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舟川ダム

堤高49.8m
G/FNS 2012年 富山県営

2013.5.25見学


5月の終わり、初めて円筒分水を観に行きました。
意外かもしれませんが、今までダムにしか興味の対象がなく、訪問先に円筒分水があってもずっとスルーしていたのです。

富山県 片貝川の円筒分水です。
円筒分水観賞の第一人者である、おざすきぃ氏によれば、日本一美しい円筒分水であるそうです。

こ、これはたしかに素晴らしい!
しかし、いきなりしょっぱなからこれを観てしまって大丈夫なのか、俺。
そんな事を思いつつ、気が付けば1時間以上、ざわざわと流れ落ちる水を眺めたり、中心から湧き上がる水に心奪われている自分がいました。

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円筒分水を堪能してやって来たのは、昨年完成したばかりの舟川ダムです。
豊かな緑あふれる山の中、真新しい真っ白な堤体が輝いています。

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どうですかこの白さ!
洗濯洗剤のCMのオファーが来てもおかしくない、まさに眩い白さです。

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水平に刻まれるラインが直線基調の造形を際立たせ、白いコンクリートと相まって清々しい表情を感じさせます。
リズム感のあるフーチングも、フーチングファンにはたまりません!。

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車道のある左岸にパーキング、ダム碑などなど。
一番奥の四角い建物が管理所です。

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堤体の端っこにも四角いブロック。
監査廊の入口でしょうか?ちょっと面白い形です。

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小振りな貯水池。
防災ダムとして洪水を調節するほか、富山らしく消流雪に水が使われます。

左岸のダムの為の新しい道路は、山林を削るのではなく、盛り立ててダム湖ぎりぎりに道が造られています。
この方が地山を削る事なく出来るので環境負荷が少ないのです。
盛り立ての土も、建設残土が使われたのかもしれません。

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開放されている天端から下流側。
蛇行した川に合わせて、減勢工も軽く曲っています。
普通なら、下流の河川に手を入れ、ストレートに減勢工を伸ばしたい所ですが、ここも少しでも自然の地形を変えないように苦心した印象を受けました。

全体として、元々の地形への負荷を最小限に抑えて建設されたダムのように感じます。

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そしてこの真っ白な堤体。
年季の入った黒々としたダムも良いですが、触ってみると手が白くなる程の新品も、なかなか魅力あるものです。

舟川ダム?いつ行くの!
今でしょ!!

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舟川ダム
★★★

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五位ダム

堤高57m
R/A 1992年 北陸農政局

2012.10.20見学


小撫川ダムから東に5km、五位ダムは北陸農政局の灌漑用のダムです。
客土で覆われた表面は青く草が茂り、大きな大きなアースダムの風情で出迎えてくれました。

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中心にはトピアリー(?)、草の刈り方(?)で、何かのマークが作られています。

少し肌寒い10月後半の訪問だったので、もっといい季節ならはっきりとした模様が浮かび上がっているのかもしれません。

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天端の高さまで来ました。
管理所の前に駐車スペースはあるものの、天端は立入禁止のようです。

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管理所近くの案内看板。
「夢の水五位ダム」
いいですね〜。水って大切。
ダムが無く、水不足に悩まされた時代からすると、夢と言うのもオーバーな表現ではないのかもしれません。

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すごく巨大なアースダム、いやいやロックフィル。
もしこの高さでアースから、大久保山の55.8mを超え、清願寺に次ぐ日本2位のビッグアースって事になります。

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ここから先は入ってはいけません。

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立入禁止のロープ手前から貯水池、3つに枝分かれして奥行きのある大きな貯水池です。

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対岸に長く大きな洪水吐が夕日に照らされていました。

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天端に入れず、越流部は見えませんが、吐のスロープ下は行けるようなので移動します。
堤体の下流に謎の建物がぽつぽつと・・・。

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ダム下流より右岸の洪水吐。
大きな空の下、ゆったりおおらかな五位ダムでした。

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五位ダム
★★★




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子撫川ダム

堤高45m
R/FNW 1978年 富山県営

2012.10.20見学


臼中ダムを訪問した後、刀利ダムに立ち寄って、午後からは少し移動して子撫川ダムに来ました。
能登半島の根元辺り、石川県との県境近くにある富山県営のロックフィルです。

ダムサイトに裸婦のブロンズ像。
周辺にはこういったブロンズ像が沢山展示されているそうですが、なぜか僕はこの一体しか見つける事が出来ませんでした。

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右岸のパーキングに駐車して徒歩で天端散策。

堤高45m、堤頂長224m
コンクリートブロックの柵が点々と天端に並びます。

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堤体の大きさは中規模といったサイズなのですが、九頭竜をイメージさせる黒くてゴツゴツしたリップラップが、実際の数値以上のスケールを感じさせます。

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右岸にある洪水吐のスロープの壁に小窓が見えます。
こんなディティールの九頭竜的・・・。

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洪水吐や管理所は左岸に集中しています。
てくてく歩いて行くと、なんか、得体の知れないモノが見えて来ました。

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な、なんでしょかこれは!!
形状も魔可不思議ですが、大きさもかなりの物です。
形自体にインパクトがあるので、普通に撮影しただけでも面白さがあります。

なんとなく、ツノを出したウミウシにも見えます・・・
(そう思うと、可愛くも見えて来るから不思議)

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ダム好きならみなさんお解りですね。
かなり変わった形状ですが、自然越流式の洪水吐です。

こんな感じで平面形は貯水池に突き出した形になっています。
越流部分が帽子の鍔のように少しオーバーハングしていて、吐の中心に滝のように流れ落ちる形になっています。

頂上に並ぶ「ツノ」は、滝裏が負圧になり、騒音や振動が発生しないように、あえて滝を切り、空気を入れる隙間を作る役目ではないかと思います。(いわゆるスポイラーですが、これほど大きな物は珍しいと思います)

青土ダムなどの半円形の吐に形状は近いですが、半円よりも越流長が長く必要で、滝壺部分が極端に狭いレイアウトの為、このようになったと勝手に推測。

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ウミウシくんを反対側から、こちらの下部は湖水に没しています。
この面白い洪水吐ばかりに注目してしまいますが、すぐ隣に2門のラジアルゲートも持っています。

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これらゲート付近の天端の様子です。
ごちゃごちゃと設備が集まり、小型の重力式コンクリートダムのような感じ。管理所はこの先の岸辺にあります。

設備が密集して、非常用洪水吐もコンパクトにする必要があったので、あのような面白い形になったのかなと思います。

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傾いた日差しを受ける2門のラジアルゲート。
扉体は見えませんが小さくないです。立派なゲート。

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そこから伸びるスロープも迫力あります。

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日差しがスロープ下の減勢池に反射して、コンクリートの壁をキラキラと照らしていました。
凄く綺麗だったのですが、なかなかその美しさを写真に収める事は出来ませんでした。

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面白い洪水吐を持ったロックフィル。
普段、コンクリートダムをメインに訪問していますが、フィルダムも侮れないなーと、感じた小撫川ダムでした。

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小撫川ダム
★★★


おまけ。
小撫川ダム上流は「宮島峡」という有名な景勝地だそうです。

ぱっと見、ダムマニア界の某重鎮氏に見えませんか?

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臼中ダム

堤高68.9m
R/FA 1993年 富山県営

2012.10.20見学


富山県の臼中ダムにやってきました。
東海北陸自動車道の福光インターからも程近く、アクセス良好なダムなのですが、前回(2008年)に向かった時は夏の集中豪雨によりダムへの道が被災していた為、今まで未踏となっていました。

堤高68.9m、堤頂長238m。
臼中ダムは洪水調節と農業用水を供給する富山県営の多目的ダムです。

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綺麗に整形されたリップラップ。

右岸の道路は時折大型ダンプが行き来していました。
刀利ダムのすぐ下にある太美ダムの堆砂がダンプで運び出されているようです(上流に残土処理場がある?)

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この臼中ダムの一番の特徴は洪水吐の形状です。
自然越流の洪水吐が右岸にあるのですが、こんな感じで途中に島があります。

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島の上には何やらモニュメント。
あの上にどうやって行くかは謎です。

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時刻を示す日時計と、影で季節を示す重力石なるものが立ててあります。

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綺麗なリップラップ、特徴的な洪水吐。
なかなか見所のある臼中ダムですが、アバットメントの枠工なんかもいい感じでした。

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臼中ダム
★★★



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小屋平ダム

堤高54.5m
G/P 1936年 関西電力

2011.9.11見学

名堤のオーラ。


黒部渓谷鉄道に乗って、黒部川を遡る今日のダム巡り。
関西電力出し平ダムの後は、その上流の小屋平ダムに向かいます。

出し平ダムを過ぎた辺りから渓谷はより深くなり、目前にはあり得ない高さの岩の壁が迫ってきます。
日本にこんな絶景があったのか!壮大なスケールの黒部の自然には驚かされます。



トロッコはガタガタ、ギーギー音を立て、猫又駅の近くまで来ました。
黒部川を挟んだ対岸に立派なコンクリートの建築物が見えて来ました。

戦前の名建築として有名な黒部川第二発電所です。
建築家は山口文象。日本建築史でも重要な位置づけにある近代土木遺産です。



黒部川をまたいで発電所へ向かう赤い橋(目黒橋)。
鉄骨の形状が特徴的なこの橋は、発電所と同じく山口文象の手によるものです。
山口文象は、この黒部川の電源開発に携わる以前は、関東大震災における復興局の橋梁課の技師でもあったので、橋については専門家でもありました。
但し、復興局で手掛けた装飾性豊かな橋と異なり、それまでとは異なる趣を持ったものです。



凛とした佇まいを魅せる黒部川第二発電所。

山口文象は、この発電所を手掛ける直前にドイツに留学し、国際建築様式(一切の装飾を取り払い、機能に素直であり構成の美しさを目指す建築様式)という、当時最先端であったデザイン手法を持ち込みました。

構造を優れたプロポーションで表現した端正な外観。
既に完成から80年近い年月が経っていますが、まるで古臭さを感じません。

この黒部第二発電所で凄いのは、一見して冷たい印象の建築物であるのに、周囲に広がる黒部峡谷の大自然と不思議なバランス感覚で、違和感を全く感じない点です。
これは、決して、自然の環境と調和しているという事では無い様です。

本物の大自然の迫力溢れる黒部渓谷の絶景と、
本物の美しさを持つ建造物とが、真正面からぶつかりあってお互いを高め合いながらバランスを取っている様に見えるのです。
この発電所を眺めながら感じる軽い緊張感は、たぶんそんな事が影響しているのではと感じます。

そして、この発電所へ水を送っているのが次のターゲットである小屋平ダムです。



黒部川第二発電所のすぐ近くにある猫又駅辺りから対岸を観ると、山の中にコンクリートの構造物が見えます。
洪水吐のスロープを思わせる形状なのですが、用途は不明。

山の上には発電所の水圧鉄管などがあるので、自然の沢が浸食して発電所関連の設備に影響が無い様に、コンクリートで改良されているのかも(空想に近い想像)



がががががーぎぎぎぎー。
小さなトロッコの車両は、これまた小さな、すれすれで通過できるだけのトンネルを何本も抜けて行きます。

手を出せば壁に触れるほどの距離。
黒部のトロッコの客車には、他にもちゃんと窓がある客車もあります。

いつもと違い、交通機関を使った今日のダム巡りは遠足気分です。
コンビニで買って来た味付き煮卵の汁が飛び散って、他のお客さんのシートを汚す事件も発生。首に掛けていたK-5もしょう油まみれに・・・。

でも大丈夫、防塵防滴構造だから。(ペンタックスのエンジニアさん、ごめんなさい)



さらにどんどん山の表情が険しくなってきました。

ここまでトロッコは黒部川の右岸を走ってきましたが、釣鐘駅の手前で鉄橋を渡り左岸を走ります。

そろそろ見えて来るはずです・・・。



いくつかトンネルを抜けると、険しい両岸の山間が少しだけ広い場所に出ました。

見えたっ!!



間違いありません、関西電力 小屋平ダムです!。



トロッコはスピードを落とす訳でもなく、ダムの前を走り続けます。
富山出身という室井滋さんの声で、ダム紹介のアナウンスが放送されました。

無骨とも感じる重厚なゲートピア。
冬季は雪に鎖される厳しい場所なので、太く見える管理橋は内部に冬季用の通路があるのではないかと思います。

ゲート型式も他では見た事のない特徴的なものです。
シェル構造のローラーゲートで、斜めに引き上げる方式。



この特徴的なデザインは黒部川第二発電所と同じく、山口文象の手によって設計されました。

走るトロッコからその全容を観る事は出来ませんが、水芭蕉の花のような美しい下流面を持っています。
先日、ダム便覧のダム百選で、「デザインの良いダム」の投票があったので、「美しい有機的なデザイン」として1票投じたのですが、その後の調査で、どうもそれは僕の見当違いであった事が解ってきました。

山口文象はドイツ留学の際、流砂とダムの形態についても修得していて、その結果として設計されたはずの小屋平ダムの形状は、単なる意匠デザインではなく、水の流れを計算した、「機能そのもの」なのではないかと思えてきたのです。

また、山口文象直筆のデザインスケッチを観ると、実物よりもシャープな印象が強く、特にゲートピアと管理橋の部分は航空機の尾翼を思わせるメカニカルなデザインで描かれています。



と、言うような、長い説明は帰宅してから考えた事。
トロッコ上の現地では、とにかく写真を撮るだけで精一杯(汗)

「あ、脇の下に何かあるっ!?」

ピアから連続する導流壁の外側に窓が確認できました。



ダムの真正面は小屋平駅となっています。
ネットで観れる小屋平ダムの写真はこのカットが多いので、てっきり駅で一旦停車するものとばかり思っていました。

が、無情にもそのまま通過。

わー、聞いてないよーっ。

この駅で止まるのは、関電さんの管理用列車と、すれ違い待ちの回送列車だけで、一般の観光列車はノンストップで通過です。



めげずに、煮卵くさいカメラでひたすら写真を撮ります。
(ファインダー越しじゃなくて、肉眼でも観たいよう)

さっきの脇の下の小窓、その下は導流壁伝いに吐のようになっています。
排砂ゲートか何かを隠し持ってるみたいです。
(発電所への取水は左岸なので排砂なのか不明、左岸にも別に違う構造の放流設備を隠している様です)



走るトロッコからは、クレストの周辺しか見る事が出来ませんが、実は堤高は54.5mもあります。

現代の感覚だとコンクリートダムで50mは特別高いダムではありませんが、この小屋平ダムの完成は1936年で、戦前(〜1941年)では8番目に高く、(帝釈川より低く、大井よりも少し高い)、当時としては大規模なダムであったと言えます。



うわーっ、木ーじゃまーっ。

でもまだまだ見えてるっ。



ぐわーっ。もうダメーーーーー。

小屋平ダムとの面会は、20〜30秒くらいで終了。
がくっと椅子に座り、久しぶりの呼吸。(しばらく息をするのを忘れてた)

ばさばさばさっ。と、線路脇の立木が列車の後ろに飛んでいきます。

ああ、僕の小屋平は終わったか・・・・。そんな事を思いかけた次の瞬間!!。



な!なんだこりゃーーーーーーーー!!



前触れなく目の前を通過した謎の建物。

心臓ばくばく。

事前に写真で知っていたダム本体よりもインパクト大。

これは発電所への制水門を覆っている建物との事です(車内アナウンスより)。



急流河川である黒部の水は、相当量の砂が混じる為、ダムサイトに沈砂池が作られ、発電所へ送水する前に砂が排除される仕組みとなっています。

扇型をした制水門の建屋がさらにもう一棟。
こちらは上流側なので沈砂池への入口にあたる門だと思います。沈砂池自体は雪対策かコンクリート舗装に覆われ地上からは見えません。

制水門の建物が何故この様な形であるかは不明ですが、国際建築様式の黒部川第二発電所とは対照的な違うデザインアプローチが試みられた様です。

忘れてしまいそうなので何度も繰り返しますが、これらの建物は全て戦前の建築です(!)。



上流の制水門の向こうにダム本体のピアが見えて来ました。

衛星写真で確認すると、ダム本体左岸に円弧を描く様に取水口があるようです。
特徴的な制水門の建屋は、反復する円弧をモチーフとした空間デザインではないかと思います。

舗装でカバーされた沈砂池が広場の様でもあり、公園にも見える小屋平ダムの敷地内は、ひょっとしてこの地を訪れる登山者達の憩いの場を想定した環境デザインだったのかもしれません。



走るトロッコから観る、小屋平ダムの横顔。

一瞬で通り過ぎてしまいましたが、年月に色付いたコンクリートの表面は平滑で、丁寧な施工を感じました。



あっと言う間だった小屋平ダムとの出会い。

見学と言うよりも、遭遇と言う感じのほんの一瞬でしたが、日本ダム史に燦然と輝く名堤のオーラを確かに感じました。



名堤のオーラ、小屋平ダム。
関電さん、いつか見せて下さい。宜しくお願い致します。

★★★★★


おまけ

黒部トロッコの終着駅である欅平。駅の真下にあるのが黒部川第三発電所です。
この発電所へ水を送っているのが小屋平ダムとよく似た外観を持つ仙人谷ダムで、難工事を極めた建設用トンネルの掘削は小説「高熱隧道」に書かれています。

これら戦前に造られた黒部川の発電所は、富山のアルミ精錬(軍需)の電力の為に開発されました。
高熱隧道の難工事は、まさに内地での戦場であったとも言われています。



欅平を散策して、黒部川第三発電所を別角度から。
上流に小さく見えているのは、新黒部川第三発電所です。



内容盛りだくさんの今回のレポ。
もういっちょ、おまけその2。

小屋平ダムは日本のダムでは珍しく、デザインした建築家が知られているダムです。
山口文象の作品を調べてみると、少ないながらも小屋平ダム以外のダムにも携わっていた事が解りました。

箱根湯本にある東京電力東山発電所と、取水堰である早川取水堰(ローダム)がそれで、竣工は1936年と小屋平ダムの完成と同時期ですが、実際に設計した順番は小屋平ダムの後ではないかと思います。
そして、もう1基、小屋平ダムに携わる以前に関ったダムがある事も解ってきました。

山口文象の作品年表を見ると、日本電力の嘱託技師となった1924年に、「庄川水系のダム」のデザインに関るとあります。
しかし、残念ながら具体的なダム名はどの資料を読んでもなかなか判明しません。
この「庄川水系のダム」に於いて、山口文象は図面を精査し、外観などの意匠を調整する仕事をした事も判ってきました。

着工が1920年代とすると、1930年頃に完成した庄川のダム・・・・。
ここで、もしかしたらという思いが湧いてきました。

ひょっとしたら、それは小牧ダムなのでは?

小牧ダムの完成は1930年、関ったとされる1924年とも時期的に合っています。
それに、小牧ダムが庄川初のダムだったはずなので、おのずと候補は絞られます。

僕が小牧ダムではないかと思った理由は他にあります。
クレストに17門ものゲートが並ぶ小牧ダムですが、左岸の非越流部のゲートが無い部分にも、まるでゲートがあるかの様に扶壁が付けられ、一見すると20門以上のゲートが左岸端まで並んでいるかの様に見えるのです。
構造的な理由がある様にも見えないので、明らかにデザイナーの参画を感じさせる造形なのです。



さらに調べを進めると、「舟戸ダム 1931年」と記されたダムの写真に行き当たりました。クレストに並ぶラジアルゲート、曲線重力式のその姿は間違いなく小牧ダムの写真です。

少し疑問なのは舟戸ダムというダム名です。
舟戸というのは小牧ダムのすぐ下流にある庄川合口ダムのダム湖名(舟戸湖)です
小牧ダムから水を送っている発電所は舟戸湖の上流部にあるので、小牧ダムは竣工当時は発電所の所在地名から舟戸ダムと呼ばれていたのではなかと仮説します。

小屋平ダムのデザインを追って調べていくうちに、まさか、God of  庄川 小牧ダムにたどり着くとは全く思っても見ませんでした。
オールドダムを調べるというのは、シナリオの無い物語を辿るようで、いつも想像を超えた結末に辿り着き付きます。

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出し平ダム

堤高76.7m
G/P 1985年 関西電力

2011.09.11見学

黒部のブラックナイト。


残暑厳しい9月の週末、今日は黒部峡谷の観光トロッコ(黒部峡谷鉄道)に乗ってのダム巡りです。
まだ紅葉には早いのですが、午前中に終点の欅平に到着する車両は満席となっていました。
車中から写真が撮りやすい様に、車両の最後尾のシートをゲット。



始発駅の宇奈月駅を出発すると、直ぐに黒部の怪物こと、モンスター宇奈月が見えてきます。



トンネルを抜けると、宇奈月ダムの貯水池です。

ヨーロッパの古城のような建物が見えて来ました。関西電力 新柳河原発電所です。
この発電所に送水しているのが今回の第一目標である出し平ダムで、およそ8キロほど上流にあります。



黒部川の電源開発の為に造られた鉄道を、観光鉄道として運行している黒部トロッコ。一般のお客さんが利用できる駅は黒薙、鐘釣、欅平と限定されますが、途中で他にいくつもの駅があります。
実は観光鉄道というのは黒部トロッコの仮の世を忍ぶ姿(?)で、観光車両とは別ダイヤでダム管理用の車両も連日運行されていて、バリバリの現役ダム鉄道でもあります。

黒薙駅を出て直ぐに現れる水路橋。

走るトロッコの上からなのでシャッターチャンスはわずかです。
見事、我が子の頭がモロかぶり。今日は、家族レジャーを兼ねてのダム巡りです。

親子三人で往復すると運賃はそこそこのお値段になるのですが、
「それだけのお金があれば、何冊コミックスが買えるんや〜」
    と、意味不明の理屈で少々不機嫌な小5の娘。
いやいや、お金を払うのはお父さんだし、そもそも、トロッコに乗らないからと言って、君にマンガを買ってやる訳ではないぞよ。



黒薙を過ぎれば出し平まであと少しです。
トンネルを抜ける度に、今か今かとドキドキの連続です。

そして、ついに!



関西電力 出し平ダム。
堤高76.7m、堤頂長136m。

戦前から開発されて来た黒部川の発電専用ダムとしては最後に造られたダムで、下流の宇奈月ダムとの連携排砂を行う事で有名なダムです。

黒い!黒い塊だ!

走るトロッコの上から観た第一印象はその真っ黒なコンクリートの色でした。



すばばばばば!
堤体左岸寄りにあるバルブから激しい放流、河川維持でしょうか。

むむっ。

バルブ放流に目を奪われがちだけど、クレストゲートからの壁のような導流壁がスゴイ事になってるぞ。かっちょいい〜っ!!。

直線的で黒々としたコンクリートは、金属でできているかの様な重厚感。



クレストゲートはラジアルだなっ。
それにしても、ゲートアームの支点部分がゴツい!。



えーっと、
ゲートの上には雪避けの建物・・・。

わーっわーーっっ。

・・・・・・・・・。



あっと言う間にトロッコはダムサイトを走り去り、風景は貯水池右岸となりました。

走るトロッコの上から、ほんの数十秒しか見えない出し平ダム。
もっとじっくり訪れる事が出来るなら、男前のコンクリートダムとして、きっと人気が出るダムだと感じました。

その重厚で男気溢れる漆黒の勇士は、今でも鮮明な記憶として頭の中にあります。

新柳河原城を守る、鋼鉄の甲冑をまとった黒騎士。
そんなイメージの出し平ダムでした。



出し平ダム
★★★★

さて、出し平ダムの後は、トロッコはあのダムへと向かいます・・・。

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真立ダム

堤高21.8m
B/P 1929年 北陸電力

2011年6月某日見学

The Genuine Buttress.


有峰で新中地山ダムを見せて戴いた翌日、次は真立ダムを見せていただける事になりました。そうです、あのバットレスダムの真立です!。

見せていただけると言っても、北陸電力さんのランクルでダムまで横付けと言う訳には行きません。
昭和の初めに建設された真立ダムには当初から車で行ける道は無く、現在でも徒歩がヘリコプターでしか行く事が出来ません。
また、徒歩で向かう巡視路は関係者以外は立入禁止となっている為、一般人の場合、自家用ヘリをお持ちでない限り見る事が出来ないダムでもあります。

この日は、有峰林道の小見線が不通であった為、林道入口ゲートから片道10キロ弱ほど歩く事になりました。
有峰林道から脇に入った巡視歩道から関係者以外立入禁止ゾーンです。
ですので、詳しい行程は割愛致します。

山腹からの有峰の山。
この風景の中に、あの真立ダムがあります。



250mm望遠でぐっと拡大すると・・・。
見えました!コンクリートの四角い格子、紛れもなくバットレスです。

ここまで歩いてくるのも大変ですが、ターゲットが見えると足取りも軽くなります。



但し、足取りが軽くなっても、有峰の山では急がず、ゆっくり歩く事が鉄則と教わりました。熊と出会わない為に、熊の方が先に人間に気が付いて、森の中へ立ち去る時間を与える為です。

湿った泥の上に真新しい足跡。足跡の中は露に濡れていないので今朝(数時間前)に付けられた足跡でしょう。

山歩きを心得ない人が立ち入るには、リスクが高すぎる有峰の森。
この地で人間は完全にアウェーなのです。



熊の痕跡にヒヤヒヤしながら小一時間、ようやく先程大望遠で見えた格子が目の前に!。

北陸電力のバットレス、真立ダムについに到着です!。



バットレスダムの特徴でもある、鉄筋コンクリートの遮水壁。
この遮水壁に架かる水圧を扶壁=バットレスで支えるのがバットレスダムです。



遮水壁の中央にあるのは排砂設備です。



そのまま貯水池左岸を散策すると、発電所があります。
小口川第三発電所です。

外壁は北電カラーのスチールで保護されていますが、歴史ある建屋である事は屋根のシルエットでも解ります。

1934年、祐延ダムを上とした揚水発電を開始。
これは、日本初の揚水発電である新潟の池尻川発電所に遅れる事わずか1ヶ月。
落差621.2mは、現在に於いても一般水力のタイトルを保持している凄い発電所なのです。(揚水発電は1978年に終了)



山の中を何キロにも渡り水平に伸びていた小口川軌道。
終点がこの真立ダム、小口川第三発電所です。



発電所の裏手も見せて頂きました。
以前は揚水発電用のポンプがあったそうですが、発電所の壁面に遺構を残し、草むらとなっていました。

ちょっと珍しい方向からの真立ダム。
青い建物は下流にある小口川第二発電所への取水口です。

その向こうに半分見えている白い建物は職員宿舎。屋根の上にヘリポートが備わっていますが、通常の巡視では徒歩で行き来しているそうです(大変だ!)。

真立ダムの貯水池はとても小さいもので、貯水池と言うよりも、発電所から次の発電所までの階段の踊り場といった感じです。



ダム本体の天端にも入らせて頂きました。
シンプルな高欄。色、質感、共に良し。

手摺りの鋼管が細く華奢です。
遮水壁にかかる水の重さによって堤体を支えるバットレスダムは、堤体自体が軽いという事も特徴のひとつです。
この鋼管の手摺がそれに関係した配慮であるかは解りませんが、余分な所は軽くしたイメージを受けました。



真下を観ると絶壁です。
ダムの型式は数あれど、こういう風に真下が見えるのはバットレスダムだけ。

余水吐も、排砂もトンネルとなっている為、ダムの真下には何もありません。



下流側の華奢な高欄と比べ、貯水池側は重厚な造りとなっています。
バットレスに限らず、古いダムに、このタイプが多いです。



左岸にあるのは余水吐ですが、現在は使われていないそうです。
昨日、新中地山ダムで観た物に近いです。
真立ダムと兄弟とも言える真川調整池は堤体左岸付近にやはり似た余水吐を持っているそうです。
そういや、奥津発電所調整池も似た余水吐があった気がします。

この吐に入った水はトンネルでダム下流に放流されます。



天端を渡ってバットレスの格子が良く見える場所に来ました。

堤高21.8m、堤頂長61.2m。
真川調整池が堤高19.1m、堤頂長105mなので、比較すると狭く高いプロポーションとなります。

狭く高いのは真立、低く長いのが真川。
どちらも重文クラスの貴重なダムです。



コンクリート表面に保護剤が塗布されているものの、竣工時の形をそのまま残しているのは真川と同じです。

函館の笹流ダムはまだ観ていませんが、恩原ダムや三滝ダムの様に扶壁の周りを補強で巻きたてたバットレスとは随分と印象が異なります。

上に行くにしたがって細くなるバットレス。白く繊細な格子は、ダムの骨格標本のようにも見えます。



徒歩でしか行く事の出来ない急峻な地形。
竣工時の繊細さを残すバットレスは、まさにバットレスの中のバットレス。

そんな印象を受けた真立ダムでした。

わざわざ現地まで徒歩でご案内頂きました北陸電力様。
大変お世話になりました、ありがとうございました。



真立ダム
★★★★★


おまけ。
日本で8基が造られ、6基が現存するバットレスダム。
まだ訪れていないのは笹流ダムのみとなりました、笹流ダムはいつ行けるか解りませんが、今まで見たバットレスダムのおさらいです。

群馬県 丸沼ダム。
堤高32.1mは、バットレスダムで最も高いものです。
立地が険しかったり、遠かったりでなかなか訪れにくいバットレスダムでは、一番気軽に行ける物件かと思います。
見学会を除き天端は立入禁止ですが、直下にフリーで使えるボートがあります。



岡山県 恩原ダム。
群馬より岡山の方が近いという方は、こちらが見学し易いでしょう。
ダム湖のすぐ横にスキー場があり、ゲレンデのBGMが聞こえる距離にあります。



鳥取県 三滝ダム
険しい峠道を登った奥にある分、恩原より少し行きずらいかも。
両岸の洪水吐が個性的です。



恩原、三滝と中国地方には2基のバットレスダムがありますが、実はもう1基バットレスダムがあります。それが、奥津発電所調整池 懸崖水槽 です。
堤高が低い為、ダムではなく堰堤になりますが、正真正銘のバットレスです。

崖の上に造られた懸崖造りが特徴で、バットレスの下半分が埋立てある為、土の上から露出している外観では高さを感じませんが、高さ30mを超えています。

バットレスは高さ30m超え、堤高は15m未満・・・不思議でしょう??
実は、バットレスと鉄筋コンクリートの支柱で、貯水池が丸ごと空中に浮いているのです。(これ、マジです)

恩原ダムの近くにあり、苫田ダムとも程近いので是非訪れてほしい超マニアック物件です。

(詳細は当ブログの みずのどぼく カテゴリー内にレポあります)



マニアック物件と言えば、さらにマニア向けなのかこちら。
長野県 小諸市にある小諸ダムの遺構です。

地盤に穴が開き、堤体崩壊した幻のバットレスダムでしたが、現在はダムの跡地に運動公園が整備され、広場の片隅に、かつての遮水壁の跡がはっきりと残されている事を発見しました。

また、排砂ゲート、水の取入口及び、取水設備なども、そのまま残されていて、実はダム本体以外はほとんどの設備が遺構として現存しています(!)
それに、公園は水を抜いた貯水池の底に整備されていて、プールやマレットゴルフ場の壁は、ダム湖の当時の護岸そのままだったりします。

オールドダムのファンでしたら、是非ともダム湖に泳ぐ魚の気持ちになって、かつての湖底を散策してみて下さい。当時の様子を想像してニヤニヤするには最高の物件です。

(下の写真、左がダム本体右岸の遮水壁の跡、左がトンネル式だった排砂ゲート。こちらも みずのどぼく カテゴリーにレポあります)



バットレスダムではないのですが、関連するダムとしてこちら。
小諸第二調整池です。

小諸ダムの遺構のすぐお隣に現在も現役のコンクリートダム(ローダム)です。
小諸バットレスの双子の兄弟として造られたダムで、クレストに並ぶ扶壁(ダミー余水吐)は、明らかにお隣の小諸バットレスを意識したデザインではないかと推測しています。



遺構と来たなら、こちらもバットレスダムに関連するダムです。

新潟県 高野山ダム。
再開発により、現在はアスファルトフェイシングフィルですが、かつてこの場所にバットレスダムがありました。
鉄筋コンクリートで造られるバットレスダムは、再開発では丸ごと撤去ができる、と言う事も他の形式には真似できない特徴かもしれません。



そして、バットレスダムの王道はこちら、今回レポしました。
富山県 真立ダム。



真立と並び、登山でしか行けない見学困難物件。

富山県 真川調整池。
こちらの登山道は立入禁止になっていないので許可なくとも訪問可能です。
但し、山道は相当にハード。かつ、冗談抜きで熊が出没しますから気軽に行くことは出来ません。

現地までハイリスクな行程となりますが、敷地内は立入禁止なので、ダムを観る事が出来るのは下の写真のアングルのみとなっています。
これをハイリスク・ローリターンと思うか、それでも行くぞ!と、思うか、悩ましいダムかもしれません。

この真川調整池が、僕にとって初バットレスダムでした。



で、おまけのおまけ。

怪しいダム「無関係者」。

指差し確認ヨ〜シ!

この写真を撮る為に、自宅からヘルメット持参&ダム関係者コスプレで来て、ダムまで登山しました(笑)。(写真撮影 ひろ@様)



おしまい。

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愛本堰堤

堤高不明(洪水吐ゲート高さ3.5m)
G/AP 1973年 富山県営

2011年6月某日見学


ダムに興味がないと言う人でも、名前くらいは誰もが知ってる黒部ダム。
黒部ダムがあるのは黒部川ですが、黒部ダム以外にも沢山のダムがある川です。

その黒部川のダムの中で、最下流にあるのが愛本堰堤です。



現在の愛本堰堤は1973年に完成した2代目です。
先代は現在よりもひと回り小振りで、ローリングゲートを持った堰堤でした。

3000m級の北アルプスを源流とし、わずか85kmで富山湾に注ぐ黒部川は、日本有数の急流河川です。
そんな黒部川に昭和7年に完成した先代の愛本堰堤は、幾度となく水害に会い、その度に補強や改修をしてきましたが、1969年に発生した大洪水により甚大な被害を受けてしまいます。
また、この大洪水は流域全体に大きな被害をもたらし、上流の宇奈月ダム建設のきっかけになりました。

現在の愛本堰堤は、先代の堰堤の上流150mの位置に造られました。

上流左岸からの愛本堰堤。
エメラルドに澄んだ水は黒部川独特の色合いをしています。



対岸の右岸に見える取水設備。
取水設備はこちらの左岸にもあり、両方から水を取っています。

主に農業用水を取水する富山県の設備ですが、北陸電力さんにより発電と管理も行われています。

また、農業用水は田畑を潤すだけではなく、下流の都市部では防火用水や、消流雪用水としてもこの水が利用されています。



高いゲートピアにニョキニョキ生えた建物。
ごちゃっとした階段の間をよく見ると鉄管が見えます・・・。

ゲートピアの上を鉄管で送水している様ですが、何であるかはよく解りませんでした。



対岸(右岸)を観ると立派な発電所が見えます。
こちらは関西電力の愛本発電所です。黒部川の関西電力では最下流の発電所です。
最上流の黒部ダムから幾つもの発電所を経た水は、ここでようやくゴールです。



左岸にはこんな可愛い建物がちょこんと建っていました。
「国土交通省黒部川河川事務所、愛本陸閘等操作員待機所」と、ありました。

有事の時には、河川事務所の職員さんが、ここに詰めるのでしょうか?
暴風雨の中では少し頼りなく感じる小さな建物ですが、金属製の窓のガードが本気です。

ちょっと散策しただけで、北電、関電、国交省といろいろな名前が出てくる場所です。それだけ重要な場所という事かと思います。



少し歩いて堰堤の左岸に来ました。
ここは北陸電力さんの建物の様です、建物は堰堤本体と一体になっています。

車道の上を例のピア上の鉄管が渡っています。



左岸を建物が占領していて、真横から堰堤を観る事は出来ません。
見上げると、ピアの上の建物が、怪しいダムファンを見下ろしています。

うむむ、監視されてる気分〜。



少し歩いて愛本堰堤の下流に架かる愛本橋に来ました。
下流真正面からの愛本堰堤です。

洪水吐として2門のシェル構造ローラーゲート。
左岸に土砂吐のローラーゲートと階段式魚道を持っています。



遠目で観るとスケール感が湧きませんが、洪水吐のシェルゲートは高さ3.0〜3.5m、幅は1門で37mもあります。青い土砂吐ゲートも4.2m×10.0mと、決して小さくありません。

青い水が爽やかです。
訪れたのは6月ですが、まだまだ雪解けの水も混じっている事かと思います。



愛本橋から右岸を観ると、古いコンクリートの遺構が見えます。
これは先代の旧愛本堰堤の取水口だそうです。



上流に宇奈月ダムか完成して、かつての様な大洪水には見舞われなくなった愛本堰堤。よくやく本腰を入れて本来の仕事ができるって感じでしょうか?。

急流河川黒部川は、この愛本堰堤から平野になっています。
愛本堰堤の用水系統図を観ると、この愛本堰堤から扇を開いたかの様にに、無数の用水に送水されている事が解ります。

とっても働き者の愛本堰堤なのでした。



愛本堰堤
★★

2012.2.10 訂正
「川ではない、滝だ」と、言われた川は黒部ではなく常願寺川でした。
また、その言葉を発したのはデレーケと言うのは諸説ある様です。
そのほか、内容訂正しました。


おまけ。
堰堤下流左岸にある川灯台。
平成5年に建てられた物の様です。

これって、同じ黒部川で似た物がありますよね。
そうです、宇奈月ダムの湖畔にある関西電力新柳河原発電所(お城みたいな発電所)です。

ひょっとして、新柳河原発電所のデザインルーツ??。
現在、この場所に川灯台があるのも謎ですが、かつでこの場所に、このデザインの元となる灯台があったのでしょうか?。

建てられた平成5年と言うと、旧柳河原発電所が撤去された年でもあります。
ひょっとして、旧発電所となにか関連あるデザインなのでしょうか???。

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新中地山ダム

堤高35m
G/P 1959年 北陸電力

2011年6月某日見学

有峰の異端児。


ダムマニア界のバンコラン少佐こと、雀の社会科見学帳の夜雀さんから、ある日メールが来ました。

「ついに新中地山を見せてもらう事になりました。
 滅多に無い機会なので、独りで見せてもらうのはもったいない。
     あつだむさんは家が近くなので、良ければ来ませんか?」

そうです、新中地山ダムと言えば、切り立った有峰の地形にその姿は外部からは見る事が出来ず、さらに、ダムへの唯一の道は立入禁止の為、今迄誰一人としてしっかりとその姿を観たことのない、まさに幻のダムなのです。
夜雀さんは、この新中地山を観るために、何年にも渡り交渉を進めていました。
美味しい所だけつまみ食いする様で恐縮しつつも、即答「行きます!」と返事をしました。

新中地山ダムは、全く外部から見えない事もあり、余り有名なダムではありません。北陸電力のキング、有峰ダムの下流約5キロ、有峰林道小見線沿いにあるのですが、林道がトンネルに入っている所にあるので、一般の人はそこにダムがある事すら気が付いていないでしょう。
しかし、新中地山ダムは、とても特殊なコンクリートダムだという噂は、ダム愛好家の中で都市伝説の様に語られていました。いまようやくその謎が解けようとしています。

6月某日、こうしてダム愛好家数名が集まり、北陸電力様のご案内で見学させて頂きました。

立入禁止の門が開けられ、まず見えて来たのは白く大きな建物です。
和田川第二発電所です。まだダム本体は見えていません。



発電所の裏を通ってダム本体へ向かいます。

レーザービームのように鋭く急斜面を貫く水圧鉄管。上流の有峰ダムから水が来ています。

有峰ダム周辺は、有峰と祐延ダムを頂点に、数多くの発電所が建設され、それらは沢山のダムや調整池で結ばれています。
カクテルグラスのタワーに注がれたシャンパンのように、頂上からスタートした水はいくつものグラス(発電所)を経由して下流へ送られ、やがて富山湾に注ぎます。

夜雀さんがwDN関西に於いて、
「ダム目的の利水の中で、発電だけは他とは違うと考えている。なぜなら、発電は他の利水目的と違い、水を消費するのではなく、利用しているだけだから」
と、語っておられました。
有峰をこよなく愛する夜雀さんらしい考察です、有峰の現地に行くとその事が良く解ります。



水圧鉄管を過ぎるといよいよ新中地山ダムの本体が現れます。

で、出たー!

そうです、語られて来た新中地山の伝説とは、
「下流面が完全に土砂に埋まっていて、コンクリートの堤体全くが見えない」
と、言う噂でした。

うわーーー!!
うおーーーーーー!!!

見えた事で驚くのではなく、見えない事に驚くという、かつてない感覚。

とにかく、凄く珍しいっ!
・・・と、思うのですが、その驚きをぶつける対象物が地中と言うもどかしさ。



ダム本体右岸から天端。

これが天端と言っていいものか・・・?
新中地山ダムは、堤高35m、堤頂長71.7m。
しかし、目の前にあるのは幅1m強のコンクリート舗装の道・・・?。

今まで、群馬の真壁ダムや、山梨の頭佐沢ダムなど、下流面が土で覆われているダムは見たことがありましたが、それらと埋まりっぷりの次元が違います。
完全に天端レベルまで埋められているので、下流側の高欄がありません(!)



コンクリートダムの下流面に盛られたという土砂は、天端の高さで広く、平坦に慣らされています。

その上を少し歩いてみたのですが、盛土の端は自然の山林に溶け込んでいました。



振返って、ダム本体方向です。

自分の立ち位置は通常のコンクリートダムであれば、ダム下流の地上35mの空中にあたる位置です。なんだかとても不思議。

かなりの量の土砂ですが、これらは全て発電所建設時の採掘土砂なのだそうです。
そして、ここに土砂を盛る事は当初からダム本体の設計要素に盛り込まれていて、その為、新中地山ダムの堤体は重力式コンクリートダムとしてはとてもスリムで堤体積も少ないのだそうです。

つまり、コンクリートダムと、アースダムのハイブリット?
そんなダム型式はありませんが、他に事例が無いので分類されていないのかも。

野生動物なら、オカピとか、コビトカバとか、珍獣と呼ばれるキャラクターです。



何が何でも下流面を撮ってやる!

と、言う執念のショット(笑)

見えているコンクリートの下流面は天端から下へ10センチ程・・・。
下流側に高欄が無いので、背後の高欄は上流面の物です。




左岸には取水口、次のカクテルグラス(新中地山発電所)へ水のバトンが渡されます。

堤体の左端には2門の余水吐ゲート。
3門ある様に見えますが、手前の少し小さいゲートは湖面に漂流する雪の塊を流す流雪ゲートと呼ばれる雪国スペシャル装備です。



余水吐を下流から。
写真左の四角い穴が流雪ゲートの吐口。

2門の余水吐はゲート上部に壁のある独特の形状です。
湖面が流雪で覆われたり、凍ってしまっても水が出せるように水面から少し下から放流する様になっているのかも。(?)
有峰ダムに近い、折立ダム(堰堤)でも同じゲートを観た事があります。

2門のゲートの間に壁があるのも特徴的。



ゲート間の壁は直ぐに途切れて、その先はスロープとなっています。
雪が非常に多い場所ですがトンネル吐ではなくオープン。

妙に色っぽい形、壁面の表情もいい感じ。



さらに、この新中地山ダムにはもう1箇所、余水吐があります。
貯水池左岸に見える越流式のスリットとゲートがそれで、こちらはトンネル式なのですが現在は運用されていないそうです。



上の写真のゲートの上に来させて頂きました。
和田川第二発電所、でかいです。
屋上に開閉所等の設備があり、大きいだけでなく、ぎゅっと凝縮しています。

上からの発電所の水がダム湖に直接流れ込んでいる情景は、この周辺のダム特有です。



発電所の高欄。
僕はこんな感じのコンクリートが好き。



高欄から下を観ると、水車を回した水が轟音を立てて貯水池に流れ込んでいました。

凄い勢い。

そして、水の透明度も凄い。

やっぱり何度来ても、有峰っていいよなあ・・・。



本当に下流面が埋まっていた幻のダム、新中地山ダム。

その予想を超える見事な埋まりっぷりと、随所に見られる特徴的な設備に関心ずくめのダム見学となりました。



新中地山ダム
★★★★


おまけ。

珍獣 コビトカバ
西洋世界にその存在が知られてまだ100年くらいしか経っていないとか。
日本では、上野と東山と白浜アドベンチャーしか居ません。
今年、いしかわ動物園が飼育を始めるらしいので凄く楽しみです。


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猿越ダム

堤高29.6m
G/P 1981年 富山県営

2011.8.13見学


猿越ダムは岐阜県との県境に近い富山の山奥にある、かなりマイナーなダムです。
決して新しいダムではないけど、最近になって「存在が発見され」ダム便覧に掲載される様になったという、本当に影が薄いダムなのです。

室牧ダムから国道471を進み中山ダムを通過。
この中山ダムだって相当な山奥ですが、猿越ダムへは、さらにそこから奥へ10キロほど走る事になります。
さらに国道471は、本来なら県境を越えて岐阜県の坂上ダムの辺りに通じる道ですが、ほとんど一年中通行止めであるらしく、アクセスもすこぶる悪いのでした。

県境の少し手前で脇道に入ると、富山県営の大長谷第四発電所が現れます。
猿越ダムはこの発電所のすぐ隣にありました。



堤高29.6m、堤頂長68m。
影の薄いイメージから想像するよりも、思ったより大きなサイズ。
但し、造形がざっくりしているので、そんなに立派には見えません・・・。



自然越流の洪水吐、右岸寄りに排砂ゲートの組合せ。

ぽっかり大きく空いた洪水吐は開口の天地が高く、出水時には結構な水の厚さになる事が想像できます。



幾度となく濁流に削られるのか、洪水吐の下流面は白くざらついていました。



減勢工は高く、勇ましい感じ。



微妙にアップダウンのある天端通路。なんとなく成り行きで出来た感じの造形は、形として未完成のイメージ・・・。ううむ。



天端は車道となっています。
この奥には無くも無く、ダムを過ぎたらダートになるみたいです。



天端から減勢工。
V字に上部が広い形状は、刀利や青蓮寺のアーチダムの減勢工にも似て、ちょっとカッコイイ。



堆砂の多い貯水池。
発電用の取水はできるので問題なしといった感じ。

堆積物の上にユンボが降りていました、砂出し工事中なのかも。



上流に何もないだけあって、ガラス色に澄んだ水が綺麗ですね。



ユンボが降りる道を下ってみました。
2門の取水ゲートが見えます。



猿越ダム
★★

猿越ダムから10キロほど行くと利賀川ダム(通称 水無ダム)があります。
利賀川ダムへの道は現在どの方角からも災害の為、ダム手前数キロより関係者以外立入禁止となっています。
立入禁止区域内には利賀川ダムしか無いので、永久に立入禁止は解除されない様に思います。
根性と体力があれば観れる仙人谷ダムよりも、案外見学困難な物件かもしれません。
(今回も、山道を往復50キロくらい走って行き付く事が出来ませんでした・・・)

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