★

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来島ダム

堤高63m
G/P 1956年 中国電力

2010.9.4見学


志津見ダムで太陽が西の山に隠れてしまいましたが、まだもう1基行けるっ!っと車を飛ばして上流にある来島ダムに向かいます。

国道184から脇道に入り、くねくねとした狭道の先に木島ダムが現れました。
左岸に管理所があり、ちゃんと見学用のパーキングもあります。

車から降りた途端、「しゅごーしゅごおーっ」っと、何処からか水音がします。
放流中かな?と、思ったのですが、その音は何故かすごく近くから聞こえます。



む、なんだこれ?

音はここから響いて来ます。

エアー抜き?。



んー。

解らん。



謎のラッパ管は正体不明ですが、とりあえず散策を始めます。

低い位置から結構な勢いの河川維持放流が行われています。
水が綺麗ですね。



またもや気になるものを発見。
今は使われていない遺構みたいです。



すごい階段!。



貯水池は複雑に入り組んだ形なので、天端から見える部分はほんの一部です。



発電用のダムですが、水位が低いです。

2006年7月、神戸川流域を豪雨が襲い、来島ダムの下流で大きな被害をもたらしました。
現在、下流には洪水調節を主目的とする志津見ダムが建設されつつありますが、木島ダムに於いても洪水期は通常よりも2m水位を下げるなどの運用が行われているそうです。



3門のラジアルゲート。
ゲートに直接、目盛が取り付けられています、角度ではなくてメートル表示の様です。



クレストゲートの下にも何かありますね。
河川維持放流の取水口でしょうか?。

ちょこちょこ気になる点が散らばる来島ダムです。



一度国道に戻り、集落の狭い道を下って行くと、堤体をほぼ正面から見る事が出来ます。
内側に倒れこんだ導流壁がいいですね、色っぽいです。



来島ダム
★★★

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志津見ダム

堤高85.5m
G/FNIP 2010年 国土交通省

2010.9.4見学


重力式コンクリートダムの格好良さって何だろう。

黒々とした肌、重厚で堂々とした堤体。
見上げればクレストには鋼鉄のゲートが牙を剥き大空に吠え掛かる。

たしかにクレストゲートを持つコンクリートダムはカッコいい。
でも、カッコいいのと、個人的に好きな物は必ずしも一致する訳ではない。

福井県 山原ダム


群馬県 小森ダム



京都府 由良川ダム



新潟県 黒又ダム



山形県 梵字川ダム



これら僕が個人的に偏愛して止まないダムたち。

「全面越流式」

クレストゲートを持たず天端通路さえ廃した「ストイックなコンクリートの壁」

コンクリートを愛でるのに余計な物は要らない。
いや、何も要素が無いからこそ、コンクリートは一枚岩のような塊感とマス感を持って観る者に迫ってくるのだ。(と、思う)

だから、僕は全面越流式が好きだ。

でも、一つ惜しむべき事がある。
全国には沢山の全面越流式のコンクリートダムが存在するのだが、基本的にこれら魅力的なダム達はどれも皆「背が低い」のである。

河川法のダムに満たないローダムのスタンダードな姿でもあり、晴れて15mを超え、立派にダムを名乗る堤体でも多くは堤高20m台。
まれにもっと背の高いものもあるが、それでもせいぜい40m級といったもので、クレストに鋼鉄のゲートを持った華のあるダムに比べて、どうしてもマイナーな存在である事は否めない。

以前、テレビ番組の出演依頼があった時、打合せの中でディレクターからこう聞かれた事がある。「もし、自分好みでダムを造るなら、どんなダムを造りたい?」
その時は、「琵琶湖の出口に巨大なダムを造って、琵琶湖を嵩上げしたい」と、適当に一般受けしそうな事を答えたが、僕の心中では密かにこう語っていた。

「全面越流式で、堤高100m」

そう、これが僕の考える、美しく、かつ重厚、何よりもコンクリートの魅力を余すところ無く鑑賞しうる究極のダムの姿である。
そして、今、そんな僕の理想とも言えるダムが産まれようとしている。

島根県 斐伊川水系神戸川 国交省が建設を進める 志津見ダムである。



氷河のような真っ白なコンクリートが傾いた日差しに輝く。

堤高85.5mは理想とする100mに僅かに及ばないが、今迄誰も見た事の無い風貌と共に、全面越流式の魅力を知らしめるには充分なインパクトである。



中央に2門の常用洪水吐。
堤体がシンプルな分、デフレクターのシャープさが際立って見える。



ユニークな形状の突起、エアー抜きのような穴も見える。
突起はこの穴に越流水が流れ込んだり、塞いだりしない為だろうか。



大きく丸められた天端下流面。

曲面の表情は有機的な優しい丸みではなく、無機質で冷たくクールな造形に感じるのは、志津見ダムが最新鋭のダムである証だろう。
それは、CADによる緻密な設計と、忠実に寸分の狂いも無く整形する高い技術が成し得る最新鋭のダムの表情ではないだろうか。



この丸い天端の上に橋脚を並べ、天端通路の橋を架ければ、よくある非常用洪水吐が並ぶコンクリートダムになるかと思えば少し違う様だ。

下流面を良く見ると通常のコンクリートダムと比較して明らかに勾配がきつい。
まるで石積堰堤を思わせる下流面の急勾配、特に天端のRエンドからの勾配はほぼ垂直と言えるほど切り立っている。

ダム本体に近づくに連れ、さらに今迄見た事のないものが見えてきた。

志津見ダムの最大の秘密は天端部分にある。



天端の頂上に幅広の溝。
実はこの志津見ダムは全面越流の非常用洪水吐でありながら、同時に天端に通路を持つ、今までにない画期的なコンセプトのダムなのである。

構造の簡素化、しいては建設コストの軽減というこの新方式は、サーチャージを越え水が越流する場合、直接天端通路の上を水が乗り越えて行くという、実に大胆な方式なのである。

真っ白なコンクリートの舗装。
いや、決して舗装ではない、これは露出した志津見ダムの肉であり、肌そのものである。
ひと塊の岩から削りだしたような彫刻的な天端通路は、従来のダムには無いソリッドな異空間である。



通路の下流端には側溝があり、グレーチングが敷かれているようだ。
越流後、天端に残った水の排水の用途だと思われる。

ひょっとして下流面の二つの穴は、天端の排水口かと思うが真相は不明。



高欄は水勢に耐えるべく、とても分厚く、そして低く見える。
試験湛水が完了し晴れて竣工を迎えても、天端は一般には開放されないと感じられた。



非常時には完全に流れに飲み込まれる天端。
対岸の右岸には道路が無いので、その前には必ず此方に戻っていないと、水位が下がるまで対岸で完全に孤立してしまう事になる。
但し、見たところ対岸には何も施設や設備が無いので、まずそんな事は起きないだろう。(ひょっとして右岸とは監査廊で通じているかもしれない)



広大な志津見ダムの貯水池。
ダムサイトから見える湖面は全体のほんの一部で、上下にとても長い貯水池である。

志津見ダムの目的はFNIPと多岐にわたるが、総貯水量の80%は洪水調節に当てられ、実質的に防災ダムと言えるものである。



あまりに個性的な堤体を観ているうちに、太陽は西の山に隠れてしまった。

垂直に切り立った正面。
2門の常用洪水吐は可動ゲートの無い自由越流式であるから、現在の水位から天端までが洪水調節量となる。
中程に見える四角い塊は河川維持などの放流設備だと思うが、洪水調節時には丸ごと水没してしまう事になる。



この志津見ダムを便覧で知ったのは丁度一年前の事だ。その時は、椅子から転げ落ちるほど驚愕し、そして興奮した。

さらには丁度試験湛水が始まっている事を知り、春には満水になり、やがて訪れる全面越流の瞬間を密かに楽しみにしていたのだが、冬季の降水量が予想を下回り、満水を待たず洪水期を迎える事から湛水試験は延期、それまで上げていた水位は再び常満まで下げられた。

つい先日の発表では、現在、来年春の満水に向けて再び水位を上げつつあるそうである。

堤高85.5mからの全面越流。
志津見ダムはどのようなパフォーマンスを魅せてくれるだろうか。



重力式コンクリートダムの未来形、そして我が心の星。

志津見ダム
★★★★

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神戸堰

神戸堰(旧堰) 高さ1.8m  長さ115.8m(川幅、堰自体はおよそ90m)
神戸堰(可動堰) 高さ3.05m  長さ198m

2010.9.4見学

神戸堰の歴史は古く、完成は1928年(通水した年、堰の完成は前年の1927年であるらしい)。
灌漑用の取水堰堤であった神戸堰は、他では類を見ないマルチプルアーチの堰堤で、流れ落ちる水も美しく、土木学会の日本の近代土木遺産にも選ばれていました

しかし、斐伊川神戸川治水事業に伴う新堰の建設に伴い撤去される事が決定。
土木学会と日ごろから神戸堰に親しんでこられた地元住民の強い要望もあり、新しく造られる新堰の下流に復元される事になりました。

これが新しく生まれ変わった神戸堰です



護岸され拡張された川幅一杯に連なる16連アーチ。
流れ落ちる水が涼しげな表情を見せています。

旧堰は高さ1.8m、ひとつのアーチの幅は9mほどでした。
新しく復元されたアーチはそれよりもひと回り短く、低く見えます、川幅が広げられた事による錯覚でしょうか?。

また、旧堰のアーチ数は竣工時8連、その後中程の2連に魚道を設置したのに伴い、右岸から2連、魚道、4連の連結となっていました。



アーチ状に切り取られた水面は、見る方向により表情を変えます。

多連アーチの形状は旧堰を受け継いでいますが、6連アーチから16連に大幅にアーチ数が増した事により、一つのアーチから落ちる水量は確実に減少していると考えられます。
それが神戸堰の持っていた流水の美しさや、迫力といったものにどう影響しているかは旧堰を見ていない僕には解りません。

ただ、土木学会の日本の近代土木遺産としては、復元として評価ランクはAからCに降格しています。



旧堰では川の中心にあった魚道は両岸に移動、新鋭の設備らしく魚道のタイプも複数設置され、さまざまな魚に遡上を促します。



復元された神戸堰の数十メートル上流に建設されたのが、現代の神戸堰の本体と言うべき可動堰と、神戸堰橋と名前が付けられた管理橋です。

可動堰は高さ3.05m、長さは198mほど。
4門の幅広の転倒ゲートを持ち、ゲートの機械部分には管理橋からアクセスする様になっています。
管理橋は新堰に伴い架けられたもので、元々この場所に橋はありませんでした。
管理橋の上は公道となっています。

管理橋の下面が緩いアーチになっているのは、旧堰へのオマージュでしょうか。



転倒ゲートのクローズアップ。

ゲートの上端面がチロル式のようなスクリーンになっていて、ゲート内部を水が通過する構造になっているようです。



管理橋の欄干、背景は上流になります。
奥に見える鉄橋はJR山陰本線神戸川橋梁です。

旧堰は、この神戸堰橋(可動堰)と鉄橋の間にありましたが、今年の1月に取り壊され、取り除かれています。

新しい神戸堰に伴う工事は、堰や管理棟は完成しており、現在は河川敷の整備工事が続けられていました。
地元の方の要望で、旧堰のアーチは1箇所だけ移設されているとの話もあるのですが、取り壊し前に下流の新しい多連アーチは既に完成していますので、取出された旧堰の移設先は解りませんでした。
いずれ案内看板などが設置され説明がなされると思いますが、モニュメントのような形で展示公開されるといいなと思いました。



かつての神戸堰は写真でしか知ることは出来ませんが、両岸は土や葦の土手が残る自然な姿だった事を思うと、現代の神戸堰は両岸をコンクリートの魚道に挟まれ少し窮屈そうに見えてしまいます。(川幅は倍近くに広がってるはずなのに)

それに、下流から多連アーチを観た場合、背後の可動堰と管理橋には目立たない配慮は感じるのですが、やはり巨大で、異物的な存在感がある事は否めないと感じました。



地元や流域の住民でない僕が、新しい神戸堰について結論じみた評価は慎むべきであり、また、僕が現地で観て感じた事は、景観に関する事だけで可動堰を含む新しい堰の役割の核心部分ではありません。
それに、現状はまだ周辺の環境が工事中の為、全ての工事が終われば受ける印象もまた違ったものになるでしょう。

多くの方々の要望により復元された神戸堰。
その要望に応えるものであるかは、全ての工事が終わった時点で、地元や流域の方々が結論を出して下さるのではと思います。



神戸堰
★★

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