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七北田ダム

堤高74m
R/FNW 1984年 宮城県営

2009.10.11見学

またいつの日にか。



大倉ダムに向かう途中、突如目の前に現れたロックフィルが七北田ダムであった。
この日、見学のつもりは無かったのだが、目前にある巨大ダムを見逃す事はないだろうと、まず脇道から写真を撮る。

この日は強行スケジュールの為、予定外の物件をゆっくり見学する時間が無く、(既に、予定していた南川ダムを時間の都合で諦めたところだ)まずは先に大倉と青下の3ダムを先に見学する事にした。それらとは目と鼻の先なので時間があればまた戻って来れるだろう。

そして再び戻る頃には、早い秋の夕暮れとの競争となった。


夕暮れは黒々としたリップラップをより濃く観せ、ススキが寂しそうに揺れている。
上のところでV字に広がる洪水吐、詳しくは見えないが放流ゲートの他に越流式の非常用洪水吐があるようだ。



下流から左岸に見える管理棟へ向かうが、天端は普段から立入禁止の様だ。
立入禁止のゲート越しに堤頂部を見ると、手摺りやガードレールも無いシンプルな仕立てをしている。

何枚か写真撮影を試みるが、辺りはすっかり夜の帳が降りてしまいここでタイムアップとなった。

ここ七北田ダムの湖畔には美しいイングリッシュガーデンの泉ボタニカルガーデンがある。
こんなダムが地元にあれば、我が家の定番スポットになりそうだ。

七北田ダム
★★

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青下第3ダム

堤高16.6m(※)
G/W 1933年 仙台市営

2009.10.11見学

玉石越流の癒し。


青下第3ダムは、青下3連ダムの最上流のダムである。
さらに上流には堤高2mの小堰堤「青下量水堰」がある。ちなみにこの小堰堤も玉石貼りの美しいものであるという。

目指す青下第3ダムは、下流の2基と少し離れて水道記念館とは全く別の所にある。
第1ダムのように散策路が整えられ一般開放はされていない代わりに、第2ダムのように規制チェーンで閉ざされてもいない。
つまり、道は無いが行けない事も無いという場所にある。勿論転落や蜂などに充分な注意が必要。

駐車場などは無く、草むらの空地に車を停める。周辺には住宅もあるので迷惑駐車にならないよう配慮したい。

木々の間から堤体が見えて来ました、越流もしています。
どうです、写真でもドキドキしませんか?この感じ。



そして、他の2基と同じく玉石コンクリート造玉石貼の堤体がその全てをあらわにする。



越流部の右岸から途中まで管理通路が延びている所は第2ダムに近く感じる。

下流には洗掘から河床を守る為、テーブル状にコンクリートが打たれ、やはり玉石が貼り込まれる。
曲面のダム本体に対して、同じ玉石貼りでも平面を傾斜違いで重ねたデザインが秀逸。
近いものは山口川堰堤でも観たが、規模も形の面白さもずっと此方に軍配が挙がる。

ダム本体の直下には特徴的なジャンプ台、いや、越流水を一時プールして脇から流しているから副ダムと呼ぶべきか。
テーブル状減勢工の中心に、放流できる部分があるが、詳細は不明。




第1ダムと同じくあらゆるコンクリート面に貼り込まれた玉石の造作は、とても丁寧なもので大きなダムには無い独自の迫力さえ感じる。

堤体から連続する副ダムやテーブル状減勢工によって、高さや広がりよりも奥行き感が強い青下第3ダム。宮殿のようでもあり、庭園の一部にも見える。
水道用の水源池として築かれた施設であるが、鑑賞物として十二分に通用する美しさを持っており、もし何処かの国の王族の庭にあったとしても、訪れた賓客はその美しさに足を止める事だろう。



玉石の上を滑る仙台の水。
水は石で磨かれ、石は水で洗われる。



玉石の上を滑る越流は、愛知の馬ヶ城ダムのウロコ越流とはまた違う美しさで、ダム愛好家に喜びと癒しを与えてくれた。

青下の3連ダム。
こんな素晴しい土木遺産が市街地からほんの数キロの山里に、80年もの歳月を積み重ねて来た奇跡。
仙台にお越しの時には、強くお勧めしたい銘堤でした。

青下第3ダム
★★★★★

(※)堤高の値は仙台市水道局のパンフレットに基づく

おまけ、ダムのすぐ下流にあるコンクリートアーチ橋。
ダムの建設時に架けられたものだろうか。なんてこと無い橋だけどいい感じ。

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青下第2ダム

堤高18.27m(※)
G/P 1933年 仙台市営

2009.10.11見学

青下第2ダムは、その名前の通り青下3連ダムの中間に位置する。
そのダムは仙台市水道記念館の美しい散策路の先にある。



トピアリーの間を抜け、森の小道を進む、いやおうなく高鳴る期待。



森の外れ、水音が聞えると青下第2ダムが近い印である。
だが、残念ながら第2ダムは一般公開されておらず、規制チェーンの先は管理通路であり立入禁止。
わすがに天端通路の鋼管の手摺りと青く塗装された床板が見える。
ゆっくり流れる広い水面は副ダムとの間の減勢池である。



盛大にほとばしる水音が聞えるだけに未練は残るが仕方あるまい。

実はこのダムの見学には後日談があるのだが、それはまた次の機会に。

青下第2ダム


(※)堤高の値は仙台市水道局のパンフレットに基づく

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青下第1ダム

堤高18m(※)
G/W 1933年 仙台市営

2009.10.11見学

碧流混々。


大倉ダムのすぐ近くに、昭和初期に竣工した素晴しい水道用のダムがあると聞く。
下流から青下第1、第2、第3の三連のコンクリートダムで、仙台市営の中原浄水場の水源池として現役であるばかりか、ダム本体をはじめ、旧管理事務所、取水口など12もの施設が登録有形文化財に指定されている。

ダムを見学するには仙台市水道記念館を訪れるのが良い。(※12月〜3月は閉館)
青下第1ダムをメインとして美しく庭園が整備され、青下第1ダムは貴重な文化財が点在する散策路のコースになっている。

数ある登録有形文化財のひとつ、昭和8年に建築された「青下ダム旧管理事務所」。
ガラス張りの丸い部分は階段室、どことなく灯台のイメージなのは白い外壁だからだろうか。



旧管理事務所から青下ダム記念碑などを見学し、散策路を下ってゆくと青下第1ダムに到着する。



青下の3基のダムは、共に玉石コンクリート造玉石貼の越流式重力ダムである。
この青下第1ダムのみ両岸を結ぶ橋が越琉部に設置される。通常、天端やクレストと呼ばれる部分に当るがダムの構造とは独立しており、「青下橋」と呼ばれる。

玉石貼りの上を湖水が飛沫を上げ滑ってゆく。



堤体の中程には「青下第一ダム取水塔」。
湖水の濁りは先日の台風18号の影響だろう。



玉石貼りは堤体の越流面のみならず、導流壁、減勢工、両岸の護岸にまであらゆる部分に施されている。
下流左岸の玉石貼りに囲まれた一角は浄水場に向かう導水隧道の入口。

玉石貼りの堤体と知って、越流面のみ玉石貼りと勝手にイメージしていたので、全てのコンクリート部分にびっしりと玉石が貼り込まれた青下第1ダムを観て、驚きと共に感動してしまった。

全体のシルエットは戦前の小型ダムらしい柔らかな形状と言う事もあり、玉石貼りの表情は、爬虫類の鱗のようでもあり、鎖帷子をまとっているかの様でもある。



竣工当時の姿のまま、水道施設として現役を維持するのはとても大変だろうな。
きっと、80年前と変わらないだろう水飛沫を上げる越流を観ながら、ふとそんな事を思う。


青下第1ダム
★★★★

(※)堤高の値は仙台市水道局のパンフレットに基づく

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大倉ダム

堤高82m
MA/FNAWIP 1961年 国土交通省

2009.10.11見学

ジキルとハイド。


大倉ダムは日本で二基しか存在しないマルチプルアーチ形式のダムである。

写真家 西山芳一先生がダム風土記の中で「大倉ダムの景観は俯瞰景にかぎる」と、左岸から俯瞰で写真を撮っておられる。なるほど、たしかにMAの立体感を出すには俯瞰での眺望が一番のようだ。
ならばと言う事で、地形図で調べると、それらしい破線の道がダムサイトまで伸び、そして途切れている。

破線の道は運が良ければ林道かな?と想像していたが現実には工事用道路の名残と言った道で、崖の斜面にかつて道であった「棚」があるに過ぎず、落石に埋もれ熊笹が茂り、進むには困難を極めた。

安全上、ブログに公開できるのはこれが限界。
これ以上先は立入らない事、無事戻って来れる補償はありませんので。
プロの写真家の凄さを垣間見た、小探検であった。



下界に戻り車でダムに向かう。
天端は車道となっていて、意外だが交通量も多い。しかも1車線ほどの幅しか無い為、ダブルアーチの中間地点にある待避所を上手く使う必要がある。
(有峰のように交互通行の信号がある訳でなく、対岸からの対向車の有無を見計らって進入する)
それを良く知らなかったので、オロオロして地元の車に白い目で観られた岐阜ナンバー。

ダム管理所は右岸の離れた所にある。展示施設などは無かった。

再び車で左岸に戻り、徒歩で天端を散策する。歩道などは無いので他の交通に要注意。

天端から見下ろす大倉ダム。
下流側は垂直ではなく少し傾斜があり、「マルチプル重力式アーチ?」と、一瞬思った。
それよりも驚いたのはクレストゲート直下の減勢工。
ダム建設前からの天然の渓谷をコンクリートで補強したものであるが、ものすごく深い、そして狭い。



渓谷を堰き止めているアーチ形の副ダム。



二つのアーチを結ぶ堤頂長323mの大倉ダムは、アーチダムとしては比較的穏やかなイメージだったのだが、他のアーチダムの例に漏れず、その立地は険しいものだった。
左岸の岩盤。やはりアーチダムの景観にはこんな岩盤が必須です。

驚く事ばかりの大倉ダム。二つあるアーチの表情の違いもまた驚く。
こちらはクレストにゲートを持つ左アーチ、奈落の底を覗くかのような減勢工の「穴」が口をあけ、見下ろすと恐怖すら覚える。



対して、温厚そうな右アーチ、ダムの直下は公園になっている。和やかな表情。
この二枚の写真は中間地点の待避所から撮影。



まさに、ジキル博士とハイド氏。

中央の巨大なスラストブロック。上が待避所になっている。
地元の車も多いが観光客にも人気のようで、待避所にある小さな駐車場は常満状態。



スラストブロックの後ろには首がある。
それにしてもスラストブロックの巨大な事。今日、いくつこのダムで驚いただろう。



最後にダム下に降りてみた。
あまりにも個性的な形状で、この塊の後ろにはたっぷりと水が湛えられている事が想像できません。こんなダム、ちょっと他には無いですね。



大倉ダム
★★★★

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鳴子ダム

堤高94.5m
A/FNP 1958年 国土交通省

2009.10.11見学

和魂洋才。


民芸品のこけしで有名な鳴子温泉から、仙秋サンラインで北上すると鳴子ダムが見えて来る。

1958年竣工のこのダムは、日本におけるアーチダム黎明期のひとつであり、日本人技術者のみにより設計・建設された最初のアーチダムである。
ダム管理所はサンラインの車道を挟み左岸の崖の上にあり、この渓谷の険しさこそがアーチダムの特色と言える。

管理所から望む鳴子ダム、クレストがとても薄い。



天端は自由に散策できる。(夜間は立入禁止の為、早朝の訪問には注意)
見学用の駐車場は管理所とは別に、ダム下流500mのところにあり、そこから徒歩で向かう。
やがて見えて来た鳴子ダムの姿。
8門の自然越流式洪水吐が並ぶシンプルなクレスト部。
洪水吐からのなめらかな曲面は、ちょうど鳴子こけしの肩をイメージさせる、どこか有機的な印象はその為だろうか。



常用の放流設備は、堤体にハウエルバンガーバルブ1門と、ダム本体とは別の場所に2門のローラーゲートを配備する。
このローラーゲートはトンネル式洪水吐になっているので、左岸に予備ゲートが見えるがその先は観ることは出来ない。

天端から下流を見下ろす。
左右非対称の減勢工の壁、毎年春の放流時はどの様な水の流れになるのだろう。



右岸から見下ろす、複雑にひねりながら積み上げられたフーチングが面白い。



鳴子ダムと言えば、5月のカスケード鯉のぼりや、なめらかな下流面の画像が頭に浮かぶが、実際に現地を訪問すると卒倒するほどのサプライズを隠し持っていた。



それは下流左岸の風景。
画面右は崖の上の管理所から延々と伸びてきたインクライン式エレベータ。
岩盤に貼り付く、コンクリートに包まれた通路を経てバルブ室に回廊が通じる。
構造も面白いがコンクリートの色合いも実に魅力的。

また、嬉しい事もひとつ。
子供向け、一般向け、技術者向け(マニア向け?)と充実したパンフレット。
ダム巡りという大人の社会科見学に、知識欲をくすぐるパンフレットはとてもうれしい。



日本人技術者のみによるはじめての純国産アーチダム。
その繊細かつ温かみを感じる表情に、日本の誇りと志を感じた。



和魂洋才、鳴子ダム。

鳴子ダム
★★★★

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