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小匠ダム

堤高35.9m
G/F 1959年 和歌山県営

2012.4.1見学

サクラサク。


日本中のダムファンが奈良に集結した今年の春。
国交省の多目的ダム、大滝ダムが待ちに待ったサーチャージを達成したのです。

遅まきながら、僕も満水位3日目に見学に訪れました。
前日の伝説の暴風雨(笑)と一転して、穏やかな天候に恵まれました。

おめでとう大滝ダム。これからもよろしく!!。

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そんなお祝いムードの大滝ダムを後に、ちょっと寄り道をする事にしました。

和歌山県の山中、紀伊半島の南端にある小匠ダムです。
少し変わったダムとして有名ですが、実際に訪れるのは大変です。

関西圏のダムに精通するダム友に、大滝の後に小匠に行った事を話すと、
「あなた、あほですか?」と言われました。
実際、大滝ダムから延々一般道で3時間も掛かってようやく到着したので、あほかと言われればぐぅの音も出ません・・。(途中、池原ダムの傍を通るので、誘惑を断ち切るのも大変だった)

昨年9月に紀伊半島を襲った台風12号は、日本屈指の多雨地域で、日頃から防災意識が高く水害に強いとされたこの地域に於いても甚大な被害をもたらしました。
その真っ只中に、穴あき型の防災専用ダムがありました。それが小匠ダムです。

本来ならダムサイトまで車で行ける小匠ダムですが、下流800mで路肩と法面が崩落し、車両通行不能となっていました。
手前で車を停めて、徒歩で向かいます。

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道路の被災状況に少し不安になりましたが、ダムサイトで迎えてくれたのは、満開の桜でした。

ダム直下には沢山の桜が植樹され、桜の花は春の陽光の中に淡く輝いていました。
路肩の崩れた道を徒歩で来なければなりませんが、家族連れが花見を楽しんでいました。毎年、ここでお花見をするのを習慣にされているのかもしれません。

小匠ダムが地元の方々に愛されている事を感じて嬉しくなりました。

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桜の下を通って、小匠ダムと対面します。
午後の逆光の中、黒々とした厳つい壁が姿を見せました。

ダムサイトの護岸は至る所大きくえぐられ、台風12号の爪跡が深く刻まれています。
その向こうに、しっかりと大地に踏ん張り、堂々と胸を張って立っている小匠ダムがありました。

その姿に満開の桜が、文字通り花を添えています。

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防災専用ダムという先入観もあってか、小匠ダムの姿はとても重厚で頑丈そうに見えます。

実際、導流壁もゲート間のピアも、通常のコンクリートダムよりもかなり分厚く、肩にぐっと首を沈めたようなゲートピアは、アメフトの選手がセットポジションに着いた姿勢にも似て、内に秘めた力強さを感じます。

少し奥まった所にある2門のローラーゲート、少しだけゲートが開けられています。
通常の洪水の場合、この洪水吐ゲートの水位まで洪水を貯留して、下流河川の水位低下を行うのかと思います。

ローラーゲート上にも四角い穴が開いていて、ここは防災ダムとして最後の最後でしか水が出ない、正に非常用の洪水吐だと思われます。

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堤体の下部には大きく空いた丸い二つの穴。

手前の左岸側の穴には魚道も付いています。
普段水を貯めない、穴あきダムの貯水池の水面は、この穴の高さにあります。

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桜の中をもう少し堤体に近づいてみます。
実は小匠ダムにはもう一つ、とても変わった穴があいているのです。

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それは堤体の真下。
なんとダム本体をトンネルが貫いているのです。

通常のダムでは有り得ない場所に、有り得ない穴が空いてます。
入口には小匠防災堰堤のプレート。

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トンネルに入ってみました。
軽自動車なら通れそうな広さがあります。

完成から50年以上経っている小匠ダムですが、トンネル内部の表面は型枠の跡もくっきりと残っていて、とても綺麗に見えました。

今、ダムの体内に居ると思うと、少し不思議な感じです。

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トンネルを抜けると、まだ先に道が続いていました。
通常の貯水ダムであれば、湖底であるはずの場所です。

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振り返って小匠ダムの上流面。
トンネルを締め切るスライドゲートです。
洪水調節時にはゲートが降ろされ、洪水を受け止めるのです。

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トンネルを抜けて度肝を抜かれたのが、上流面の姿でした!。

うっわー、めちゃめちゃかっこいいぞおー!!!!。

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乾いたコンクリートと枯れた苔。
複雑な表情のゲート部分。

手前がローラーゲートのピア、向こう側は、堤体下部の丸い穴のゲートピアだと思います。

見慣れない巨大建造物の姿は、どこか工場のプラントのイメージも匂わせます。

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岩の様な重厚感。

小匠ダムは戦う為だけに産まれた、生粋のファイターです。

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甚大な被害をもたらした台風12号に対して、全力で戦った小匠ダム。
紀伊半島の南端、未だ傷の癒えないダムサイトにそのダムはありました。

春は必ずやって来る、誰の所にも必ず。

満開の桜と、誇らしげな小匠ダムの姿がそう言ってるようで、胸が熱くなりました

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小匠ダム
★★★★★

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二川ダム

堤高67.4m
G/FP(FNP?) 1966年 和歌山県営

2011.3.26見学


本日のダム巡り、3基目も和歌山県営の多目的ダムである二川ダムです。
右岸に用意されたパーキングより。

手前の大きな取水塔は発電用の取水設備、発電は関西電力によって行われています
ダム本体にも取水設備がありますが、こちらは河川維持用で最近になって設置されたものではないかと思います。
(ダム便覧によると、平成10年に既設ダム堤体に穴を開け設置とあります)

ダム便覧ではダム目的はFPとなっていますが、現在はFNPとなるのかも。



あぶない!

ここまで切実なイラストも珍しいです。
勿論、ダムサイトはぐるっと柵や手摺に囲まれていますからこんな危険な事は起こりません。



天端を歩きます。
クレストの中央で軽くクランクした天端通路。
装飾的な要素もなく、シンプルで実直な雰囲気です。



クレストの非常用洪水吐は、2門のラジアルゲートが間隔を開けて2門。
右岸寄りのゲートの上から下流を覗きます。

河川維持のバルブから減勢池に向けて放流中。



クレストの左岸端は軽くカーブが付いていました。
左岸を登ると展望台があるみたいですが、道が多少バイオレンスだったのでここまでとしました。



再び右岸に戻ってきました。
ダム中央部、クレストから下流にかけて非常に複雑な表情をしています。



二川ダムのゲート配置です。
このダムで特徴的なのは、クレストの非常用洪水吐の他に、すぐ下にある2門のオリフィスにもラジアルゲートが採用されている事です。

クレストゲート(非常用洪水吐)
W11.9m×H10.885m  57.1t ×2門

オリフィスゲート(常用洪水吐)
W8.6m×H8.0m  67.3t ×2門

オリフィスの方が一回りサイズは小さいのに扉体重量は重いのですね。
水圧に耐えるべく構造が違ったりするのでしょうか?。(また疑問が増えました)



これら4門のゲートによって、二川ダムの複雑でメカニカルな表情が出来上がっていると言う訳です。



オリフィスが構造上奥行きのあるラジアルゲートなので、そこから下流にかけての丸くボリュームのある下流面も鑑賞のポイントと言えそうです。



ダム真下への道は現在は行く事が出来ないみたいですが、下流にダムがよく見える橋が架かっているのもうれしいポイントです。

和歌山の県営ダムって、なかなかどうして男前揃いですね。
ちょっとだけ遠いけど、その価値は有りとみました。是非。



二川ダム
★★★

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広川ダム

堤高53.5m
G/FN 1974年 和歌山県営

2011.3.26見学


椿山ダムの後は、同じ和歌山県営の広川ダムにやって来ました。
洪水調節と河川維持を目的としたコンクリートダムです。



クレストに2門のラジアルゲート。
ややクラシックなスタイルの取水設備も見えます。



右岸の道路脇に管理所があります。
新旧二棟の管理所は、渡り廊下で結ばれていて、ダムの天端はその下を潜った先から真っ直ぐ伸びています。



天端の端に、車両通行止めの看板と、厳重なバリケード。
バリゲードは人が通れるように置いてあったので、徒歩で入る分には問題なさそうです。
ダムを渡った左岸が行き止まりで、車がUターンできるスペースも無く、不意に車が進入しないよう規制しているみたいです。



低く構えたラジアルゲートから下流を見ます。
右にカーブした下流の河川、減勢池も大きく右に曲がっています。



ダム下の左岸を見ると大きなバルブに目が止まりました。

あ、これ見たことあるぞ。

一目でピンと来ました。

伝説のダムマニア、灰さんのDVD 「放流 ザ・ダム」で、豪快な放流を魅せていたバルブではないかと思います。



天端の散策の後は、いつもの様にダムの真下に向かいます。

車で集落を抜けてダム直下を目指します。
途中で「この先行き止まり」の注意看板。きっとUターンする場所があるだろうと気にせず進んだのですが、ダム手前で本当に行き止まりとなっていました。

デミオ号できりぎり切り返して戻る事が出来ましたが、4mを超える車は無理かもしれません。
そんな具合で停めておく路肩も無いので、手前の民家のある辺りに駐車して徒歩で向かうのが良いと思います(歩いて2~300mほどです)



結局、遠くに車を置いて歩いて戻ってきました。
行き止まりから歩道橋を渡ると、ダム直下は公園になっていました。

周囲の木々は桜のようです。
開花はまだ先のようで蕾の状態でしたが、早くも提灯なんかが用意されていたと思います。

見上げる広川ダム。
胸板の厚い堂々とした佇まいです。



公園の端には祠がありました。
「水山明神」
水の神様でしょうか?。



先ほど天端から見ていたホロージェットバルブです。

バルブの置かれた下流左岸は、ゲートで封鎖され近くで見る事は出来ません。
右岸の公園から、フェンス越しで観ます(しかも身長が足らずよく見えない・・)

常用洪水吐として使われるこのバルブは、大迫力の直径2mです。
広川ダムは、他に利水用に500mのホロージェットも持っています。



ダム下の小さな公園ですが、桜の咲く頃には地元の方々が花見に訪れて、愛されているダムなのではないかと感じます。

広川ダムは趣のある良いダムでした。

広川ダム
★★★

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椿山ダム

堤高56.5m
G/FNP 1988年 和歌山県営

2011.3.26見学

和歌山のマタドール。


3月も終わりになって、ようやく本年度最初ののダム(新規物件)見学です。
やって来たのは和歌山県の椿山ダムです。

実は他の地方のダムを予定していたのですが、10時間ほど前、ダム便覧で偶然見たこのダムの写真に一目ぼれしてしまい、急遽予定を変更したのでした。

地図では近いけど、実際に行ってみると意外と遠い和歌山県。
関東のマニアにとって、最後に残ってしまう土地柄と言うのも頷けます。
(僕にとっては千葉県かな)

下流左岸に工場があり、その付近から正面を狙います。



椿山ダムの何処に一目ぼれしたかと言うと、この特徴的な凹凸した厳つい下流面。
クレストゲートを支える扶壁が導流壁のように下まで伸び、互い違いに配置したコンジットゲートのデフレクターを兼ねています。

それに、なんと言ってもこの真っ赤に塗装されたクレストゲート!。

真紅のゲートが闘牛士が持つ赤い布なら、椿山ダムはマタドール。
そして、高速飛ばしてやって来た僕は、牛って事になるのかな?。



ダムサイト左岸に来ました。
管理所近くから見た椿山ダムの正面。
なかなか端正な姿です。



パーキングは両岸に用意され、天端は車道となっています。
左岸から天端を歩きます。

椿山ダムは洪水調節や発電等を目的とした多目的ダムです。



クレストを彩る6門のラジアルゲート。
情熱的な燃えるような赤色。ラテン系ですね。

「カッコイイとはこういう事さ」

このゲートを見れば、ポルコ・ロッソも渋い声でそう言うはずです。



クレストゲートの銘板です。
動力源はモーターの他にエンジンも持っているみたいです。

ハイブリットか??
(いやいや、エンジンはバックアップですよね)



お隣の奈良南部のダム湖を思わせる、蛇のように長く蛇行したダム湖。

湖畔には日本一やまびこがよく響く「ヤッホーポイント」があり、やまびこ大会などのイベントもあるみたいです。



堂々とした堤体の下は、これまた大きな減勢池が広がっています。

地図で椿山ダムを見ると、やたらと四角い池のように描かれています。
最初、椿山ダムの湖は水槽のように四角い形なのかと思っていましたが、現地に来てみて、それはこの減勢池であった事が分かりました。
椿山ダムは、何故かどの地図を見てもダム湖に水が無く、この減勢池だけが描かれているのです。

大きな減勢池に合わせて、副ダムも二段式です。



右岸に来ました。
かあっ~こいいんだなぁ。



ラテン系の真っ赤なゲート、複雑な下流面。
実に男前の椿山ダムなのでした。



椿山ダム
★★★★

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殿山ダム

堤高64.5m
A/P 1957年 関西電力

2010.4.3見学

日本初のドーム型アーチダム。
それが和歌山にある関西電力 殿山ダムです。

ダム下流には、ウッドデッキの展望台があります。
電力会社のダムで、見学者用のダム展望スペースが設けられているのは少し珍しい気がします。
切り立った谷底にある殿山ダムは、天端はおろか、ダムサイトも一般の人は近付く事も出来ません。ダムの職員でさえ、ダム本体には専用のインクラインで向かうという険しい立地なのです。

この展望台はそんな殿山ダムを少しでも観てもらえる様にと、関西電力さんの心配りだと思います。

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展望台からの殿山ダム。

山深い谷底に潜むアーチ。山肌は深い緑に覆われていますが、打って変わって河原は険しい岩盤があらわになっています。

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6門のクレストゲート(ゲート形式は・・?)
その下に下流面に張り付く様にオリフィスゲートが同じく6門並んで配置されています。

この距離からでは詳細をうかがい知る事はできませんが、マットブラックと暗い赤色に塗装された金属パーツが、独自のオーラを放っています。

クレストに並ぶ薄いグレーの巻揚機は、クレストゲートではなく、どうもオリフィスゲートを吊るすワイヤーを巻揚げるように見えます。
通常のアーチダムのコースターゲートを下流面に吊るした感じでしょうか?。

6門のオリフィスゲートは、少しづつ仕様が異なっているようにも見えます。
また、その直下にキャットウォークがありますが、ちょっと心配になってしまう位置ですね。

見れば見るほど 謎・謎・謎の殿山ダム。

アーチダムの施工実績が少なく、しかも初のドーム型である殿山ダムです。
それで、この凝り様は突然変異のレベルかも。

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展望台から山道を登り、ダム本体の右岸辺りまで来ると、峠の頂上といった場所に関電の建物と堤体への唯一の交通手段であるインクラインがあります。

普段は人の居ない場所ですが、この日はたまたま工事用の資材や部品の荷降ろし作業の真っ最中でした。

現場の方に近くでの写真撮影をお願いしたのですが、関係者以外立入禁止という事でした。仕方ありません。それでも、作業風景の撮影は快く承諾して下さいました。

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モーターと減速機らしき部品が降ろされて行く所です。
慎重に慎重に・・・。

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インクラインがダム本体までの唯一の運搬手段ですので、工事用の資材も、交換用の部品もインクラインに載せれる事が必須条件となってしまうと思います。

設計段階から殿山スペシャルのパーツなのでしょうか。大変です。

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インクラインの付近から見る殿山ダムの貯水池は、ずーっと下の方に見えます。
複雑な形状の貯水池は、ここから見える場所はほんの一部にしか過ぎません。

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再び、ウッドデッキに戻ってきました。
こちらを睨んでいるかのような殿山の表情。

急にガンダムに出て来たゾックを思い出しましたが、何故そう思ったのかは解りません。
殿山ダムはゾックの何倍もカッコ良い銘堤です。

結局、紀伊半島南部を東から西へ横断する事になった今日のダム巡り。
殿山ダムを後に、阪和道のインターからカーナビで検索した自宅までの距離に倒れそうになったのは言うまでもありません。

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殿山ダム
★★★★


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